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はに丸も登場!ハニワと土偶愛があふれる展示、東京国立近代美術館「ハニワと土偶の近代」

こんにちは! 漫画家兼イラストレーターの新里碧(にっさとみどり)です。
現在、東京国立近代美術館で開催中の展覧会「ハニワと土偶の近代」に行ってきました!

ハニワと土偶愛にあふれた本展覧会の見どころを、サクッとご紹介します。

東京国立近代美術館も発掘現場だった!

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1969年に現在の場所・竹橋へお引っ越ししてきた、東京国立近代美術館。

1979年から80年、地下収蔵庫を新設する際に発掘調査をしたところ、縄文時代の住居址から近世の都市遺構までさまざまな遺物が出土したそう。

そんな歴史の上に建っている東京国立近代美術館でハニワと土偶の展覧会がおこなわれるというのも、なんだか感慨深いものがあります。

東京国立近代美術館の入口前の芝生。
出土した土器の展示。

ハニワ・土偶に魅せられた作品たち

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展示風景。

「ハニワと土偶の近代」は、ハニワや土偶そのものの展示よりも、ハニワや土偶に魅了された人々が作った作品の展示がメインです。

様々な作家や文化人の“ハニワ・土偶愛”を見ることができる、これまでに無い展覧会となっていました……!

蓑虫山人《陸奥全国古陶之図》1882-1887年頃 弘前大学北日本考古学研究センター蔵。

たとえば……、ミノムシみたいに生活用具一式をかついで全国を放浪し、遺物を自ら発掘、蒐集していたという蓑虫山人が描いた絵。花瓶や土器にまざって土偶の姿も描かれています。

土偶を“愛でる”様子が目に浮かぶような作品です。

「こんなに珍しいものを持っているんだぞ」と、自慢げに並べているのもなんだか微笑ましいですね。

140年も前に描かれた作品ですが、古代へのロマンを感じる気持ちは今も昔も変わらないと思うと親近感を感じます。

GHQの意向に基づき、墨塗りにされた教科書や終戦後に発行された考古学の本など。

第二次世界大戦後、それまで日本の神話に基づいた物語が載っていた歴史の教科書は、石器やハニワ、土偶といった出土遺物の写真とともに考古学の科学的な知見を取り入れた歴史の内容に変化していったそう。

また、登呂遺跡の再発掘のニュースも戦後の明るいニュースとして広まり、人々の注目を集めました。

このように、作品の他にも当時の流行や世の中の動きを知ることができる資料も展示されています。

ハニワと土偶とサブカルチャー年表。

80年代の展示は「SF・オカルトブーム」の流れで、マンガやアニメなどにもハニワや土偶が登場。

縄文時代を舞台にした水木しげるのマンガ『縄文少年ヨギ』など、懐かしのマンガ本の展示もありました。

SF作品では、ハニワは人間の味方として描かれることが多く、土偶は敵として登場することが多いというのも興味深いです。

イサム・ノグチ、岡本太郎らも、ハニワや土偶からインスピレーションを

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イサム・ノグチ、岡本太郎らの立体作品が並ぶ展示スペース。作品の前には剣持勇デザインの椅子が並んでいるので、座って休憩をしながらゆっくり鑑賞ができます。

イサム・ノグチが制作した作品《女王》のイメージの源となった可能性がある《埴輪 帽子をかぶった男》京都国立博物館蔵。

“ハニワ好き“を公言していたというイサム・ノグチ。

彼が制作した作品《女王》は京都で見たハニワからインスピレーションを受けているといわれており、そのハニワがこのハニワではないかという、興味深い比較の展示もありました。

他にも、イサム・ノグチがデザインした幻の広島原爆慰霊碑のマケット(試作模型)も展示されていました(撮影不可の作品なので、ぜひ会場で実物をご覧になってください)。

個人的イチオシ作品は、武者小路実篤の土器愛あふれるコチラの作品

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武者小路実篤 《卓上の静物》1962年 たましん美術館蔵

庭に古い土器が出ることを住まいの理想としていたという、武者小路実篤が描いた静物画。

ジャガイモ、ニンジンといった馴染みのある野菜と土器が同じ卓上に並んでいるのが面白く、不思議と調和を感じるのは、どちらも土から出てきたものだからでしょうか。

土器を特別なものではなく、“日常の中に自然にあるものとしたい”、という姿勢がうかがえ、独特の土器愛の深さを感じずにはいられません……!

「おーい!はに丸」フォトスポット

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ひんべえ(左)、はに丸(右) 1983年 劇団カッパ座

音声ガイド 650円(税込)。

1983年から1989年にNHKで放送されて、人気を博した教育番組『おーい!はに丸』の はに丸、ひんべえが展覧会会場のエントランスホールに登場!

等身大のはに丸とひんべえと写真が撮れます。

また、本展覧会の音声ガイドは、『おーい!はに丸』の、はに丸の声を担当した声優の田中真弓さんなので、はに丸ファンは要チェックです。

ちなみに、はに丸のモデルとなったとされている『埴輪 挂甲の武人』は、10月16日から東京国立博物館で開催される特別展「はにわ」の目玉の展示となっており、キービジュアルにもなっています。

本展覧会とはしごして、“リアルはに丸”に会いに行くのもおすすめです。

ミュージアムショップにもハニワと土偶がいっぱい!

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ハニワ・土偶愛あふれる展覧会は、グッズもハニワ・土偶愛を感じるものがたくさんありました。

十万石「はにわサブレ」 1,188円(税込)。
オリジナルクッションカバー各3,300円(税込)オリジナルTシャツ各3,850円(税込)。

この会場でしか購入できない、十万石の「はにわサブレ」は《踊る人々》をかたどったサブレ。職場やママ友など、大勢に配る用のお菓子としても喜ばれそうです。

オリジナルのクッションカバーとTシャツは、展覧会のキービジュアルになっているハニワと土偶の顔がデザインされています。シンプルながら、目を引くデザイン!

オリジナル靴下 1,650円(税込)。

Tシャツはちょっと無理……という方は、靴下で取り入れるのはいかがでしょう?

さりげなく、“ハニワ・土偶愛”をアピールできる靴下です。ベースの色が素焼き色なのもニクい!

スーツで会社に行く方でも、靴下なら目立たず、でもしっかり“ハニワ・土偶愛”をアピールできそうです。

ハニワ ヒト ストラップ、ハニワ ウマ ストラップ各600円(税込)。
ミニ埴輪・土偶 各1,540円(税込)。

スマホやカバンに付けていつも持ち歩けるマスコットストラップや、植木鉢に置いて、“ミニ発掘現場”の再現をしたら楽しそうなミニハニワ・土偶たちもありました。

他にもたくさんのハニワ・土偶グッズがそろっていましたので、ぜひ実際に足を運んでお気に入りを見つけてみてくださいね!

みなさんも、東京国立近代美術館で、ハニワ・土偶の魅力に触れてみませんか。

さまざまな作家が制作したハニワ・土偶愛があふれる作品を通して、よりハニワ・土偶愛が高まるかもしれません……!

「ハニワと土偶の近代」

会期:2024101日(火)〜1222日(日)

会場:東京国立近代美術館 (東京都千代田区北の丸公園3−1)1F 企画展ギャラリー

開館時間:10時〜17時、金曜・土曜は20時まで(入館は閉館の30分前まで)

休館日:月曜日、1015日(火)、115日(火)※ただし1014日、114日は開館

観覧料:一般1,800円、大学生1,200円、高校生700

公式ウェブサイト: https://haniwadogu-kindai.jp

新里 碧
新里 碧
取材漫画家/イラストレーター/アーティスト
芸大を卒業後、広告業界を経て独立。2018年、自身の体験を元に描いた『アプリ婚 お見合いアプリで出会って1年で婚約→結婚しました』(小学館)発売。旅と工作が大好きな新米キャンパーです。
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