サーモンは「塩締め」にして、熟成した食感に格上げ!
null今回はおもてなし料理などに活躍する「カルパッチョ」について教えてもらいました。日本ではカルパッチョといったら魚介のイメージですが、実はイタリアでは生の牛肉が基本。薄切りにした生の牛肉を並べ、オリーブオイルやソース、チーズなどをかけた料理を総称してカルパッチョと呼ぶそうです。
さらに、小野さんいわく、カルパッチョはイタリアのヴェネツィア派の画家であるヴィットーレ・カルパッチョの名前が由来とのこと。
彼は赤を美しく鮮やかに描くことで有名な画家で、あるホテルのレストランでこの料理を出した際に、赤く鮮やかな牛肉の色に合わせて、彼の名前を料理名にしたのだとか。それもあってか、ぜひ絵を描くように盛り付けを楽しんで欲しいと小野さんは話します。
「カルパッチョは見てワクワクするのも大切なおいしさのひとつ。色合いや彩りにこだわって、絵を描くように盛り付けを楽しんでみてください。
イタリア料理では生の牛肉を使いますが、日本では魚介のカルパッチョがスタンダードなので、今回は買いやすいサーモンのさくを使いました。サーモンはぜひ塩締めにしてみて。家庭でも手軽に熟成したようなねっとり濃厚な味わいを楽しめますよ」(以下「」内、小野さん)
どんなカルパッチョになるのか聞いているだけでワクワク。早速、作り方を見てみましょう。
【材料】(2人分)
サーモン(さく)・・・180g
塩・・・適量
玉ねぎ・・・1/4個
こしょう・・・少量
レモン・・・1/8個
ディル・・・適量
ミニトマト・・・4個
[マリネ液]
にんにく(すりおろし)・・・小さじ1
白ワインビネガー・・・大さじ2
オリーブオイル・・・大さじ4
塩・・・ひとつまみ
【作り方】
(1)サーモンを塩締めにする
サーモンのさくの両面にしっかり塩を振り、ペーパーで包み、バットにのせてラップをします。このまま冷蔵室で5分ほど置きましょう。
「サーモンに塩を振ると、余分な水分が抜けて身がキュッと締まり、食べるとねっとり濃厚な食感になります。短時間で熟成したような味になり、このひと手間でグンとおいしさが増すので、ぜひ試してみてください。
魚はサーモン以外に、鯛でもOK。また魚以外にも、帆立貝やホタルイカ、えびやイカなどもよく合いますよ」
(2)玉ねぎを切る
玉ねぎは薄くスライスして、流水でさらしながらしっかりもんでください。
「こうすると細胞が壊れて、辛味が和らぎます。水にさらすよりも、早く辛味を抜くことができるので時短にも一役。今回は新玉ねぎを使いましたが、普通の玉ねぎでも大丈夫です」
(3)マリネ液を作る
ボウルにすりおろしたにんにく、白ワインビネガー、オリーブオイル、塩を入れ、よく混ぜて乳化させます。トロッととろみがついたらマリネ液の完成です!
マリネ液ができたら、薄切りにした玉ねぎを入れて、全体を混ぜ合わせましょう。
(4)サーモンを切って盛り付ける
サーモンは高い方を奥にして置くと、魚の筋に対して垂直に切ることができます。食べやすく薄切りにしたら、円になるようサーモンを皿に並べましょう。
「サーモンを円形に並べていくとき、先に外側の円を作ってから中を埋めるように並べていくと上手に盛り付けられますよ」
全部並べ終わったら全体に塩少量(分量外)、こしょうを振り、レモンをたっぷり搾ってください。
(5)できあがり!
サーモンの上にマリネした玉ねぎをのせ、半分に切ったミニトマト、ちぎったディルを飾ったら完成です。ぜひ、絵を描くような感覚で、自由に楽しく盛り付けてみてくださいね。
食べてみると、サーモンがねっとり濃厚! 旨味が増して、熟成したような味わいになっています。さらに、上にのった玉ねぎのマリネが美味で、サーモンと絡めながら食べるとさっぱり。ギュッと搾ったレモンの酸味もさわやかで、味をキリッと引き締めるいいアクセントになっています。
おうちでこれが出てきたら、華やかな盛り付けに家族も喜びそうですね!
「マリネ液を、わさび少量、しょうゆ大さじ1、寿司酢大さじ1、オリーブオイル大さじ2で作ると和風味になります。こちらもわさびじょうゆ風味でさっぱりおいしいですよ」
手頃な魚がグンとおいしくなって、豪華なごちそうに早変わり。難しい工程もなく簡単にできるので、子どもの誕生日などちょっとしたハレの日や、ホームパーティーのおもてなし料理に、ぜひ作ってみてくださいね。
次回は、「なすのマリネ」について教えてもらいます。
【取材協力】
小野宗隆
軽井沢高原野菜、提携農家の産直有機野菜、無農薬野菜などを中心に使用する洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』も人気。
取材・文/岸綾香