“自分”を知ると、子育てがラクになる!
null筆者が受講したのは、山崎さんが15年間続けている「ママのイキイキ応援プログラム」。スポットを当てるのは、”子ども”ではなく、”ママ自身”というのが特徴です。
まずは、3人1組になって【参加理由】や【私って〇〇な人】など自己紹介ゲーム”からスタート。初対面同士のグループで、発表の順番も自分たちで決めるというのでドキドキです。
山崎さんの「参加理由は、皆さん何をせっぱつまってここにいるのか、どのあたりを病んでるのかってことです! それから、子どもの話はしないこと! (前髪をかき上げながら)“えっと~、子どもは何歳で~”とか言うんだもん。自分の話をしてくださいね!」と直球コメント&ジェスチャーつきの注意事項に会場はどっと沸いて楽しい雰囲気でスタートしました。
この自己紹介ゲーム、”自分のパターン”の気づきをにおわせる仕掛けが満載でした!
ちなみに、筆者は順番決めでトップバッターをかって出たのですが、このパターンの人は、”積極的もしくは、誰もいなかったら頑張ってやっちゃう人”だそうです。
確かに、子どもの幼稚園や小学校の委員決めで、手が挙がらない雰囲気に耐え切れず引き受けちゃうことを繰り返してきました……。
【私って〇〇な人】では、「私って八方美人な人。あちこちで良い顔するのに疲れちゃって、家では荒れてます~」と自己紹介。
こんな風に自分をネガティブに表現した人は、子どもやパートナーについてもマイナス眼鏡で見てしまうパターンを持っているそう。
山崎さんの「そういう人は、子育てが辛くなってしまうタイプ。しんどい思いをしていませんか?」
という問いかけに、”どうして私のコトわかるんですか!?”とがっちりハートをつかまれた筆者。他にも、自己紹介ゲームの仕掛けのタネ明かしの度に、会場からは笑いや”当たってる~!”とばかりのどよめきが起こっていました。
筆者は、マイナス眼鏡をかけているタイプだったことが発覚! いいこともしているはずの子どもや夫の行動にプリプリしたり、子育てを辛く感じていたのは、しんどいスパイラルにハマっていたんだなと気づきました。彼らに原因があったのではなく、”自分自身のパターン”に理由があったんですね。
逆に、プラス眼鏡をかけているパターンの人は、子どもやパートナーのいいところを見られるので、いつもニコニコ楽しく子育てができるそうです。
こんな風に、自分の気質やいつものパターンを知ると、上手くいかない時の気づきになったり、違うパターンを試すきっかけになるそうです。早速、今日から、イラッとした時や子育てをしんどく感じた時、マイナス眼鏡を外して、プラス眼鏡をかけるように心がけよう!と思いました。
お天気と子どもの気持ちは一緒!コントロールできないものだと知る
null「うちの子、全然言う事きかなくて困ってるんです!」と、子育てをしている間に何度か(筆者は数えきれないほどですが)口にしたり、悩んだことがあるはず。
山崎さんは、
「大人の言う事をきかせて子どもをコントロールしようとすることは、お天気をコントロールしようとすることと同じ」と説きます。
「人間は【行動】指示には従えるけれど、【感情】の指示には従えません。例えば、いま私が”隣の人と握手して”と言ったらできるけど、”もっと楽しんで!”と言っても楽しい気持ちにはなりませんよね? 子どもとお出かけして”もっと楽しみなさい! せっかく来たんだから!”と言うのも、【感情】に指示をしているのと同じことです。
お天気がコントロールできないように、人の感情もコントロールすることはできません。空に向かってどんなに”雨降れー!”って怒鳴ったって、雨は降りませんよね。毎日、”雨降れ!“っていう子育ては……しんどいですよね?」
さらに、【行動】の指示についても、従う事は簡単だけど継続が難しいそうです。なんと、子どもに行動の指示が通るピークは5歳!
「うちの子、5歳より上じゃん!っていう人、手を挙げて~。(会場の9割が手を挙げる)はい、言う事ききません! 脅しやモノで釣れるのはちっちゃい時だけ!」
このやりとりに会場は笑いで盛り上がったものの、内心、“やばい! もうとっくに言う事きかない歳なんだ!”と焦った母は、筆者だけではなかったはず……。
「世の中には、コントロールできることとできないことがあります。コントロールできないことは手放して! そして、自分がコントロールできることを日常の中から探してみてください」(山崎さん)
子どもの【感情】はもちろん、ひいては【行動】すらも親の思い通りにはできない。お天気にお置き換えれば当たり前のことなのに、どうして気がつかなかったんだろう……。では、コントロールできることって何!?
変えられるのは他人じゃなくて自分!自分とうまく付き合う方法は?
null“育児あるある”の再現も超リアルで笑いを誘う山崎さん。
『今日は何をやってもうまくいかなくてイライラしながら子連れで買い物中に、顔見知りのママ友に遭遇する』シチュエーションを披露して、受講者をぐいぐい惹きつけたところで、「こんな時みなさんはどうしますか? はい、やってみて!」と投げかけます。
さっきまで“買い物しないと晩御飯ないよ!“と眉間にシワを寄せていたはずなのに、ママ友に会った想定の受講者たちのアクションは、一様にニッコリ微笑んでご挨拶。
「ほら、コントロールできたじゃん!」という山崎さんの声掛けに、他人の感情はコントロールできないけれど、自分の感情ならコントロールできるということに一同が気がつきます。
「過去と他人は変えられない。変えられるのは自分と未来なんです。不機嫌な他人を変えることができないなら、自分がいつでもご機嫌でいることです。“元気”という字は、“気”を”元に“と書きますよね。誰かが自分を元気にしてくれるワケではないので、”えいっ“と自分で元に戻せるような感情をコントロールする練習をしていくことが大事です」
”世の中はバランスで成り立っている”に気付けば感情のコントロールが上手くいく!
null子どもや夫の不機嫌に遭遇したとき時、自分が余裕を持った状態でいるにはどうしたらいいのか”こんな見方や、こんな考え方もあるよ!”と山崎さん流に教えてくれました。
「家の中で機嫌を悪くしているということは、子どもや夫だって外では感情をコントロールしている証拠。外で頑張って、家で緩んでいる状態なんです。あなたの目の前でいい子やいい夫でなくても、”家庭の中と外でバランスを取って頑張っていることを知ってるよ!”とイメージしてやってくださいね」
【その1】
「片方の腕を前に伸ばして、“バランス~!”って唱えながらひらひらさせて。はい、せーの、“バランス~!”。これを心の中でやればいいんです。」(筆者はIKKOさんの“どんだけ~!”をイメージしながらやってみました)
【その2】
「もし夫が会社で嫌なことがあっても機嫌よく家に帰ってきたとしたら、それは、会社と家の間に、壇蜜さんみたいな癒しの存在がいるってことです。不機嫌に帰ってきたら、壇蜜はいません! つまり、”一周回って私のコト、好きじゃん!?”と思えばいいんです。そういう見方もあることを知っていれば、余裕を持った自分でいられます」
山崎さんの「好きじゃん!?」のアクションに沸く会場。これは、子どもが不機嫌の場合(思春期にも使える!)でも、「ママの前ならダメな自分が出せるなんて、結局ママのコト好きじゃん?」でいいそうです。
子どもの機嫌が悪いと、受け止めようと頑張ってみるものの、結局不機嫌返しをして火に油を注いでいたと反省しきり。相手の不機嫌の裏には、いま目の前には見えない頑張りがあると知りました。
そして他人の感情に振り回されない自分を保つために、ぶつかるのではなく、ちょっとふざけてかわすことも試してみよう!と思いました。
「この型さえやれば大丈夫だと思っちゃう人もいるんだけど、”世の中はバランス!””見方を変えてみる”っていう本質を忘れないでね」という注意事項を肝に銘じで、新しい自分のパターンの開拓に挑みます!
育児をしんどく感じた時、まずは自分の性格や思考パターンをよく捉える! そして、相手をコントロールしようとするのはやめて、自分の心持ちを気にかけることの大切さを学びました。
次回は、筆者も受講者も涙した”期間限定の子育て”だからこそ、どんな風に子どもと関われば育児を楽しめるのかをお伝えします。
【取材協力】
山崎洋実(やまさき ひろみ)
1971年生まれ。旅行代理店、大手英会話学校勤務を経て、コーチング講師に。2004年に「ママのイキイキ応援プログラム」をスタートし、ママの特徴に合わせ、豊富な事例とともに体系的に伝える講座が評判に。”ひろっしゅコーチ”の愛称で全国規模で講演を行うほか、小学校や保育園、企業研修などオファーの幅も拡大中。『あなたはあなたのままでいい!自分とうまうつきあう方法27』(講談社)など著書やメディア出演も多数。2020年はyoutubeチャンネルも開設予定。
撮影/アレキサンダー麻美