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小学生の子どもに「〇〇しなさい!〇〇はダメ!」の落とし穴と、自己信頼感の高め方【コロナ禍育児/第2回 小学生ママ編】

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昨年、突然の小・中学校などの休校に始まり、今年も夏休みの延長や短縮授業など、コロナ禍での子育てはまだ続きそうな気配……。子どもと密に関わることを楽しめる人もいれば、世の中の不安感も重なってつらく感じてしまう人もいるのではないでしょうか。

そこで、16年間、コーチングをベースに“ママがイキイキすることを大切にする子育て”を、講演やテレビ出演など様々なメディアで伝えてきたコミュニケーションコーチの山崎洋実さんにオンラインでお話を聞きました。

前回の【乳幼児ママ編】では、エネルギッシュな山崎さんに励まされながら、頑張りすぎている自分を手放して、まずはママ自身が機嫌よくいることの大切さを学びました。今回は、小学生の子どもを持つkufuraの副編集長と私のリアルな悩みから、思春期にはいる前だから大切にしたい子どもとの関わり方について教わりました。

子どもをコントロールしていませんか?小学生になったら“手放す”練習を!

山崎さん:コミュニケーションの基本なのですが、世の中にはコントロールできることと、できないことがある、ということをまず知ってほしい。『過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分』です。“他人”は“子ども”にも置きかえられるので、変えられないものを変えようとしてしんどくなってしまうんです。

副編集長:思春期にはいる前に、子どもと関われるうちに、気になるところは直してあげなくちゃ!と思っていました。

駿河:私も! このままじゃ将来困るんじゃない?と心配しすぎてムキになっていたかもしれません。

山崎さん:そうねぇ。“変えてあげよう!”というのは、基本は親の愛情でやっているのよね。でも、子どもに行動の指示が通るピークは5歳までなんです。小学生になったら、お母さんの言うことを聞く時代は終わっているということですね。お子さんの性格によってはまだまだ言う事をきくかもしれませんが、思春期以降の親子関係にひずみが出てしまうから、少しずつ手を放していくことを意識してみてください。

駿河:コロナ禍で家で一緒にいることが多くなったせいか、子どもが見ている動画の内容とかも気になってしまって。そのチャンネルやめなさい!と言わない方がよかったのかな。

山崎さん:親としては、家にいて動画ばかり見ているなら、せめて勉強になりそうなものを見て欲しい、という気持ちもわかります。子どもの害になるようなものはもちろんやめさせたほうがいいけれど、お母さんの好みと合わなくても、認めてあげて。その子自身が好きなもの、つまり、子どもの本質は変わらないと思って接してください。

副編集長:私は、子どもが部屋を散らかしっぱなしにしていたり、支度が遅かったり、ダラダラしている姿が気になります。自分とそっくりなのに(笑)、なぜか子どもには“やりなさい!”と言ってしまう……。

山崎さん:それはね、実はそういう自分を、自分で許していないから。だから子どもはちゃんとさせたい!と思ってしまう。でも、子どもにとっては、余計なお世話ですね(笑)

副編集長:うわ~! 自分のできなさを子どもに押し付けていたかもしれません。子どもはコントロールできないものだという前提を知っているだけでも、お互いにとってラクになれそうです。

山崎さん:そうそう! いますぐ手を放せなくても、知っておくだけでもいいの。子どもが言う事をきかないことがあった時、「あっ! コントロールできないんだった!」と気づける瞬間が来るので大丈夫です。

大げさに褒めなくても、子どもが満たされる関わり方は?

山崎さん:お母さんの好みじゃない動画を見ていたとしても、危ないものを見ていないかチェックすることも含めて“どういうところが面白いの?”“そういう見方もあるんだ!”と、その子を肯定してあげられるといいですね。時々でもいいから、お母さんがちょっと隣にいて肯定してあげるだけでも、満たされるものですよ。

例えば、子どもが小学生になると「勉強しなさい!」と言うシーンが増えますよね。いざ勉強を始めたら「姿勢が悪い!」と怒るでしょう? 姿勢を直したら「字が汚い!」とまた怒る。

副編集長:あるあるです! 汚い字を消した後に「キレイに消しなさい!」とさらに追い打ちをかけてしまう……。

山崎さん:常に”ダメ“ばかり言われたら、大人だってやる気がなくなりますよね。どうして勉強しなくなるかというと、やり始めると怒られ続けるからですよ?

人は、大人でも子どもでも、認めてもらって、受け入れてもらいたいもの。私は、『見・留める』という言い方をするのですが、大げさに褒めなくても、その事実に気づいていることを伝えるだけで十分です。

なので、お子さんが勉強に取り掛かることができたなら、「えらい! すごい!」と褒めなくても、「勉強してるね~」と言えればOK。”お母さんは気づいているよ”というメッセージが伝われば、お子さんにマルをつけてあげたことになるんです。

バツばかりつけて否定しないで、子どもを肯定してあげられるようなマルを探して、たくさんマルをつけてあげてくださいね。

お母さんが“マルつけ”を頑張ると、子どもに一生使るスキルが身に付く!

山崎さん:私はよく「コーチは、人の懐に飛び込むのがうまいですね。きっと、受け止めてもらえる自信があるんですね」と言われることがあって、確かに私、息子が受験生の頃は出張がはいるとママ友に塾弁を作ってもらっていたし、洗濯機が壊れたときはママ友をはしごして洗濯機を借りたり、たくさん人に甘えて子育てしてきました。

でも、どうして私が人に甘えられるかというと、コーチングを体系的に学んで紐解いてみたら、親が私にいっぱいマルをつけて育ててくれたから。コーチングのスキルでいうところの『承認』なのですが、そうやって受け入れてもらった経験を積み重ねてきたから、私には『自己信頼感』があるということがわかったんです。

『自己信頼感』があれば、自分に自信が持てて、人に甘えることもできるようになるし、落ち込んだ時や苦しいことがあったときの回復も早い。今回のコロナ禍のように、突然危機的な状況が起こるような、これからの時代に使える一生モノのスキルです。

コントロール不可能な子どもが変わるタイミングは?

山崎さん:お子さん自身が変わるのは、危機感か目標を持ったときです。忘れ物をしたら恥をかく約束の時間を守らないと仲間外れにされると、いらぬ先回りをして親が手を出してしまうと、その子が変わるキッカケを奪ってしまいます。

大切なのは、子ども自身が困った経験をすること。

忘れ物に例えるなら、忘れない工夫を自分で考えたり、忘れた時に頼れる人を自分で探せるようになるということです。親がコントロールしたり、忘れたことを怒るのは、“忘れ物ばかりするダメな子だ”とレッテルを貼っていることと同じ。忘れっぽいことだけでなく、子どもが自分に自信が持てなくなるような二次被害が出てしまいますよ。

目標を持つということについて、私の経験談なのですが、数年前に22㎏もダイエットに成功したんです。すごいでしょ(笑)。母に何年も痩せるように言われて、それが愛情だということも、アドバイスが間違っていないこともよ~くわかっているのにやる気になれなかったの。

でも、「こんな60歳になりたい!」と目標にする女性に出会った時に、私にやる気スイッチがはいって、ダイエットの神様が降りてきたんですよね。“なんで今までやらなかったの、私!?”と思ったけど、その時が私にとってのタイミングだったということです。

人は、誰かにコントロールされるのではなくて、自分で気がつきたいし、自分で変わりたいものです。親はいますぐ目の前で変わってほしいと思ってしまうけれど、その子のタイミングで、必要になった時に変われるので、大丈夫!

“変わりたい!”と思った時に行動に移せる子どもの前提は、“ぼくは、私は、やればできるんだ!”という『自己信頼感』があることです。そのスイッチをいつでも押せるように、お母さんができることは、お子さんをコントロールすることではなくて、マルをいっぱいつけてあげることなんですね。

知っているだけでも親子関係がうまくいく!小学生の子どもに関するキーワードは?

山崎さん:小学生のお子さんがいるママには、日常にぜひ取り入れてもらいたいキーワードがあるの。何か想像できます?

駿河:『頑張る』とか『一生懸命』とか? 学校の標語のようなものでしょうか?

山崎さん:そう思うお母さんは、子育てに悩みがち! 私は小学校にもよく講演に行くのですが”最後までやり抜く子”みたいな教育目標を掲げているのを見ると、そうやって教育された子どもが、将来、頑張りすぎて自分を追い込んでしまうんじゃないかと心配になっちゃう!

小学生の子育てのキーワードは、『楽しい』です。

『真面目に』『正しく』をキーワードに頑張っているお母さんにとっては、真逆だと思いますが、どうして子どもがゲームや動画に走るかというと、家の中が楽しくないからですよ?

副編集長:確かに! 思い当たる節がありすぎます……。でも、日常に『楽しい』を散りばめるにはどうしたらいいですか?

山崎さん:例えば、宿題のプリントを隠して、「10分以内に見つけたら今日は5問だけでいいで~す!」とゲーム感覚を取り入れてみる。そうやって楽しく勉強にとりかかると、意外と最後までやりきるものです。もし、本当に5問しかできなくてもいいじゃない。必ず完璧に仕上げて提出させようとして、ガミガミ言うよりも、楽しい時間を過ごす方が親子で機嫌よく過ごせます。

子どもが家に帰ってくる時に、ママが顔にペイントしたりかぶりモノをして出迎えるくらいり振り切ったふざけ方もアリですよ? 私の場合は、美味しいものを食べた時に息子とお決まりの踊りをしていました。その名も“おいしそダンス”です(笑)。

 駿河:すみません、私そういうキャラじゃなくて……かぶりモノとか、踊るとか、日常的にやるのは難しいです(汗)。

 山崎さん:“私、真面目なので子どもの前でふざけられません”というママが多いのよね~。ユーモアと言い換えたらしっくりくるのかな? 前回、家事の手抜きの方法でもお話したけど、”自分に合う“ものでいいから、子どもが楽しくなるようなちょっとした仕掛けを考えてみて?

ちなみに、息子が高校生になったある日、“お母さん、おいしそダンスやろう”と言われたことがあったの。178㎝のヒゲが生えてきた息子と、48歳の母がリビングで踊りました(笑)。

幼いころの楽しかった関わりが彼の中に残っていたことを知って、嬉しかった! 子育ては、“循環”です。いいことも悪いことも、お母さんがやったことが返ってきますよ

 思いっきり関わってあげられるのも、12歳まで、小学生のうちです。楽しい日常の中でマルをいっぱいつけてあげて、“あなたは大丈夫!”という魔法をたくさんかけてあげください。そうやって『自己信頼感』の土台を育んで、思春期に親から離れていくことが、小学生の子育ての目標です。

 そのためには、前回もお話しましたが、ママがご機嫌で余裕がある状態でいることが大前提ということをお忘れなく! ご機嫌じゃなきゃ、子どもの前でふざけるなんて、ますますできないでしょ?(笑)

―――子どもの前でちゃんとしていなくちゃ!という思いや、コロナ禍の閉塞感も重なって、“楽しさ”からは私自身も遠ざかっていたかもしれません。近ごろは子どもに×ばかりつけていたことを深~く反省しました。山崎さんには“反省しても遅いです!”とズバッと言われましたが、“バツをマルで上書きできる”ことも合わせて教えていただきました。

山崎さんのお話が、子どもと関わる時間が増えたコロナ禍に子育てをしているお母さんにとって、自分にも我が子にもマルをたくさんつけられる子育てのヒントになればと思います。

 

次回は、コロナ禍の【夫婦関係編】をお届けします。リモートワークが増えたことで生じたお互いの価値観の違いに戸惑ったとき、どんな風にコミュニケーションをとればうまくいくのでしょうか? 夫と真逆のタイプ!という“ひろっしゅコーチ”が教えてくれます。


 

【取材協力】

コミュニケーションコーチ:山崎洋実(やまさき ひろみ)※正しくは「崎」は「たつさき」

1971年生まれ。旅行代理店、大手英会話学校勤務を経て、コーチング講師に。2004年にママの特徴に合わせ、豊富な事例とともに体系的に伝える育児講座をスタートし、”ひろっしゅコーチ”の愛称と共に全国区の人気に。16年間のママ向け講座の集大成を収めたDVD「ひろっしゅコーチのママイキファイナル@大井町きゅりあん」が好評発売中。また、コロナ禍でもSNSやファンクラブの無料zoom通して、悩めるママと積極的に関わり情報を発信している。企業セミナー等で開催する講座『戦わないコミュニケーション』、著書『完全版 ママでいるのがつらくなったら読むマンガ』(主婦の友社)、『テレビ寺子屋』(テレビ静岡)等、幅広く活躍中。株式会社オールラウンド所属。

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