お墓参りにふさわしい服装
お墓参りに行く際にどんな服装がよいかは、お墓参りのシチュエーションによって異なります。
普段のお墓参り
日常的なお墓参りは普段着で構いませんが、本来、お墓参りは慎ましく、しめやかに行うものなので、派手すぎる色やプリント、露出の多い服装は避けた方が良いでしょう。特に仏式のお墓では殺生をイメージしてしまう毛皮や革製のアウターなどは避けるようにします。
お墓の掃除も目的の場合
お盆前などお墓掃除も目的の場合は、汚れても大丈夫な服装で。エプロンやゴム手袋なども持参すると便利です。
お盆や法事の場合
お盆のお墓参りも普段着で大丈夫です。気温、湿度が高い時期ですが、露出が少なく清潔感のある服装を選ぶようにします。
ただし、初めてのお盆で法要も行う場合は、法要からお墓参りまで夏用の礼服で参加します。
その他の法事でお墓参りをする場合にも礼服(喪服)を着用しておくと安心です。地域や親族にもよりますので、これまでの慣習がある場合は合わせます。
黒の羽織りものを用意しておく
お墓参りに限らず、普段からさっと羽織れる黒のカーディガンやジャケットを1枚用意しておくと、羽織るだけできちんと感が出せるので便利です。
お墓参りに行くのはどんなとき?
命日
親兄弟や配偶者など近い人が亡くなっている場合は、命日にお墓参りに行くことが多いようです。1年に1度の機会なので、気持ちを込めてお参りします。
月命日
お墓が比較的近い場所であれば、毎月の月命日にお墓参りをします。
お盆
お盆はご先祖様が帰ってくる期間とされ、お墓参りに行く人が最も多い時期です。
お彼岸
お彼岸には、故人や先祖を偲んで、お墓参りに行くのが一般的です。お彼岸とは春分の日と秋分の日を挟んだ前後3日の計7日間のこと。日本では、この期間はこの世と故人が住むあの世(彼岸)が最も通じやすくなる日であると考えられており、死者を偲ぶ日としてお墓参りにふさわしいとされています。
年末年始
お正月は先祖へ感謝の気持と、1年の計を報告するためにもお墓参りをします。ただし、年始のお墓参りを良いとしない地域もあるので注意しましょう。
お墓参りにふさわしくない時期
ふさわしくないお墓参りの時期は特にありません。お彼岸や、お盆にお墓参りをするのが一般的ですが、故人を思ったら墓前を訪れ、近況を報告したりします。頻度や回数に決まりがないのがお墓参りです。地方にお墓がある場合などは、帰省した時や、用事で近くまで行った場合などにお参りするのもよいでしょう。
お墓参りに適した時間帯はある?
お墓参りは、開園時間内であればいつ行っても構わないのですが、おすすめなのは午前中です。朝のうちにお墓を清めることで故人への敬意を表すという考え方もあります。
お墓参りの作法
準備するもの
- 数珠(あれば)、お線香、ライター(柄や風よけが付いたものが便利)、ろうそく、お供え物、花など
- 手桶と柄杓(貸してくれる墓地が多い)
- お墓の掃除などをする場合は軍手やゴム手袋、ごみ袋など
お寺への挨拶
普段お墓参りをする時に、お寺への挨拶は特に必要ありません。お寺の方と顔を合わせた時にする日常的な挨拶で十分です。
本堂のご本尊に対しては、お墓を守り、先祖を供養してくれていることに対しての拝礼をします。ただし本堂の本尊がいつも開帳しているとは限らないため、閉じている場合は本堂の外で、本尊のある方向に対して一礼するだけでも大丈夫です。
特にお墓参りが混み合うお盆やお彼岸などは、お寺全体が忙しいことが多いので、むやみに声をかけず遠慮するほうが良いときもあります。法要などの相談や打ち合わせがある時に声をかけるだけで良いでしょう。
お墓参りの手順
寺院墓地の場合は、本堂にお参りした後にお墓へ向かいます。掃除をする場合は【1】から、お参りのみの場合は【2】から始めます。
【1】お墓の掃除
墓前で合掌してから枯葉などの目立つゴミを拾い、墓石に水をかけながら雑巾などで汚れを落とします。たわし・ブラシなど硬いもので擦ると墓石にキズがつき、石の艶が落ちてしまいますので、柔らかい布やスポンジを使うようにしましょう。
【2】打ち水
お墓に一礼し、手桶にきれいな水を汲み柄杓で墓石に打ち水をして清めます。
【3】お供え
花立に花を、水鉢(墓石中央のくぼみ部分)に水を入れ、お供え物を置きます。
花立は古い花が入ったままになっていれば片付けます。雨水が入ったりして汚れた水が溜まっている場合も多いので、花を入れる前にきれいに洗います。
【4】お線香をあげる
ろうそくに火をつけ、その火でお線香をあげます(ろうそくを使わず直接ライターから火をつける場合もあります)。お線香に火をつけたら、口で吹き消さず手で振って消しましょう。
【5】合掌
あれば数珠を手に持って合掌します。心の中で故人に挨拶を。
【6】片付け
お参りが終わり、食料品をお供えした場合は必ず持ち帰ります。線香、お花はそのままで大丈夫です。散った花びらが気になる場合は、掃除して帰りましょう。一礼してその場を立ち去ります。
基本的には上記の流れとなりますが、家族や地域にもよりますので、その場合は慣習に従います。
お墓参りで気をつけたいこと
墓地や霊園の決まりに従う
墓地や霊園ごとのルールや規則に従いましょう。例えば、墓地内にペットを入れない、火災防止のため芝生墓所ではお線香をあげない等の決まりがあるところもあります。入口に掲示されていることが多いのでよく読みます。墓地・霊園の開園時間(午前9時~午後5時のところが多い)を守りましょう。
宗派によるお墓参りの違い
お墓参りの作法は宗派や地域性によって異なり、お線香をあげる本数、折る折らない、立てる寝かせるなどの違いもあります。また神道ではお線香やお花ではなく玉串(榊)をお供えします。
わからない場合は親戚などに聞く、墓地・霊園の人に質問するなどします。
共有の道具はきれいにして所定の場所に戻す
墓地によっては、桶や杓、スポンジやタオルなど、共有で利用できる道具が置いてあります。これらは自由に使えますが、必ずきれいにしてから所定の場所に戻すようにしましょう。
食べ物や飲み物のお供え
カラスなどが食べ物を荒らしたり、飲み物がこぼれて墓石を汚したりすることがあるため、飲食物のお供えはお参りの間だけと心得ましょう。
「故人が好きだったから」とビールやお酒などを墓石にかけている人を見かけますが、石材がアルコールの成分で傷むこともありますので厳禁です。お酒をお供えしたい場合は缶や瓶に入った状態のままにし、お参りが終わったら持ち帰ります。
お墓に供える花としておすすめの種類
お墓にお供えする花に特に決まりはなく、供える人の好みのものや故人が好きだったものを選びます。宗教や宗派によって使われるものが異なることもあります。お墓参りでは必ず花を供えなければならないということもありません。
●菊
最もよく見かけるのが菊。お墓参りに限らず、葬儀や法事などにもよく使われますね。菊は長持ちするだけでなく、枯れてもあたりに散乱しないことから、お墓参りにもおすすめです。色には特に決まりはないので、好きなものを選びます。
●季節を代表する花との組み合わせ
菊以外にも好みの季節の色花が使われます。カーネーション、ストック、スターチス、リンドウ、ユリなどが人気です。
●榊(さかき)
お供えするお墓が神道の場合、榊を持参しましょう。
お墓参りにむかない花
とげがある花、毒がある花、においがきつい花などはお墓参りの花としてはふさわしくありません。
お墓に供える花はどこで買う?
生花店や、スーパー、ホームセンターなどで販売しています。最近では、ネットで墓花一対を購入することも可能です。その場合は事前に自宅に届くように手配します。
墓地や霊園によっては管理事務所や売店でも買えるでしょう。大きな墓地や霊園では、お盆やお彼岸などに、花などを売る販売所を設けるところもあります。
お墓参りの基本は先祖を敬い、大切に思う気持ち。最低限のマナーを押さえたら、田舎に帰った時や時間ができた時に、気軽にお墓参りをしたいものです。故人や祖先との心の会話を楽しみましょう。