布が食い込んでしまう理由は?
nullたま先生によると、いくつか原因が考えられるそう。
その1:針が落ちる“穴”が大きいから
「職業用ミシンは直線縫い専用であるため、針が落ちる穴は小さめ。
一方の家庭用ミシンは、直線縫いだけでなくジグザグ縫いなど多彩な機能が搭載されているものが多く、それらに対応するために針が落ちる穴が大きく横長に作られています。そのため布が沈み込みやすく、食い込まれやすくなるのです」(以下「」内、たま先生)
その2:縫いはじめる位置の問題
「また、あまりに布端ギリギリからスタートしてしまうと、布端が穴に落ちて、食い込まれやすくなります」
その3:布の種類
「伸びやすいニット生地や薄い生地は、針で穴に押し込まれやすいので、とくに注意が必要です」
ミシンを使う側の技術というよりは、ミシンの構造や性能などにも起因するトラブルなんですね。
布がミシンにがっちり食い込まれてしまうと、針板などを取り外しながらレスキューする必要があります。場合によっては、ミシンメーカーに問い合わせ……なんてことも。食い込みは回避したいところですね。
次からは、こうしたトラブルが起きないための方法をご紹介していきます。
食い込みを回避する方法…用意するのは薄紙!
nullまず、薄い生地は薄地用針(9番)、ニットはニット用針など、布に合わせた適切な針に交換します。
そして、縫う時には次の(1)〜(5)を試してみてください。用意するのは、薄く、ある程度張りのある「薄紙」。よく型紙に使われるようなハトロン紙などが向いていますが、コピー用紙でも代用できます。
(1)薄紙(コピー用紙でも可)1枚を針板の上に置く
(2)紙の上に、縫い合わせたい布を置く
(3)紙ごと縫う
(4)縫い目に沿って紙を折る
(5)1辺ずつ紙を丁寧にやぶって取る
紙をやぶる時は、1辺ずつ丁寧に作業しましょう。この時、縫い目を引っ張らないよう気をつけてください。もし、縫い目に紙くずが残って取りにくい場合は、ピンセットを使うのがおすすめです。
これで、食い込みを回避してキレイに縫えました!
「新聞紙でも試したことがありますが、インクが布に移ってしまったのでおすすめできません。プリントなどがされていない、まっさらな薄紙が一番ベスト! あとは、あまり布端ギリギリから縫い始めないようにすれば、食い込みはばっちり回避できると思いますよ」
1枚紙をかませることで、穴に布が沈み込むのを防いでくれるというわけですね。ニットや薄い布を縫う時は、ぜひお試しください。
構成/kufura編集部
洋裁講師。
文化女子大学(現・文化学園大学)服装学部服装造形学科を卒業後、伊勢丹新宿店にて、紳士服のお直しの仕事に携わる。自身主宰の裁縫教室での講師のほか、ミシンメーカーでのワークショップの開催、出版物へのレシピ提供などで活躍中。現在は、毎月大人・子ども合わせて約40名以上の生徒をレッスン中。
『裁縫の楽しさを一人でも多くの人に』を目標に、Instagram(@nuinui.tamama)などで生徒作品や裁縫のちょっとしたテクニックを発信中。