保存が効くので、秋の絶品デザートにどうぞ!
nullすっかり涼しくなり、空や風に秋を感じるこの頃。スーパーに並ぶ食材も秋の訪れを感じるものへと変わりました。その中で、やはり秋の食材といえば「栗」! 今回は「ちょこっと漬け」秋の手仕事バージョンとして、「栗の渋皮煮」を紹介します。
「栗の渋皮煮は、アクを何度も抜くのでやや手間がかかりますが、栗をひとつひとつ掃除する作業は秋ならでは。栗をむいたり、洗ったり、単純な作業が多いので、小学生くらいのお子さんならお手伝いしてもらえそう。家族みんなで秋の手仕事を楽しんでみませんか?」(以下「」内、沼津さん)
沼津さんがとても分かりやすく懇切に教えてくれたので、早速作り方をチェックしてみましょう。
【材料】(作りやすい分量)
栗・・・500g
グラニュー糖・・・300g
重曹(食用)・・・小さじ1(各小さじ1/3ずつ使用)
ブランデー・・・小さじ2
【作り方】
(1)栗を熱湯に浸ける
栗についている汚れを洗います。鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら火を止めて、湯の中に栗を入れ、そのまま20分ほど置きます。熱いので火傷しないように気をつけてくださいね。
「栗を熱湯に入れると外側の厚い皮(鬼皮)がやわらかくなり、むきやすくなります」
20分経ったら温かいうちに栗を取り出します。
(2)栗をむく
水気を拭き、栗をむきます。栗の底の端を包丁で少しだけ削ぎ、その切れ目から鬼皮をむいていきます。包丁でむくのが苦手な人は、皮がやわらかくなっているので、少し切れ目を入れた所から手でむくこともできますよ。底の部分など硬い所だけ包丁を使って取り除いてください。
「このとき、栗の実まで切らないよう、切り過ぎに注意して。栗の実が見えるまで切ってしまうと、煮ているときに煮崩れしてしまいます」
栗の端に切れ目を入れてもらうと、皮がやわらかくなっているので、手でも簡単にむけました。手でむく作業なら、小学生くらいのお子さんは手伝えそうですね。
(3)水に浸けて汚れを取る
むいた栗を水に浸けて、汚れを取ります。そのまま5分置きましょう。
(4)【アク抜き1回目】重曹を入れて10分煮る
5分置いたら水気を切り、鍋に栗を入れます。栗がひたひたになるまで水(約1L)を入れ、アクを抜くための重曹小さじ1/3を入れ、強火にかけます。沸騰したら火を弱め、中火から中弱火で10分煮ましょう。アクが出たら、時々すくいながら煮てください。
「重曹はお掃除などにも使いますが、製菓コーナーなどに売っている食用の重曹を必ず使ってください。グラグラ煮ると栗が崩れてしまうので、ふつふつするくらいの火加減に調整してくださいね」
(5)流水で洗い、渋皮を掃除する
いきなり冷やしたり、栗に直接水をかけると栗が割れる原因になるので、鍋肌から流水を注ぎ、少しずつ温度を下げます。ぬるくなってきたら、こぼしながら水を入れ替え、水道水の温度くらい冷たくなったら水を捨てます。
ボウルにキレイな水を張り、栗を入れます。周りについている汚れや、繊維や筋をこすり落として、渋皮をキレイに掃除しましょう。このとき、渋皮に1本ある黒い筋は、楊枝を使って取り除いてください。
「1つ1つ丁寧に渋皮を洗いましょう。指や楊枝で表面をこするとキレイになりますよ」
(6)【アク抜き2回目】重曹を入れて10分煮る
1回目と同じ作業を繰り返し、さらにアクを抜きます。1回目と同じ量の水(約1L)、重曹(小さじ1/3)を入れ、沸騰したら中弱火にして10分煮ましょう。
(7)流水で洗う
1回目と同様に鍋肌から水を入れ、湯の温度が下がり、水道水と同じになったら水を捨てます。
「2回目は軽く汚れを落とせばOK。1つずつ表面を洗って、水を張ったボウルに入れます。汚れが残っていたら、よくこすって洗ってくださいね」
(8)【アク抜き3回目】重曹を入れて10分煮る
3回目も同様に煮て、最後のアク抜きをします。同じ量の水(約1L)、重曹(小さじ1/3)を入れ、沸騰したら中弱火にして10分煮ます。
「アクがしっかり抜けて、だんだんと透明感が出てきました。アク抜きが足りないと渋みが残ってしまうので、ここは手を抜かずに3回ほどしっかり行ってくださいね」
(9)流水で洗う
同様に鍋肌から水を入れ、湯の温度が下がり、水道水と同じになったら水を捨てます。渋皮がキレイになっているか1つずつ確認しながら、表面を優しく洗いましょう。
(10)15分煮て重曹を抜く
3回アク抜きをしたら、重曹を抜くために1回だけ水から煮ます。栗がかぶるくらい水を入れ、沸騰したら中弱火にして15分煮ます。
(11)流水で洗う
同様に鍋肌から水を入れ、湯の温度が下がり、水道水と同じになったら水を捨てます。汚れがないか最終チェックをしながら、表面を優しく洗います。随分キレイになってきました!
(12)砂糖を半量入れて煮る
鍋に栗を入れ、栗がギリギリかぶるくらいの水を入れます。このとき、栗が重ならないように並べると均一に味が入ります。グラニュー糖を半量(150g)だけ入れて強火にかけます。
「砂糖は一度に入れると味が染み込みにくいので半量ずつ加えてください。今回はスッキリした甘味のグラニュー糖を使います。上白糖、黒糖、きび砂糖など好みの砂糖でOKですよ。
今回は栗の量の60%の砂糖を使いました。保存期間を長くしたい人は砂糖の量を増やしてください。逆にもっとさっぱりさせたい人は、砂糖の量を50%にしてもよいでしょう。50%以下になると保存期間が短くなるので注意してください。ぜひ、好みの甘さをみつけてみてくださいね」
沸いてきたらペーパーで落としぶたをして、中弱火で10分煮ます。落としぶたをすると、全体に砂糖液がなじみやすくなり、アクも一緒に吸い取ってくれます。
(13)残りの砂糖を入れて煮る
ペーパーを開けて、残りのグラニュー糖(150g)を入れます。再びペーパーを戻して、中弱火で10分煮ましょう。
(14)ブランデーで香り付けをする
10分経ったらペーパーを開け、香り付けにブランデーを加えます。
「ラム酒など好みの洋酒でもOKです。お子さんも食べる場合は入れないでくださいね」
ペーパーを戻し、このまま置いて粗熱を取ります。
(15)保存容器に入れ、冷蔵室で1日置く
保存容器に栗を入れ、煮汁も一緒に注ぎます。冷蔵室で1日置いて栗に味をなじませましょう。
(16)できあがり!
冷蔵室で1日置いたらできあがりです。保存期間は冷蔵で10日が目安。水分が抜けてくると栗が硬くなるので、食べきれない場合は冷凍するのがおすすめです。
シロップに浸かった栗は、ツヤツヤに輝いて見ているだけで幸せに。1つ1つ丁寧に掃除をした分、とても美しく仕上がっています。1つ食べてみると口の中で栗がホロッと崩れて、染み込んだシロップがほどよい甘さでおいしい〜! 甘すぎず、栗本来の素材の甘味が口いっぱいに広がります。これだけでリッチな秋のデザートになりますね。
「そのまま食べるのはもちろん、お菓子のトッピングに使ったり、生クリームを添えたり、パンやどら焼きに挟んでもおいしいですよ。ブランデーがほのかに効いているので、ウイスキーとの相性も抜群。ちょっとおしゃれな大人のおつまみにもぴったりです。
余ったら刻んでマロンペーストにしてもいいですね。残ったシロップは煮詰めてとろみをつけ、蜜として利用すると余すことなくいただけます」
頑張った分、そのおいしさはひとしお。手仕事ならではの栗本来の滋味深い味わいを贅沢に楽しんでみてください。
次回は「焼き栗」を使ったちょこっと漬けを紹介します。
取材・文/岸綾香
【取材協力】
沼津りえ
料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『低糖質だからおいしい!「おやつ&スイーツ」』(K&M企画室)、『野菜丸ごと冷凍レシピ』(主婦の友社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu