今回『kufura』では、30~70代の男女482人に「昭和時代の良さ」についてアンケート調査を実施。技術の進化や価値観の変化の中で「当時ならではの良さ」についてのコメントが数多く寄せられました。みなさんからの回答を10のテーマに分けて“昭和の魅力”を紹介します。
SNSやデジタルのない時代の気楽さ
null「SNSが発達していなかったので炎上がなかった」(45歳女性/その他)
「SNS疲れを感じなかった」(45歳男性/コンピューター関連技術職)
「アナログでも仕事ができたこと。今はパソコン操作ができないと話にならない」(63歳女性/主婦)
SNSが発達していなかった昭和時代には、「炎上」も「SNS疲れ」もなく、精神的に今より楽だったという声が目立ちました。当時はアナログでの仕事が当たり前で、パソコンスキルがなくても生きていけた時代。「SNSが学生時代にあったら人間不信になりそう」(61歳女性/主婦)というコメントからは、デジタル社会への警戒感もうかがえます。
スマホがなかったからこその健康的な暮らし
null「スマートフォンがない分、身体を使った遊びが健康的で良かった」(51歳女性/主婦)
「スマホのない時代、コミュニケーションがもっとあったと思う。今はみんなスマホを見てばかり」(51歳女性/主婦)
「まだ携帯電話が普及していなかったので、子どもに何歳から携帯電話を買ってあげるか悩まなくて良かった」(72歳女性/主婦)
「携帯電話がなかったことが、時間やいろんなことに追われなくてよかったような感じがする」(51歳男性/企画・マーケティング)
スマートフォンやデジタル機器がなかったことで、外で過ごす時間が多かったり、自発的な遊びや人との対話が今よりも日常的にあったという意見も。現在は24時間連絡が取りやすく、「つながり疲れ」や時間に追われることを嘆く声もありました。

経済成長と生活の安定を実感できた
null「経済が活発だったので、所得も毎年上がり、良いイメージがある」(77歳男性/その他)
「年齢とともに給料が上がること」(45歳男性/金融関係)
「消費税がなく、物価が安かった」(52歳女性/主婦)
「銀行の預金金利が良かったので、預けているだけでお金が増えた。今では考えられない」(48歳男性/その他)
バブル経済の恩恵を実感していた人も多く、昭和時代には経済面の安心感があったようです。所得の上昇や物価の安定、貯金による資産形成のしやすさなど、経済的な見通しが明るかったため、「働けば報われる」「年齢とともに豊かになる」など、将来に対しての不安が今よりも少なかったのかもしれませんね。

おおらかで寛容な社会
null「KY(空気が読めない)なんて言わずに、おおらかに暮らしていた」(62歳女性/総務・人事・事務)
「おおらかな時代でこれができなければダメという基準があまりなかったと思う。今は厳しすぎると思う」(35歳女性/その他)
「時間がゆっくり流れていた」(53歳女性/主婦)
「社会格差があまり大きくなく、皆がそれなりに豊かな生活ができていたこと」(43歳女性/その他)
今ほど「正解」や「ルール」が明確でなかった昭和の社会。失敗や未熟さにも寛容で、今では厳しくバッシングされるようなことにも“許し合う”空気があったようです。時間の流れもゆるやかだったと語る人も多く、忙しい現代を過ごすなかで“おおらかさ”への憧れも伝わってきます。

地域と人間関係のつながりの深さ
null「会社や町内など、どこでも人と人との付き合いが濃かった」(66歳男性/企画・マーケティング)
「親戚付き合いが濃かった」(51歳男性/その他)
「働き方は大変だったが人間関係は濃密だったイメージがある」(35歳男性/コンピューター関連技術職)
SNSでの“つながり”とは違い、リアルでの助け合いや関係性が日常に根付いていた昭和時代。困った時には誰かが手を差し伸べてくれたり、お互い様の精神があったという声もありました。人間関係が希薄になってきたといわれる令和では懐かしく感じるのかもしれません。
四季を感じられた気候
null「まだ温暖化の影響がひどくなく、四季の変化が今よりきちんとあった」(65歳男性/コンピューター関連以外の技術職)
「夏、エアコンがなくてもなんとか過ごせるくらいの暑さだった」(61歳男性/その他)
「夏が今ほど高温ではなかった」(57歳女性/その他)
気候変動が進む現代と比べて、昭和の日本は四季の変化がはっきりしており、当時の自然環境に戻ってほしいというコメントもありました。エアコンや冷暖房に頼らなくても過ごせる気候、外遊びや季節行事を通じて五感で季節を感じる暮らしは理想ですね。

自由で面白かったテレビと音楽
null「コンプライアンスが厳しくなくテレビが面白かった」(44歳女性/主婦)
「テレビのバラエティが自由だったこと」(56歳男性/コンピューター関連技術職)
「家族で楽しめるテレビ番組が多かった」(55歳男性/総務・人事・事務)
「歌謡曲全盛の頃でテレビ番組が面白かった」(69歳男性/その他)
テレビ番組や音楽が活発で、自由な表現が許されていたのも昭和の大きな魅力。家族みんなで楽しめる番組が多かったので、共通の話題があふれていた時代でした。自由でクリエイティブだったメディア環境が、みなさんの記憶に残っているようです。
子育ては“みんなで”するものだった
null「たくさんありますが、近所ぐるみで子育てしてくれたことです。悪さをしたり、夕方遅くまで遊んでいると、近所の人たちが“早く帰りなさい”“ダメだよ”などと注意してくれました。今、近所の“道路族”に悩んでいますが、昭和のノリで注意することができません。注意すると、親が逆切れしそうだからです」(54歳女性/その他)
「テレビゲームではなく、公園や空き地で子どもが無邪気に遊んでいたこと。また遊具も多かった」(34歳男性/研究・開発)
「子どもが日が暮れるまで外で遊べた。今は遊び場が少なくなり、不審者の警戒もあり、横のつながりが希薄になっていると思う」(54歳男性/公務員)
「子どもは社会全体で育てるもの」という価値観が強く、近所の大人や友達の親など、あらゆる人が子育てに関わっていたという声も寄せられています。今ではご近所さんに気軽に声をかけることすら難しいなか、昭和には「地域で見守る」という文化が自然に存在していたようです。
ハラスメントという概念がなかった時代
null「コンプライアンスで縛られることがなかった」(47歳男性/営業・販売)
「なんでもかんでもハラスメントにはならなかったこと」(51歳男性/コンピューター関連以外の技術職)
「パワハラ、セクハラなどハラスメントに過剰な反応がなかった」(63歳男性/公務員)
「パワハラ、セクハラが厳しくなかった」「言いたいことが言えた」という意見には、賛否あるかもしれませんが、当時の自由な空気を象徴しています。しかし、現代の課題と表裏一体であるため、昭和の無頓着さを懐かしいと感じながらも、複雑な気持ちになりますね。
喫煙文化の自由
null「タバコが会社でも飲食店でも吸えた」(76歳男性/その他)
「どこでも喫煙できた。列車内、駅ホーム、映画館など」(70歳男性/その他)
「何もかもがよかったが、喫茶店でタバコが吸えたのがよかった」(57歳女性/主婦)
昭和では喫煙が日常的で、公共の場や職場、飲食店など、あらゆる場所で自由にたばこを吸うことができました。今ではほとんどの公共の空間で禁煙となっていますが、当時はコミュニケーションのきっかけや、仕事の合間のリラックス手段として日常に溶け込んでいたようです。

エモい…昭和の思い出はほかにも
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バブル時代を象徴するボディコン。
「すべてのものに伸びしろがあり、夢が持てた」(74歳男性/その他)
「やはりバブル期はすべてがキラキラしている素晴らしい時代だった」(45歳女性/その他)
「何もなかったが、なんか楽しかった」(49歳男性/その他)
「高度経済成長期は、毎年豊かになっていく実感が強く、未来への希望や活気が満ち溢れていた時代だった」(69歳女性/その他)
昭和は、今よりも「不便」で「ゆるい」時代でした。しかし、その“足りなさ”が、人と人とのつながりや心の余裕、夢への原動力につながっていたのかもしれません。
さまざまな進化によって私たちの生活は便利になりましたが、ふとした瞬間に思い出す「昭和のよさ」。みなさんの中にも、きっと何かが残っているのではないでしょうか。

エディター/ライター。大学在学時からライターとして活動、気付けばもうすぐフリーライター歴20年。webサイトや書籍の編集・ライティングなどを担当。料理と暮らしまわりの手仕事が趣味。根っからのインドア派だが、3児の母となりアウトドアの楽しさにも目覚めたところ。