「あ行」
nullあーじゅ
「ありがとうを“あーじゅ”と言っている。ありがとうというのが照れ臭く、ありがとう→蟻が10→ありがじゅう→あーじゅと変化して、今の形にたどりついた」(52歳女性/主婦)
あかさかな【赤サカナ】
「マグロを“赤サカナ”と言います。子どもが小さい頃、マグロと言えずに“赤サカナ”と言っていて、そのまま今でも言い続けています」(57歳男性/研究・開発)
うるかす
「“うるかす”=食器を水につける。親が北海道出身で北海道弁らしい?けど他の北海道出身の人には通じなかったことがある」(49歳女性/その他)
おうりください【お売り下さい】
「リサイクルショップ=“お売り下さい”。小学生の時に聞いたハードオフのCMソングで“お売り下さい♪ハードオフ♪”というフレーズが頭から離れなくて、リサイクルショップのことを“お売り下さい”と言っていたら、私の影響で母も言うようになった」(26歳女性/営業・販売)
おつかれさまする【お疲れ様する】
「物を捨てることを“お疲れ様する”と言っています。実際に捨てる際に“お疲れ様でした”と言いながらゴミ袋に入れているのと、自分の為に頑張ってくれた物に対して、捨てるという言葉が嫌だと思って使い始めました。でも人前で言った時には笑われました」(44歳女性/その他)
おでけけ
「お出かけのことを“おでけけ”。子どもがお出かけと言えなかったのが可愛くてそのまま使っています。普通にお出かけと言えるようになった今でも、家族では“おでけけ”が定着していて、子どもも面白がって“お出かけでしょ!”と言い直したりしています」(27歳女性/主婦)
今回のアンケートで特に多く寄せられたのが、子どもの可愛い言い間違いや、自分自身が子どもの頃に使っていた表現が元になっている言葉。家族の歴史が「オリジナルな言葉遣い」となって残っている、とも言えそうですね。
また、「自分の家でしか伝わらない」という基準からは外れますが、両親の出身地の方言が受け継がれているケースも多いよう。「うるかす」は主に北海道・東北で使われるようで、青森県出身の筆者もつい使ってしまう言葉です。
「か行」
nullガーガー
「ドライヤーを“ガーガー”。擬音にして呼ぶ」(21歳女性/総務・人事・事務)
かたまりのごひゃくえん【塊の500円】
「500円玉のことを“塊の500円”と言っていた。100円玉5枚ではないという意味。子どもの頃、おこづかい500円を塊でくれと言ったことから」(46歳女性/その他)
キャラメルハウス
「四角くて可愛い家のことを“キャラメルハウス”と呼んでいる。見た目がなんだかキャラメルみたいなので」(33歳女性/主婦)
ぐるぐるまっぷ
「子どもが、Google Mapsをいい間違えて“ぐるぐるまっぷ”と言い始めてから、可愛かったのでそのまま使っている」(41歳女性/その他)
こずこず
「クッキーやパイなどのお菓子のこぼれた小さなかけらを“こずこず”と言ってしまう。母に“こずこず落とさないように”と言われていた」(43歳男性/会社経営・役員)
コチョ
「“コチョ”。チョコレートと言えなくて、子どもが間違えて使ってからそのまま使うようになった」(48歳男性/会社経営・役員)
ドライヤーを「ガーガー」、四角くて可愛い家を「キャラメルハウス」など、音や見た目が呼び名の由来になっていることも多いよう。
「塊の500円」や「ぐるぐるまっぷ」も、可愛くてつい口に出したくなる言い方です。語感のいい言葉ほど、定着しやすいのかもしれませんね。
「さ行」
nullジョキッ
「USBを“ジョキッ”と言っています。挿す時の音のイメージです。なんとなく気づいたら使っていました」(51歳男性/営業・販売)
ジョシジョシしている
「“ジョシジョシ”している。床などがホコリなどで、ザラついている様子。母親がずっと家で使用していた言葉なので、自然と覚えたが外では通じなかった」(48歳女性/総務・人事・事務)
スープーン
「スープ用に使用するスプーンを“スープーン”と呼んでいる。スプーンの指定がめんどくさかったので短縮した」(22歳男性/学生・フリーター)
すずりん
「すずめのこと。ねずみは“ねずりん”。子どもに、“小さい時は本当にすずりんと言うのだと思っていた”と言われて冷や汗をかいた。実家で姉妹でしゃべっている時になんとなく言いはじめ、そのまま現在まで使用している」(52歳女性/主婦)
両親が使っている言葉が自然と身についていたけれど、家族以外の人と話したら伝わらず、そこで初めて「これは我が家だけの言いまわしだったのか」と気づく……。そんな経験のある人も多いようです。自分が親の立場なら、「外では伝わらない言葉だよ」とあらかじめ教えてあげた方がいいかも?
スープ+スプーン=「スープーン」は、語感があまりにしっくり来すぎていて、使い続けたくなるのもうなずけますね。
「た行」
nullダーナル
「マクドナルドをいつも“ダーナル”(エセ流暢な英語風)と言っています。もともとは、夫婦でお昼の相談をする時に、一度“マクドナルド”という言葉を子どもが聞くと、やっぱり行かないことになってもそれしか受け付けなくなってしまうので、“今日のお昼はダーナルにしとく?”のように使っていました。この表現が夫婦で定着してしまい、子どもにバレた今でも続いています(笑)」(44歳女性/主婦)
ちーちーこ
「愛犬のトイレを“ちーちーこ”と呼んでいる。犬にも覚えやすいように言い方を変えた。犬もすぐに覚えて“ちーちーこ行ってきて”、と言うとトイレができるようになった」(52歳女性/主婦)
チキチキボン
「ヒーターのことを、点火する時の音から“チキチキボン”と呼ぶようになりました」(52歳女性/その他)
ちくわ
「柄が白黒茶のものはすべて“ちくわ”。ねこやモルモットなど」(51歳男性/会社経営・役員)
チャンネル
「テレビのリモコンを“チャンネル”という。親がいつもそう言っていたから」(34歳男性/技術職)
「テレビのリモコン=“チャンネル”。親がリモコンを指さして“チャンネル変えて”と言っているのを聞いて、子どもがリモコン自体の名称が“チャンネル”なのだと勘違いしたのがきっかけ」(53歳男性/その他)
「テレビのリモコンを“チャンネル貸して”とか言っている。今はテレビに限らず、どのリモコンも全て“チャンネル”になった」(58歳男性/その他)
ティッペ
「ティッシュペーパーのことを縮めて“ティッぺ”、トイレットペーパーを縮めて“トイペ”と言う。友人宅で“ティッシュ取って”を“ティッペ取って”と言ってしまい、なにそれ?と言われた」(58歳女性/主婦)
とまちゃん
「トマトは“とまちゃん”、バナナは“ばなちゃん”と呼ぶ。擬人化して、友達のように」(51歳女性/総務・人事・事務)
「た行」の言葉にも、省略形から擬人化まで、さまざまなパターンが見られました。子どもがきっかけになった言葉があるのと同様に、愛犬や愛猫がきっかけになって生まれた言葉もちらほらある様子。
なかでもリモコン=「チャンネル」は多くの人が挙げていた定番の表現! 置いてあるのを取ってあげたり、なくしてしまって探したりと、日頃よく口に出す単語だけに、呼び名が変化しやすいのかもしれません。
「な行」~「は行」
nullぬくぬく
「子どもが、母親に編んでもらったマフラーを“ぬくぬく”と言っています。“普通にマフラーと呼ぶよりも、愛情が込もっている感じがするでしょ?”ということらしい」(53歳男性/その他)
ピヨ
「めんたいこのことを“ピヨ”とよぶ。かねふくのキャラクター・タラピヨから。可愛くて好き」(46歳男性/その他)
ぺちょんぺちょん
「我が家ではテレビのリモコンを“ぺちょんぺちょん”と呼んでいます。旦那の家では昔からテレビのリモコンを“ぺちょんぺちょん”と呼んでいて、我が家でも受け継がれています。ちなみにエアコンのリモコンはリモコンと呼びます」(35歳女性/その他)
ボス
「0歳の息子を子ども用の椅子に座らせる事を“ボス”と言います。肉付きや座り方などに貫録を感じています。映画『ボス・ベイビー』がきっかけです」(31歳女性/主婦)
ポットペトル
「ペットボトルのことを“ポットペトル”。同棲相手が出会った時から言っていた」(49歳女性/その他)
ボフ
「猪の事を鳴き声から“ボフ”と呼んでいます。母と一緒に猪に遭遇した事があり、その時の鳴き声のインパクトがすごかったから」(39歳女性/その他)
ぼんちだから【盆地だから】
「“仕方ないよねー”という雰囲気で、代わりに“盆地だからねー”と言っている。“チケットの抽選また外れちゃった”“盆地だからねー”など。住んでいる場所が盆地かどうかにはまったく関係ないことばかりだが、盆地というワードには不思議な説得力があって、口に出すとなんだか気持ちが楽になる」(30歳男性/その他)
同棲や結婚、子育てを通じて受け継がれていきやすいのも、言葉ならではの面白いポイント。結婚相手が独特な言葉遣いをしていて驚いたが、気づいたら自分も一緒になって使うようになっていた……なんていう微笑ましい変化も「あるある」ですね。
「ピヨ」や「盆地だから」のように、好みや性格が反映されている言葉も。私も仕方ないことがあったら「盆地だからねー」と使ってみたくなりました。
「ま行」~「や行」
nullまくまく
「枕=“まくまく”。もともとは犬の枕を“まくまく”と言っていたが、犬が亡くなってしまったあとも、つい“まくまく”と言ってしまう」(56歳女性/その他)
まねかざるきゃく【招かざる客】
「自宅内に出たゴキブリを“招かざる客”と呼んでいます。家に住んでいるのを認めたくないので外から入ってきたニュアンスに。また“お客さん”だと歓迎しているような表現になるので“招かざる客”となりました。子どもも面白がって我が家で定着した後、外出先で死骸を見た時に指さして“ママ!招かざる客が死んでる!”と大声で言われてしまい、どう反応したら良いか戸惑いました」(43歳女性/その他)
むんむんちゃん
「服にできる毛玉の事を“むんむんちゃん”。きっかけは覚えていないけど、主に母が使ってます」(50歳男性/コンピュータ関連)
モルトボーノ
「美味しい=“モルトボーノ”(Molto buono)。ローマに4年駐在していた祖父が、帰ってきてからも家の中での会話に、ことあるごとにイタリア語の単語を混ぜてくるようになった。いつしかそれが家庭内で浸透し、“モルトボーノ!”の他に、ありがとう=“グラッツィエ!”などもよく使っていた」(30歳女性/コンピュータ関連)
やっしー
「おやすみを“やっしー”と子どもの頃から言っている。きっかけは忘れた」(54歳女性/その他)
「まくまく」「むんむん」など、言いやすくて定着した言葉はずっと使ってしまいますよね。なかには外国語由来の「おもしろワード」もあり、バリエーション豊かです。
外で「招かざる客が死んでる!」はちょっとやめてほしいですが……(笑)。直接口に出さずに済むという意味でも、真似したくなっちゃう便利な表現かも。
「ら行」~「わ行」
nullりか
「分かったと言ったり書いたりするのが面倒で、りか(理解した)。または、もっと略して、“り”と言っている。分かった。と毎回答えるのが面倒だったのがキッカケ。他人に“りか”と言っても伝わらず、説明に余計手間がかかった」(41歳男性/学生・フリーター)
わんめし【ワン飯】
「犬のご飯を“ワン飯”、人間のご飯を“人飯”。ワンコ用も一緒の時間にご飯を食べさせ、人より優先的に準備するため、いつの間にか呼び名で区別するようになった」(49歳女性/主婦)
犬のご飯が“ワン飯”なら、猫のご飯は“ニャン飯”でしょうか。ペットも大切な家族の一員。それゆえ、ペットとの生活に合わせた言葉が生まれていくのも自然なことですね。
理解したという“りか”は初めて聞きましたが、若者の間では、了解しましたの略で「り」や「りょ」を使う人も増えているようです。
家の外では通じない「これって自分の家だけ?」な言葉は、あなたの周りにもきっとあるはず。ぜひ探してみてくださいね!
ライター・編集。1990年青森県弘前市生まれ。編集アルバイト経験を経て『ぷっちぐみ』、『小学一年生』、『ようちえん』、『めばえ』(小学館)など幼児・学年誌の編集執筆やイベント運営を担当。『ねとらぼ』『アリシー』などWEB媒体でのコラムや調査記事、業界誌でのインタビュー記事、SNSのオウンドメディア運営なども行っている。結婚を機に高知県へ移住し、旦那と黒猫との3人暮らし。かわいいものと美味しいものに目がない。