「ホイル焼き」はフライパン焼きが正解だった!
null北海道や宮城県産の、オレンジ色に輝く国産の生鮭が店頭に並び出すと秋の訪れを感じますね。切り身なので扱いやすく、価格も手頃な秋鮭は、この時季に家族みんなで味わいたい魚代表ではないでしょうか。筆者は生鮭の赤みを帯びたオレンジ色が美しすぎるあまり、その日買う気はなかったのに店頭で思わず手を伸ばすこともしばしば……日本人にとって、鮭って特別な気がします。
だからこそ、失敗なく、おいしく食卓まで届けたい。まずは基本に立ち帰り、秋こそ「ホイル焼き」を極めましょう!
「オーブントースターやグリルで焼くと、ホイルに包んだ食材の水分だけで焼き上げるので、時間もかかるうえパサパサしがち。なので、我が家ではホイル焼きはフライパン一択です! フライパンに水を加えて蒸し焼きにすると、蒸気の力でしっとり&ふっくら。時間も短く、5分程度で焼き上がりますよ」(以下「」内、沼津さん)
加熱時間がたった5分とはビックリ! 早速、作り方を見てみましょう。
【材料】(2人分)
生鮭・・・2切れ
塩・・・少量
長ねぎ・・・1/2本(50g)
きのこ(しいたけ・えのきだけ・しめじ)・・・計100g
バター・・・10g
細ねぎ・・・適量
[みそだれ]
みそ・・・大さじ1
きび砂糖・・・大さじ1
水・・・大さじ1/2
【作り方】
(1)生鮭に塩を振る
生鮭の両面に塩を振り、5分ほど置いて、臭みのもととなる余計な水分を出します。
「鮭のおいしい季節なので、ぜひ生鮭で作ってみてください。もちろんサーモンでもおいしく作れますよ。塩を振るのは、下味をつけるのと臭み取りの役目があります。あまり振りすぎると塩辛くなってしまうので、鮭の両面に少量ずつ振ってください」
(2)野菜を切る
生鮭の水気が出るのを待つ間に、野菜を切ります。長ねぎは5mm幅くらいの斜め切りにします。しめじは石突きを取ってほぐし、えのきだけは石突きを取って3等分に切り、下部分は食べやすくほぐしてください。しいたけは石突きを取って、十字に包丁を入れて4つに切ります。
「今回はしめじ、えのきだけ、しいたけの3種類を使いますが、好みのきのこを使ってください。全部で100gになるようにブレンドしてみて」
(3)みそだれを作る
ボウルにみそ、きび砂糖、水を入れて、よく混ぜ合わせます。
「今回はきび砂糖を使いますが、好みの砂糖でOKです。ホイルで包んで焼くので、みりんだとアルコールが飛び切らない場合もあるため、砂糖を使うのがおすすめ。小さいお子さんも安心して食べられますよ」
(4)生鮭の水分を拭く
5分経ったら、生鮭の表面に水分が出てきました。ペーパーで水気をしっかり拭きましょう。
「この水分が臭みのもとなので、しっかり拭き取ってくださいね」
(5)ホイルで包む
ホイルの上にきのこと長ねぎをのせ、その上に生鮭をのせます。生鮭にみそだれを半量塗り、バターを半量のせます。ホイルはギュッと包まず、空気を入れるようなイメージで、ふんわり包んでください。同様にもう1つ作ります。
「長ねぎの代わりに、キャベツやもやしなどもおすすめです。ホイルを包む時は、ふんわり包むのがポイント。ホイルの中で蒸気が回って早く火が通り、旨味も全体に行き渡りますよ」
(6)フライパンで5分蒸し焼きにする
フライパンに包んだホイルを並べ、水大さじ3(分量外)を入れ、強火にかけてふたをします。沸騰してフライパンの中で蒸気が回ってきたら、中火にして5分加熱してください。
「フライパンの利点は、早く火が通り、ふっくら仕上がること。蒸気を使って蒸し上げるので、ホイルの中の水分をキープしながら、鮭をしっとり、ふんわり仕上げることができます。トースターやグリルだと食材の水分を使って焼き上げるので、倍以上の時間がかかるうえ、パサパサしがちなんです」
(7)できあがり!
ホイルを開けると、ふっくら焼き上がった鮭が顔を出しました。ホイルごと器にのせ、好みで小口切りにした細ねぎや追加のバターをのせて、熱々のうちにいただきましょう!
追いバターが熱々の鮭に溶け込んで、最高のビジュアル。ひと口食べると、鮭の身がふんわり。甘めのみそだれに塩気のあるバターがまろやかに溶け合って、たっぷり吸った鮭がもうたまりません。新米の季節、これはごはんが欲しくなる!
そして何と言っても、驚いたのはフライパン蒸しのスチーム力。5分という加熱時間のスピードは魅力的。忙しい夕飯作りの時の強い味方になりそうです。
「今回作ったみそだれはお肉を炒めるのにもおすすめなんですよ」と言って、豚肉と余ったしめじや長ねぎをパパッと炒めてくれた沼津さん。食いしん坊のスタッフ一同、速攻完食するおいしさで、ごはんのおかわりまでおねだりしてしまいました。
帰ってすぐにフライパンでホイル焼きを作ってみたところ、失敗なく&ストレスなくできて感動。今まで私は、オーブントースターでホイル焼きを作っていましたが、ホイルの中が見えないこともあり、加熱ムラがないよう15〜20分はしっかり焼いていました。水分が出そうな野菜を多めに入れても、鮭がパサつくのが気になっていましたが、そんな悩みもスッキリ解消! しっとり仕上がり、みそバター味も大好評で、夫も子どももパクパク食べてくれました。
とっても簡単なので、生鮭のおいしい季節に試してほしいイチオシの一品です。ぜひ、今夜のおかずにいかがでしょうか?
取材・文/岸綾香
料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『マンガでわかった! ラクしておいしい作りおき』(主婦の友社)、『からだとこころがととのう滋養菓子』(日東書院本社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu YouTube 管理栄養士 沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」