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特別展「はにわ」は埴輪界のアイドル大集合!東京国立博物館で推しを愛でたい

こんにちは! 漫画家兼イラストレーターの新里碧(にっさとみどり)です。
現在、上野の東京国立博物館で開催中の展覧会、挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」へ行ってきました。
素朴な魅力あふれる埴輪が、日本全国、さらには海外からも大集合!
展覧会のみどころを、サクッとご紹介します。

「埴輪 挂甲の武人」5体勢揃い!まるで“埴輪界のアイドルグループ”のような存在感

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「埴輪 挂甲の武人」展示風景。

今回のメインビジュアルにも使用されている「埴輪 挂甲の武人」(けいこうのぶじん)。

国宝に指定されているこちらの埴輪は、教科書で見たことある方も多いはず。今回の展示のために日本全国の博物館、そしてアメリカのシアトル美術館から集められました。

なんと、「埴輪 挂甲の武人」が5体集まるのは史上初とのこと!

展示スペースも、ほかの親しみやすい素朴な埴輪たちとは一線を画す展示。

広くてやや暗い展示スペースにズラリと並び、パッとライトが当たる姿は、さながら“埴輪界のアイドルグループ”!

「埴輪 挂甲の武人」展示風景。

かつて、群馬県太田市の窯で焼かれ、現在は普段ばらばらな場所にいる彼らが集まる姿は、圧巻でした。

ちなみに「埴輪 挂甲の武人」は第2会場に展示されているのですが、もはや入口からそのアイドル的な存在感がありました。パネルにプリントされた5体の「埴輪 挂甲の武人」、背景色も“推しのカラー”に見えてくるほど。完全にアイドルです。

このパネルの先に、「埴輪 挂甲の武人」の紹介映像があり、その後に展示会場があります。5体の挂甲の武人を思う存分愛でることができますよ。

会場内には、さらに興味深い展示がありました。それは、昨年制作された挂甲の武人の彩色復元です。埴輪というと素焼きの色をイメージしていたので、着彩されていたとは驚きです。

肉眼による詳細な観察と、蛍光X線分析による調査を元に、白、赤、灰の3色で再現されています。

実は、展示されているオリジナルの「埴輪 挂甲の武人」もよく見ると、彩色が残存する部分があるので、展示を見る際にぜひ見つけてみてくださいね。

第2会場入口のパネルにプリントされた5体の「埴輪 挂甲の武人」。
埴輪 挂甲の武人(彩色復元)令和5(2023)年 原品:群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵 制作:文化財活用センター

博物館エントランスに展示中の「はに丸」。

ちなみに、「埴輪 挂甲の武人」がデザインのモチーフになっていると言われている、NHKの教育番組『おーい!はに丸』の はに丸も博物館エントランスにいました。

現在「ハニワと土偶の近代展」を開催している東京国立近代美術館にもはに丸がいるのですが、そこよりもミニサイズでポーズも違います。

両展覧会は相互チケット割引サービスも行っているので、埴輪好きの方ははしごするのもいいですね。

教科書でおなじみの埴輪がたくさん!

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埴輪 踊る人々 埼玉県熊谷市 野原古墳出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵

「埴輪」と言えば、この埴輪をイメージする人も多いのでは?

埼玉県熊谷市にある野原古墳から出土した埴輪で、2体セットで紹介されることが多いが、同じ顔の表現をした埴輪の頭部が他にも出土しているそう。

ぽっかりと空いた目と口、踊るようなポーズがなんとも愛らしい埴輪ですね。

模造 船形埴輪 原品:三重県松阪市 宝塚1号墳出土 古墳時代・5世紀 平成時代・21世紀 文化庁(九州国立博物館保管)
重要文化財 猿形埴輪 伝茨城県行方市 大日塚古墳出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵

他にも、思わず「教科書で見たことある!」と言いたくなる埴輪たちが次々に登場します。

実物を見ると、その大きさや素材感、手で作った表現を感じることができ、思わずじっくり魅入ってしまいます。

子どももメロメロ!素朴でかわいい動物埴輪たち

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動物埴輪の展示風景。

動物の埴輪を集めた展示ゾーンもありました。小さい動物から大きな動物に並んでいたり、照明が工夫されていたり、壁の明り取りがハニワの顔が見えるようになっているなど、凝りに凝った展示がこれまたすごい。

学芸員の方のこだわりを感じたスペースです。

子馬形埴輪 大阪府四條畷市 忍ヶ丘駅前遺跡出土 古墳時代・6世紀 大阪・四條畷市教育委員会(四條畷市立歴史民俗資料館保管)

ここに、子どもの目線に合うように展示されているかも……!と思った展示もありました。
1番前の「子馬形埴輪 四條畷市立歴史民俗資料館保管」なんて、他の動物埴輪と違い、1体だけ明らかにこちらを向いて展示されているように見えませんか!?

この記事を制作中に後ろから覗きこんできた5歳の娘は、この子馬形埴輪を見て「ブタさん!かわいい〜」と言っていました。

ぜひ実物を見せに行き「馬を育て上げることで王に貢献した人々がいたことを表現していて……」と、解説したいと思います。

表情豊かな埴輪たちを“映え”させるシンプルな展示

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展示風景。埴輪力士 徳島・泉崎村教育委員会蔵など。

今回の展覧会を取材で見て回った時に感じたのが、「どこを撮っても、埴輪が映える展示!」ということ。

じつは、今回の展覧会は取材時のみならず、会期中一部の撮影禁止エリアをのぞいて、なんと撮影がOKなのです。

これまで色々な展覧会を取材してきましたが、今回の展覧会は過去最高に写真映えを実感しました!

展示台も古墳(前方後円墳)を想起させるようなカーブや段差がデザインに。
武人埴輪模型 吉田白嶺作 大正元年(1912年) 東京国立博物館蔵

展示会場の背景の色や、陳列の仕方、高さなど……、鑑賞するだけではなく撮影も意識した会場作りのこだわりを感じました。

ぜひゆっくり、埴輪たちと(心で)対話しながら、魅力的な写真を撮影してみてください。

今回取材をしてみて、あらためて埴輪の素朴な魅力に気付かされました。

かつて生きた人々が土を手でこねて焼いて作った造形物を直に見ることで、ものつくりの根源的な楽しさを感じることができました。

埴輪ファンはもちろん、埴輪のことをまだ知らないお子さま連れも楽しめるような展覧会でした。

 

子連れに耳より情報!

最後に、お子さま連れに耳寄りな情報です。

11月8日(金)から128日(日)の期間中は、博物館内にのびのび遊べるスペース「あそびば☺とーはく!」が登場!

古墳や遺跡を模した遊び場や、0歳から利用できる託児サービスやワークショップの開催など、詳しくは下記公式サイトをチェックしてみてくださいね。

https://www.tnm.jp/modules/r_event/index.php?controller=dtl&cid=10&id=11142

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」

会期:20241016日(水)〜128日(日)

会場:東京国立博物館 平成館

開館時間:930分〜1700分、毎週金・土曜日、113日(日・祝)は2000分まで開館、入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜日 ただし、11月4日(月)は開館、11月5日(火)は本展のみ開館

観覧料:一般 2,100円 大学生 1,300円 高校生 900円(税込)

公式ウェブサイト: https://haniwa820.exhibit.jp

新里 碧
新里 碧
取材漫画家/イラストレーター/アーティスト
芸大を卒業後、広告業界を経て独立。2018年、自身の体験を元に描いた『アプリ婚 お見合いアプリで出会って1年で婚約→結婚しました』(小学館)発売。旅と工作が大好きな新米キャンパーです。
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