大晦日に準備して、元日は温めるだけでのんびり過ごす
null全国各地で作り方はいろいろ、家庭の味もさまざまな「お雑煮」は、新しい年を迎えるのに欠かせない一品です。小林家では毎年「関東風」のお雑煮を作っているそう。
「お雑煮はおせち料理の余った食材などを組み合わせて作ります。今回は鶏肉、しいたけ、にんじん、かまぼこ、ほうれん草など。“ねじり梅”や“結びかまぼこ”など、飾り切りにすると目にも華やかで、グッとお正月らしさが増します。
お正月はゆっくり過ごしたいので、大晦日におせち料理を作った後にお雑煮の下ごしらえまでしておき、元日はおもちを焼いて、つゆと具材を温めて盛り付けるだけの状態に。お正月はできるだけキッチンに立つ時間を少なくして、のんびり過ごすようにしています」(まさみさん)
「そうか、うまいことやってるんだなぁ」と、感心するまさるさん。動画では、まさるさんも飾り切りにチャレンジ。北海道出身のまさるさんならではの愉快な「もちトーク」もぜひご覧ください!
【材料】(4人分)
鶏もも肉・・・1枚(250g)
ほうれん草・・・1/2束
にんじん・・・4cm長さ
しいたけ・・・4枚
かまぼこ(赤)・・・3cm長さ
黄柚子・・・適量
切りもち・・・4〜8枚
[つゆ]
だし・・・800ml
しょうゆ・・・・小さじ2
塩・・・小さじ2/3
酒・・・大さじ1
【作り方】
(1)鶏肉を切る
鶏肉は筋と余分な脂肪を除き、ひと口大に切ります。筋や脂肪が臭みの原因になるので、丁寧に取り除いてください。
(2)ほうれん草をゆでて切る
ほうれん草は根元の硬い部分を取り、十字に切れ目を入れ、水にさらして砂を取り除きます。鍋に湯を沸かして塩少量(分量外)を入れ、やわらかくなるまでゆでたら、水に取ります。
「ほうれん草はアクが強いのでゆでてから使ってください。小松菜の場合は、そのままつゆに入れてOKですよ」(まさみさん)。
ゆであがったほうれん草は5cm長さに切って、水気を絞っておきましょう。
(3)つゆを作る
今回のだしは、かつお節と昆布を使用。各家庭の好みのだしを使ってください。だしにしょうゆ、塩、酒を入れて煮た立せます。
(4)鶏肉を煮る
つゆに鶏肉を入れ、煮立ったらアクを取り、弱火で5分煮ます。
「魚介だしに鶏肉の旨味も加わって、相乗効果でおいしいつゆになります」(まさみさん)。
(5)にんじんは「ねじり梅」にする
それでは、いよいよ飾り切りです。お正月らしく華やかな形に具材を切ってみましょう。
にんじんは1cmの厚さに切り、梅型で抜きます。花びらの間に浅く包丁を入れ、次は隣の花びらの間に包丁を入れ、斜めに削ぎます。これを最後まで繰り返してください。
「梅は縁起がよくおめでたい花なので、お正月にぴったりです。ねじり梅を作るのが難しい場合は、梅型で抜くだけでもOK。抜いて余った部分はもったいないので捨てずに、他の料理に使ってくださいね」(まさみさん)。
ねじり梅ができたら、やわらかくゆでておきましょう。
(6)しいたけは「花切り」にする
しいたけは石突きを取り、軸を切ります。軸もだしが出るので、一緒につゆに入れてください。
かさの部分に包丁を斜めに傾けて入れ、反対側も同様に入れ、真ん中に切れ目を入れます。真ん中で重なるように切れ目を3本入れたら、花切りの完成です。
(7)かまぼこは「結びかまぼこ」にする
薄切りにしたかまぼこの下部分に切り込みを入れ、互い違いになるよう上部分にも切り込みを入れます。真ん中に切れ目を入れ、真ん中の穴に右側のかまぼこの端を下から入れ、左側は上から入れて、先をキュッと出します。
「これで結びかまぼこの完成です。“縁を結ぶ”という意味があります」(まさみさん)。
(8)柚子は「へぎ柚子」にする
へぎ柚子は簡単。皮を丸く削ぎ取ったら完成です。これを4枚作ります。
これでお雑煮の準備は完了です! 年内に仕込んでおき、保存容器などに入れておきましょう。
(9)もちを焼く
ここからは元日当日の作業です。もちはほどよい焦げ目がつくまで、小林家では魚焼きグリルで焼きます。目を離すと焦げてしまうので、途中で焼き具合を見ながらひっくり返し、ムラなく焼いてください。
「我が家は雑煮のもちは、1人2個食べるよ!」と、まさるさん。北海道出身のまさるさんは、もちをついたら外に出して凍らせて、保存の効く「しばれもち」にしていたそう。
「大根と納豆で辛味もちにしたり、あんこもちにしてもウマイよなぁ!」(まさるさん)。
(10)お椀に盛り付ける
前日作っておいた鶏肉の入ったつゆを煮立て、花切りにしたしいたけを加え、しいたけに火が通ったら火を止めます。お椀に焼きもち、鶏肉、しいたけを盛り、ほうれん草、ねじり梅、結びかまぼこ、へぎ柚子を飾ります。
(11)できあがり!
最後につゆを注いだら完成です。
つゆに鶏肉の脂が溶け込んで、焼きもちの香ばしい風味も加わり、いい味わいに。ふわっと柚子が香ります。飾り切りした具材が実に華やかで、目でも舌でも楽しめます。まさに、これぞ日本のお正月ですね。
お雑煮は各家庭の味がありますが、ぜひ小林家のお雑煮も参考にしてみてください。
取材・文/岸綾香
【取材協力】
小林まさみ
料理研究家。結婚後、会社勤めをしながら調理師学校に通い、料理研究家を目指し、料理愛好家 平野レミさんのアシスタントなどを経て、独立。誰でも作りやすく、家庭的なアイディアあふれるレシピにファンが多く、テレビや雑誌、書籍、企業のレシピ開発、料理教室など、幅広く活躍。自身のオンラインショップ『台所用品と食「暮らしの仲間」』では、おすすめの台所用品や各地から厳選した食材、小林まさるの瓶詰め『まさる漬け』などを販売。料理本は『切りおき』(小学館)など著書多数。Instagram@kobayashimasami.masaru
小林まさる
昭和8年生まれ。小林まさみの義父。定年後70才から小林まさみの調理アシスタントを務める。78才でシニア料理研究家として活躍。長年料理をしてきた経験から、冷蔵庫の中にある食材でパパッと作るアイディア満点の家庭料理やおつまみが得意。著書に『人生は棚からぼたもち!』(東洋経済新報社)など。88才からスタートした公式YouTube『小林まさる88チャンネル』も好評。