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「私らしさ、って何だっけ?」落ち込んだ自分をリセットする、3つの「はなす」【コロナ禍育児/第4回 】

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日本がコロナ禍となり1年半になろうとしています。感染拡大の波を繰り返す中で、家族での密な暮らしに楽しみを見つけられる人もいれば、子育てや夫婦関係が思い通りにいかずに落ち込んだ気持ちを元に戻せず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

そこで、コーチングをベースに“ママがイキイキすること”を大切にする子育てを日本各地から海外での講演、著書やテレビ出演など様々なメディアで伝えてきたコミュニケーションコーチの山崎洋実さんにオンラインで取材をしました。第4回は、【ママを元気に編】です。

写真はDVD「ひろっしゅコーチのママイキファイナル」より

「私自身も、予定していた講演が全てキャンセルになったことや、息子が大学生になって子育てを終えたこと、仕事の環境の変化など色々なことが重なって、心が病む直前まで落ち込みました。私よりも苦しい状況にいる人がたくさんいるのはもちろんですが、どうしてギリギリで踏ん張れたのか、自分を取り戻せた今だからわかったことをお伝えします」

溢れんばかりのエネルギーをまとっていて、笑いあり涙ありの講演でママたちを元気にしてくれる人柄の山崎さんですら、自分を見失いかけたコロナ禍。その経験をふまえ、これまで伝えてきた『3つの“はなす”』をキーワードに、【コロナ禍育児】連載の最終回をお届けします。

 

【1:話す】メールではなく、直接的なコミュニケーションを

「悩んだりつらい気持ちをひとりで抱え込まないで、誰かに“話す”ことを考えてみてください。今後もあるかもしれませんが、感染が拡大して会うのが難しい時期なら電話をして、会える状況なら短時間でもいい。

メールでも語れる時代ではありますが、顔も見られないし時差があるので、自分の気持ちを受け取ってもらった感じが薄まってしまいます。メールでは“ちょっと話したいんだけど、今晩時間ある?”と相手の都合を聞くだけにして、時差のない会話をしましょう。

相手も育児に仕事に忙しいだろうから、電話しづらいですか? それは、気遣いという名の遠慮です。遠慮してしまうと、言いたいことが言えず人間関係もどんどん苦しくなっていきますよ。忙しいかどうかは相手が決めること。 “ごめん、今日はちょっとムリ”と言われたら、あなたは次の人に連絡すればいいだけなので、先回りして遠慮しなくて大丈夫です。

話すことであなたの気持ちを受け止めてもらえるし、話すことはコミュニケーション基本なので、その練習にもなりますよ。もっとたくさんの人にいつでも会える状況になった時に役立ちます。オンラインで会話できるツールが身近になったので、できれば顔を見ながら話せるとなお良し!です」

   子どもの送り迎えの合間に交わす会話や、仕事場での気楽な雑談で心がゆるむような経験が圧倒的に減ったコロナ禍。人と話してこそコミュニケーション能力が磨かれることも含め、“話す”ことの大切さを改めて感じました。

【2:放す】「つらい」「助けて」を発信して、頑張る自分を“手放す”

乳幼児ママ編では、自分でできる“頑張る自分の手放し方”をお伝えしましたが、誰かに頼って助けてもらうことで、頑張る自分を手放すのも一つの方法です。いま、皆が大変な思いをしているし、私より苦しい状況の人もいると思うと、“つらい”“助けて”と口に出しにくいかもしれません。“コロナ禍だから、しょうがないよね”と我慢に慣れてしまっている人もいるのでは?

私は落ち込んでいた1年間は、たくさん電話して、会える時には会って、色々な人に自分の苦しい気持ちを聞いてもらいました。そうやって助けてもらった時のことを思い出すといまでも涙が出るくらい……。ひとりじゃ生きていけないということが、このコロナ禍で改めて身に沁みました。

子育ては、頑張る自分を手放して、甘える練習の積み重ねです。いま育休中のママだって、職場に戻ったらひとりで仕事なんてできないんだから、いまが甘える練習をするチャンス。

意外とね、頼ってみると喜ばれるものです。だって、嫌いな人には頼らないでしょ? 頼ることで相手には“あなたのことが好きで、信頼しています”という気持ちが伝わるから、“迷惑かも……”という憶測はいりません。図々しいくらいがちょうどいいです。

“人に迷惑をかけちゃいけない”と思い込んで子育てをするお母さんがいますが、たくさんの人の手を借りていいということは、子どもにも伝えなくちゃいけない。そのためにも、お母さんがひとりでがんばっちゃダメなんですよ。

それに、誰かに頼ることは“あなたも困った時は、私を頼ってね”というメッセージになるの。自分から“助けて”と言えることは、助け合う人間関係を作ることで大事なことなんですよ」

―――頼られるのは嬉しいけれど、頼るのは苦手という人は、頑張っている自分を手放せずにいるのかもしれません。自分からSOSを出すことができたなら、それは新しい自分との出会いだし、もう一歩深い人間関係を築けるということですね。

【3:離す】別世界を知る時間を持って、自分の世界から離れてみる

「人と話すことや、誰かに頼ることがなかなかできなくて、ネットで『コロナ』『つらい』なんて検索してどんどん悩みが深くなってしまうタイプの人がいますが、“あたし、なんでこんなにしんどいんだろう!”という状況とちょっと“離れる”時間を意識的に作ってみてください。

コロナ禍前は、家の外に出ることで非日常を体験することができたけど、いまは難しい。私は自粛期間中に、主人公たちの人生を何シーズンにも渡って描く海外ドラマを観ていました。

物語を通して違う人生を歩んだ気持ちになれるし、自分の世界とは違うところで感情を動かすことで、ひとりで悩んでいた自分を俯瞰で見れる瞬間を持てる。例えば、子どもが巣立った後の夫婦のシーンを見て、“いまの私は大変だけど、子どもとの暮らしって幸せかも”と、ふと思えたりする。

子どもが同世代のママ友と育児の悩みを分かち合うのもいいですが、その渦中を終えた先輩ママの話を聞くことも、いまの自分から離れる方法です。

講演でも何度もお伝えしてきましたが、子育ては期間限定で必ず終りが来ます。子育てを終えた人だけが言えることだけど、本当にあっという間! 子育て真っ最中のママは、いまは苦しくても、安心してほしい。全部が武勇伝になって、全部が懐かしくなるの。

子どもが自立した人に話を聞くと、きょうだいの中でも手がかかった子の思い出話ばっかり! その子に手がかかればかかるほど、ママにはたくさんの思い出が残って最後にいっぱい幸せを味わうことができて、髪を振り乱して子育てしていた日々を愛しく思える時が必ずやってきます。

“大変だけどいまがいちばんいい時だよ”と押し付けたいわけではなくて、つらくてしんどい思いをした時に、“子育ては期間限定”という言葉を思い出して、自分の現在地からちょっと離れてみてほしい、ということです。

 

自らの子育てを終え、16年間ママたちにパワーを送りづつけてきた山崎さんが、コロナ禍育児に悩むママを全力で励ましてくれた本連載。コロナ禍に子育てをしている世代は、長い間行動が制限される分、親自身も視野が狭くなりがちだと思います。山崎さんのお話が、新しい視点を持って、閉じこもった気持ちの抜け穴を見つけるきっかけになればと思います。

【取材協力】

コミュニケーションコーチ:山崎洋実(やまさき ひろみ)※正しくは「崎」は「たつさき」

1971年生まれ。旅行代理店、大手英会話学校勤務を経て、コーチング講師に。2004年にママの特徴に合わせ、豊富な事例とともに体系的に伝える育児講座をスタートし、”ひろっしゅコーチ”の愛称と共に全国区の人気に。16年間のママ向け講座の集大成を収めたDVD「ひろっしゅコーチのママイキファイナル@大井町きゅりあん」が好評発売中。また、コロナ禍でもSNSやファンクラブの無料zoom通して、悩めるママと積極的に関わり情報を発信している。企業セミナー等で開催する講座『戦わないコミュニケーション』、著書『完全版 ママでいるのがつらくなったら読むマンガ』(主婦の友社)、『テレビ寺子屋』(テレビ静岡)等、幅広く活躍中。最新情報は、山崎洋実公式ブログ『ひろっしゅ流 戦わないコミュニケーション』にて。

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