自然も人も心地いいハワイでの生活
nullハワイ・オアフ島に暮らしておよそ7年。生活し始めてすぐに、ハワイの生活に魅了されていきました。
もちろん外国人が海外で生活することは、言葉の難しさや文化の違いなど、大変なことも数多くあります。
でもそれを上回る良さがあると感じさせてくれるのがハワイでした。海がそばにある生活がこれほど心地いいと思ったことはありませんし、地元の人が本当に優しくて、温かい人が多いことも魅力のひとつです。
そんなハワイは、観光で成り立っている島であり、ワイキキはいつも多くの観光客でにぎわっているハワイの象徴。それが、新型コロナで大きく変わっていったのです。
2度のロックダウン。一番つらかったのは…
null現在までに、ハワイでは2度のロックダウンを経験。スーパーや病院などの「必要不可欠な業種」以外は、すべてのビジネスの営業が許可されず、レストランや小売店は閉鎖。公園やビーチにはゲートが張られて中に入れないようになりました。
感染防止のために、不必要に外出することは避け、食料品の買い出しを週に1度だけまとめて行う生活がしばらく続いたのを覚えています。
マスクを着用していないと罰金が科せられるなど、厳しい措置が行われたこともありましたが、筆者にとって一番つらかったのはビーチが閉鎖されたこと。本来なら週末はビーチで過ごしてリフレッシュできるのに、それが自由にできないことは、精神的にも寂しさを感じる出来事でした。
ただ、ハワイらしいと感じさせるルールが、ビーチは閉鎖されていても、サーフィンのために海に入ることは許可されていたこと。海の中でもソーシャルディスタンスを保てれば、運動のためにサーフィンすることは認められていたんです。
かつての賑わいが嘘のよう…街から人の姿が消えた
null2020年3月下旬に最初のロックダウンが行われ、ハワイ到着者全員に14日間の自己隔離が義務付けられると、同時に日本とハワイを結ぶ直行便が相次いで運休。観光客の中心となるワイキキでは、大部分のホテルや小売店、飲食店などが営業中止に追い込まれ、街から観光客の姿がすっかり消えてしまいました。
観光業を基幹産業とするハワイでは、観光客が来ないのは致命的。多くの人が解雇に追い込まれ、ハワイ州の失業率は2020年4月に22.3%となり、約14万人が失業してしまったのです。
現地で働く日本人にとっては、失業は日本帰国にも繋がる死活問題です。ロックダウンで日本の直行便が途絶える前に、家具や荷物はそのままに、慌てて日本に戻った……という在住日本人の話をあちこちで耳にしました。
またビザの更新時期を迎えても、会社から更新してもらえず、あえなく帰国することになった、というケースも少なくなかったようです。もしかしたら、志なかばに日本に帰らざるを得なかった人もいたのではないでしょうか。
何気ない一日に感謝。「幸せの価値観」が変わった
null幸いなことに筆者は失業は免れましたが、職を失ったり収入が激減したりする不安感に襲われたことを覚えています。
ハワイは住宅費も食費も、すべての物価が東京以上に高く、家賃だけで毎月数千ドル(約数十万円)払っているのはザラ。そんななか、「ここで収入を失うことになったら、どうしよう……」と、ハワイに暮らすほとんどの人が不安を覚えたはずです。
「最悪の場合は、自分も帰国することになるかもしれない」と思っていただけに、一日一日を過ごせたことに感謝。「仕事ができて、毎日生活できること」に、シンプルに幸せを感じ、感謝する心が強く芽生えていきました。
今ではハワイ経済が少しずつ回復。コロナ前と近い生活をできるようになっていますが、それでも感謝する気持ちは絶対に忘れてはいけないことだと思っています。
以前のような“理想的なリゾート”を取り戻しつつあるハワイですが、コロナによって以前とは変わったこともあります。後編では、ハワイの主要産業である“観光”にスポットをあててお届けします。
<後編>へ続く
【参考】
・イゲ州知事による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に対する緊急宣言の発表 – ハワイ州 新型コロナウイルス情報サイト
https://www.allhawaii.jp/covid19/news/200323/
・「HAWAI‘I’S UNEMPLOYMENT RATE AT 22.3 PERCENT IN APRIL Jobs declined by 121,800 over-the-month」- DEPARTMENT OF LABOR AND INDUSTRIAL RELATIONS
https://labor.hawaii.gov/wp-content/uploads/2020/05/20200521April-UI-Rate-PR.pdf
佐藤まきこ
雑誌・ウェブ編集者やファッションビルの広告・プロモーションのプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、現在はフリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。