人間関係に疲れてしまう瞬間は多くの人が経験していることだと思いますが、実際に「人間関係をリセット」したことのある人はどれくらいいるのでしょうか。『kufura』では、20~60代の男女499人にアンケート調査を行い、その実態を探りました。
2人に1人が「人間関係をリセットしたことがある」
nullまず、これまでに「人間関係をリセット」したことがあるか聞いたところ、約4割の人が「複数回ある」(44.3%)と答え、「一度だけある」(10.0%)を含めると半数以上の人が、何らかの理由で「人間関係をリセット」した経験があることがわかりました。
【これまでに、「人間関係をリセット」したことはありますか?】
一度だけある・・・50人(10.0%)
複数回ある・・・221人(44.3%)
ない・・・228人(45.7%)
続いて、どのような理由で「人間関係をリセット」することに至ったのかを教えてもらいました。
人間関係のトラブル、価値観の不一致
多かったのは、「人間関係のトラブル」や「価値観の不一致」をあげる声でした。これまで構築してき人間関係にストレスや疑問を抱き、徐々にであったり、ある日突然ふとした瞬間にリセットに踏み切るようです。
「ジムでの人間関係がこじれて」(65歳女性/会社経営・役員)
「建前ばかりの付き合いで本音を探り合う関係が嫌になった」(53歳男性/その他)
「高校時代からの友達で人間関係が嫌になってすべて切りました」(53歳男性/その他)
「根本的に合わないと思った時には全てリセットします」(48歳男性/その他)
「大学時代のサークルの人間関係が面倒になったので社会人になってから連絡を取らなくなった」(35歳男性/公務員)
「友人と言いながらいつも私に頼られて依存されることにほとほと疲れたから。そんな友人ばかりで疲れたので、縁を切ったらとても楽になった」(65歳女性/主婦)
また、「金銭の貸しで返してもらえなかったため、縁を切った」(51歳女性/学生・フリーター)や「しつこく交際を迫ってきたので縁を切った」(67歳男性/コンサルタント)など、金銭や恋愛絡みのトラブルなどから人間関係をリセットしたという人もいました。今後のコミュニケーションが困難だと感じたとき、関係性のリセットを選択するようです。
職場、仕事のストレス
続いて多かったのは、職場や仕事のストレスが起因だったという意見でした。会社での人間関係のこじれから、転勤や転職を機にリセットしたという人が目立ちました。
「ブラックな会社で一緒に働いていた人たちと会うと、嫌な思い出が蘇るため、関係を断った」(50歳女性/総務・人事・事務)
「以前の職場で上司と揉めてぶちぎれ退社。同僚ともそれきり」(61歳男性/営業・販売)
「会社を辞めた後は自分の現状を知られたくなく、全員と連絡を断つ」(42歳女性/デザイン関係)
「自分が体調を壊して前の職場を辞めたときに、自分に対する周りの気遣いが負担に感じたので、人間関係をリセットして、心機一転、新たな生活の一歩を踏み出した」(53歳男性/研究・開発)
「定年退職してからは、気の合う仲間としか会いたくない。元上司に会って胡麻すりたくない」(69歳男性/その他)
転職や転校、引っ越し機に、何となく付き合っていた人との関係を見直し、リセットする人も少なくないようです。「年をとっても付き合える知人は限られてくるので、本当に付き合っていける人だけ連絡をとるようになった」(64歳女性/主婦)という声もありました。
心の健康状態を保つため
人間関係のストレスは、日常生活に深刻な影響を与える場合もあります。心身の不調を感じたとき、人との付き合いが辛いと感じたときにリセットしたという人もいました。
「心の病気になった時に、人との付き合いが辛くなったため」(57歳女性/学生・フリーター)
「精神的に疲れて人間関係をすべて捨てた」(38歳男性/その他)
「相手のわがままに、積年のストレスで押しつぶそうになり苦渋の決断で距離を置くことにした」(59歳男性/営業・販売)
誰とでも気軽につながれる時代であるがゆえに、以前よりもストレスや精神的な負担は増えているのかもしれません。アンケートに寄せられたさまざまな意見からも「人間関係リセット症候群」は、つらいときに人が陥りがちな心理状態であることがわかります。
急に嫌になって、面倒くさくなって
このほか、明確な理由があるわけではないものの、人とのやり取りが面倒になってリセットしてしまったという人も。
「Twitterでフォローしていた人が急に嫌になった時」(33歳女性/主婦)
「マメに連絡出来ないタイプなので、面倒くさくなり、断ち切った」(52歳男性/公務員)
「普段会わない人との関わりが面倒になったから」(64歳男性/その他)
「誘われるのが鬱陶しくなって、連絡を無視し続けて縁を切る形に」(44歳男性/その他)
どのような人間関係にも面倒なことはつきものですが、自分のキャパシティーを超えてしまうと、もう無理!となってしまうようです。
人間関係をリセットされたこと、半数以上が「わからない」
null2人に1人が「人間関係をリセットしたことがある」と回答しましたが、反対に、人間関係をリセットされたことはあるか聞いてみました。
【周囲の人から人間関係をリセットされたことはありますか?】
一度だけある・・・20人(4.0%)
複数回ある・・・87人(17.4%)
ない・・・128人(25.7%)
わからない・・・264人(52.9%)
「一度だけある」「複数回ある」を合わせて、約2割の人が人間関係をリセットされた経験があることがわかりました。
「わからない」(52.9%)と答えた人が多く、疎遠になった人がいたとしても、それが人間関係をリセットされてのものなのかは判断できないため、実際にリセットされたことのある人は、もう少し多いのかもしれません。
人間関係をリセットされた経験があると回答した107人に、それがわかった理由を尋ねたところ、以下のようになりました。
【「人間関係がリセットされた」とわかった理由について、以下のうち当てはまるものをすべて選んでください】
連絡がとれなくなった・・・72人(24.6%)
何かに誘っても一切来なくなった・・・29人(9.9%)
その人がSNSアカウントを消した・・・12人(4.1%)
転職・転校などコミュニティからその人が去った・・・16人(15.0%)
共通の知り合いなどから噂で聞いた・・・10人(9.3%)
その他・・・19人(17.8%)
「連絡がとれなくなった」ことを機に、距離を置かれたことに気付いたという人が多く、次いで「転職・転校などコミュニティからその人が去った」が続きました。
人間関係をリセットすること、ズバリどう思う?
null最後に、人間関係をリセットすることについてどう思うか、率直な意見を聞いてみたところ、さまざまな声が寄せられました。
いいと思う、必要だ
「お互いに、自分の人生をよりよくする為の権利だと思う」(43歳女性/主婦)
「その人が自分を守るために必要なら良いと思う」(40歳女性/その他)
「悪いほうに進むこともあるので人間関係のリセットは必要だと思う」(52歳女性/主婦)
「自分の気持ちの整理のためにはあってもいいと思う。無闇にリセットするのは、賛成できないが我慢してまで関係を続ける必要はない」(41歳女性/主婦)
肯定的な意見が多く、その人の状況によっては人間関係をリセットすることでその後の人生が開けることもあるので、ネガティブな選択とは限らないと考える人が多くいました。
仕方がないと思う
「あまり良い事だとは思わないが、そういった精神状態なら仕方ないと思う」(50歳女性/主婦)
「その後の自分の生きる道のためには、ある程度整理するのは仕方がないと思う」(60歳男性/学生・フリーター)
「年数が経つとそれぞれの置かれる状況が変わるので、場合によっては仕方ないかなと思う」(47歳男性/学生・フリーター)
自分を守るための選択、プライバシーの保護という観点から、仕方がないという考えも。
いいとは思うが…
「いいとは思うが、やり方が失礼なことが多いため、もう少し丁寧にできないものかと思う」(41歳男性/学生・フリーター)
「何かトラブルがあってリセットされたのなら仕方ないと思うが、ごく普通に接してきた上で突然リセットされたら二度と関わりたくないと思う」(29歳女性/総務・人事・事務)
「その当時の感情により仕方なかったと思えるが、後々罪悪感が残ることもある」(51歳男性/その他)
人間関係をリセットすることに理解は示しつつも、一方的なリセットにはもやもやしてしまう、せめて理由は知りたいという指摘もありました。
いい気持ちはしない
「時と場合にもよると思うが、いきなりリセットするのは、相手に対して失礼だと思う」(68歳男性/その他)
「失礼だし、リセットするなら元からつながらなければいいと思う」(30歳女性/主婦)
少数派ではありましたが、あまりいい気持ちはしないという人も。突然音信不通になると「なにあったのかな」「具合が悪いのかも」と心配になってしまうという声がありました。周囲の人に不安や不信感を与えてしまうケースも考えられます。
過去の問題を解決するために人間関係のリセットが必要な場合もあるでしょう。自分にとって健康的でポジティブな選択であると感じる場合は、アカウントや連絡先を削除することはひとつの手段です。しかし、それは大切な縁までも手放してしまうことになるかもしれません。状況にもよりますが、リセットしたいという気持ちが芽生えそうになったら、その対象から適度な距離をとるようにする、誰かに相談するなど、自分なりの対処法を身につけていきたいですね。
エディター/ライター。大学在学時からライターとして活動、気付けばもうすぐフリーライター歴20年。webサイトや書籍の編集・ライティングなどを担当。料理と暮らしまわりの手仕事が趣味。根っからのインドア派だが、3児の母となりアウトドアの楽しさにも目覚めたところ。