2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は従来の65歳までの雇用確保(義務)に加えて、70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。会社員は希望すれば70歳まで働けるようになり、高齢期の働き方は大きく変わっています。
内閣府の発表によると、2022年の労働力人口は、6,902万人。そのうち65~69歳の方は395万人、70歳以上の方は532万人といわれています。労働力人口総数に占める65歳以上の割合は、13.4%と上昇傾向に。定年延長をしている、もしくは退職した後も働いている人が増えていることがわかります。
生命保険会社大手の明治安田生命は、2027年度から本人の希望に応じて定年を70歳まで延長する方針(営業職以外)を発表しました。今後、そういった企業が増える可能性もあります。では、実際70歳が定年になった場合、みなさんは何歳まで働きたいですか? kufuraが20〜50代の男女410人に聞いた答えを見ていきたいと思います。
70歳まで働きたい理由は「経済的不安」
null70歳定年が現実になったら、定年まで働きたいと答えたのは約半数でした。その理由として、最も多く上げられたのは「経済的不安」。年金だけで暮らしていけるのか、収入がなくなってしまうことへの不安から働きたいと思っている人が多いようです。
「無職は不安でメンタルにも悪いからです」(25歳女性/その他)
「年金がもらえるのかも心配だし、できるだけ長く働きたいです」(40歳男性/コンピュータ関連以外の技術職)
「少しでも長く働いて、老後に備えたいと思っています」(48歳女性/営業・販売)
「できれば働きたくないですが、その年齢でも働かないと生活していけない気がするからです」(39歳女性/主婦)
「定年まで働かないと満足のいく退職金が支給されないと思うし、定年を超えた後も働かなければ年金だけでは暮らしていけないと思います」(46歳女性/総務・人事・事務)
「住宅ローンが70歳まであるので、働くしかないと思っています」(57歳男性/営業・販売)
働くことで認知症の予防になる!?
「体が動くうちは、何かしていないとボケそうなので」(41歳女性/その他)
「働いているほうが有意義な時間を過ごせそうだと思います」(55歳男性/営業・販売)
「働いていた方が体力の衰えや認知症予防にも良さそうだからです」(34歳男性/その他)
「元気なら老後の資金も貯めたいし、仕事を辞めたら毎日が退屈そうだから」(51歳男性/その他)
「家にいても暇を持て余すだけだと思うので、定年まで仕事をしていたいです」(57歳男性/コンピュータ関連技術職)
今の職場で65歳を過ぎても元気に働いている方たちを見て、自分が高齢になったときに働いているイメージがしやすいとの見方も。体力が続く限り、死ぬまで働きたいという猛者もいました。
体力の低下から早期退職を希望する声も
null62〜65歳まで働きたいと希望している人は全体の15%ほど。その年齢のラインは「年齢的な体力の限界」と感じている人も多いようです。
「62〜65歳あたりが体力の限界かもと思っています」(55歳女性/その他)
「体力的に70歳まで働けるとは思えません。年金がもらえるようになったら辞めたいです」(42歳女性/その他)
「専門職なので、頭の回転が遅くなる前に引退したいと考えています」(50歳男性/その他)
早めに退職してセカンドライフを楽しみたい
「体調の不安がない時期から仕事以外の楽しみを満喫したいので」(56歳男性/その他)
「働くことだけが人生ではないからです」(44歳男性/学生・フリーター)
「残りの人生は好きなことをして過ごしたいです」(58歳男性/総務・人事・事務)
「仕事が余程興味のある楽しいことではない限り、趣味に時間を使いたいので、なるべく早く辞めたいです」(41歳男性/その他)
「十分お金は貯まっているので、好きなことをして暮らしたいです」(48歳女性/総務・人事・事務)
体力の限界まで働くより、その体力を自分の好きなことに使いたいという声が多数ありました。セカンドライフを楽しむために、若いうちから貯金や投資を始めている人も。老後の金銭的余裕があるかどうかによって、意見が大きく違う印象です。
定年後は「静かな場所」が理想の暮らし
null定年後のライフプランを聞いた結果では「田舎暮らし」、「都会暮らし」の意見が分かれましたが、共通しているのは「静かに暮らしたい」ということ。とにかく、ゆっくりとのんびり過ごすというのが理想のようです。
「便利で静かなところに引っ越して、掃除のバイトでもしながらゆったり過ごしたいです」(58歳女性/その他)
「都会の中でも静かになれる場所で過ごしたい。自然の多いところに興味はないが、静かなところがいいです」(33歳女性/その他)
「理想は静かな涼しいところでのんびり暮らすこと」(47歳女性/主婦)
「贅沢をせず、日々穏やかにのんびり生きていきたい。家庭菜園で自分が食べる野菜を作るなどして質素な生活で十分」(42歳女性/その他)
「都心の便利なところで静かに暮らすのが理想」(37歳男性/その他)
「田舎に住んで、時間に縛られずゆっくりと暮らしたい」(49歳男性/その他)
アクティブ派は旅行三昧!
「主人と日本一周の旅に出たいです」(41歳女性/主婦)
「妻と全国を旅行したい」(34歳男性/総務・人事・事務)
「のんびり世界旅行ですね」(53歳男性/その他)
「体力が続くのであれば、海外にいろいろと旅行に行きたいです」(42歳女性/その他)
「節約しながら温泉旅行三昧したい」(49歳女性/その他)
夫婦で旅行以外にも、子どもや孫たちと共に行きたいと考えている人もいました。せっかく自由な時間が増えるのだから、好きなことを思いっきりしたいですよね!
年金+αの収入は資産運用で
null外で働く体力はないけれど、年金だけでは不安。また、孫たちにお金を使ってあげたい、旅行や趣味にお金を使いたいと思っている人たちは、定年後は資産運用で年金+αの収入を得ることを考えています。
「定年後の収入源として、仮想通貨を考えています」(49歳女性/その他)
「定年後にどれだけ資産を増やせるかによって過ごし方が変わると思っています。悲惨な老後は送りたくないけれど、老体に鞭打って働くのも辛い。何とか株で資産を増やしたいです」(42歳女性/学生・フリーター)
「iDeCoやNISAで増やした老後資金で生活したい」(47歳女性/営業・販売)
「不労所得があったらいいなと思っています」(49歳女性/主婦)
「年金+運用益で暮らす予定」(50歳男性/その他)
自給自足で質素に余生を送りたい派も
「晴耕雨読。家庭菜園で節約しながら、売れるものを少しずつ処分換金して終活して過ごします」(51歳男性/その他)
「田舎の古民家に移住して、自給自足の生活で生きてみたい」(53歳男性/公務員)
「質素にひとり暮らしを維持したいです」(47歳男性/その他)
必要最低限、生活できるだけの収入で、ひたすらのんびりとお金をかけずに生きるのも老後の楽しみかもしれません。
筆者は40代に突入したばかりで、子どもが4歳。子どもが成人し、自立するまではある程度の収入を確保していこうと思っていますが、その後はできれば働きたくない気持ちも……。しかし、年金だけで暮らせるとも思えません。今回のアンケート結果を見て、65歳を超えても働ける体力維持もしくは現段階からの資産運用をしっかり考えていかなければいけないと実感。老後はまだまだのように見えて、実際はすぐそこ。早めの対策が必要そうです。
山形県出身在住。一児の母。出産を機に2020年に東京からUターン。アウトドアとエンタメを得意とするライター。雑誌やWEBメディアに携わる。