ポタージュはお店の顔。“はじめまして”の一杯になる
null小野さんのお店『Bistro Coco 路地裏』では、ランチの時に出てくる定番のポタージュがあります。
注文して、料理がテーブルに届くまで、この一杯を味わうのが至福のとき。腹ペコの胃袋がじんわり温まり、思わず「ほ〜っ」とため息が出てしまう優しい味わいなんです。
「ポタージュは、いわばお店の顔。お客さんが席について、初めて口にする“はじめまして”の一杯です。そのため、お店の第一印象として舌に記憶されるので、手が抜けない料理でもあります」(以下「」内、小野さん)
常連のお客さんは、“ここのスープがうまいんだよ”と、よく話しているそう。季節によって、かぼちゃやごぼう、ほうれん草などブレンドする野菜は変わるそうですが、ベースとなっているのは、今回紹介する「じゃがいものポタージュ」。その作り方を教えてもらいました!
【材料】(4〜5人分)
にんにく・・・1片
玉ねぎ・・・大1個
じゃがいも・・・大2個
オリーブオイル・・・大さじ1
塩・・・大さじ1
牛乳・・・800ml
コンソメ(顆粒)・・・大さじ1
ローリエ・・・1枚
粗挽き黒こしょう・・・少々
【作り方】
(1)野菜を切る

にんにくは芯を取り除き、薄切りにします。玉ねぎは十字に切って4等分にしてから、繊維に対して垂直になるよう、薄切りにします。このように切ると玉ねぎの旨味が出やすくなるそうです。じゃがいもは十字に切って4等分にしてから、薄切りにします。
「じゃがいもは『男爵』を使うとホクホクに、『メークイン』を使うとサラサラした仕上がりになります。今回は『男爵』を使って、ほっくりしたポタージュに仕上げます」
(2)玉ねぎを炒める

鍋にオリーブオイルを入れて熱し、玉ねぎとにんにくを入れ、塩を振って炒めます。中火で5分ほど炒め、玉ねぎがほんのり茶色に色づくまで炒めましょう。
「玉ねぎは炒める時に塩を加えると、水分が出て焦げつきにくくなり、長く炒められるので、甘味や旨味を十分に引き出せます。玉ねぎはほんのり茶色くなればOKです。白っぽいポタージュに仕上げたいので、飴色になるまで炒めなくていいですよ」
(3)じゃがいもを入れて煮る

玉ねぎが色づいたら、じゃがいも、牛乳、コンソメ、ローリエを入れ、沸騰するまで強火で煮てください。沸騰するとアクが出てくるので、吹きこぼれないように弱火にしてからアクを取り除き、そのまま弱火で5分ほど煮込みます。
「アクを取ることで、クリアなポタージュに仕上がります。牛乳は一気に沸騰するので、吹きこぼれないように注意してくださいね」
じゃがいもに竹串を刺して、スッと通ればOK! これでポタージュのベースの完成です。
(4)ミキサーにかける

粗熱が取れたら、ローリエを取り出してから、2回に分けてミキサーにかけます。なめらかになるまで撹拌して、さらにザルで漉すと、よりなめらかな口当たりになりますよ。
「2回目のほうが具材が沈んでいる場合が多いので、濃度が高い場合は、牛乳100ml(分量外)を加えて調整してください」
味見をして必要なら塩・こしょう(分量外)で味を調えてください。濃くてもう少しサラサラにしたい場合は、牛乳(分量外)を加えて濃度を調整してみてください。
(5)食べる分だけ温める

冷蔵で3〜4日保存できるので、食べる分だけ小鍋に入れて温めましょう。焦げつきやすいので、ゆっくり混ぜながら温めてください。
(6)できあがり!

器に盛り付けて、オリーブオイル適量(分量外)を回しかけ、粗挽き黒こしょうを振ったら完成です。
真っ白なポタージュは、見ているだけでほっこり。口に運ぶと、ふんわりとムースのような口当たり。玉ねぎの甘味、じゃがいものトロトロが相まって、野菜の旨味をギュッとミルクが包み込むよう。なんでポタージュって、こんなに幸せな気持ちになるのでしょうか……。
「お店では1回2.5Lのポタージュをまとめて仕込みます。今回はお店と同じ味で、家庭でも作りやすい分量に調整しました。これから春になると、新玉ねぎや新じゃがいもが旬を迎えるので、ますます甘くて美味しいポタージュが作れますよ!」
仕事の合間にコトコト煮込んで作ってみたところ、切って炒めて煮るだけだから、工程はとってもシンプル。玉ねぎ、じゃがいも、にんにく、牛乳って、家にほぼいつもあるので、思い立ったらすぐに作れるのもいいですね。「お店とそっくり同じ!」とは畏れ多いですが、失敗なく幸せポタージュが作れました! ややとろみがあるので、パスタを入れてスープパスタにしてもよく絡んで美味しそうです。
まとめてたっぷり作って保存しておいても便利ですね。優しい味わいでホッとする味。ぜひみなさんもお店の味をおうちで試してみてください。
取材・文/岸綾香

東京都千駄ヶ谷にあるイタリア料理店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。提携農家の産直有機野菜や無農薬野菜、地元から直送される父親が釣り上げた魚介類、鹿や熊のジビエなど、鮮度のよい食材にこだわる。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの料理動画『プロが教える本格パスタレシピ』も大人気。