シリーズが続く秘訣は「成長し続けている仲間からの刺激」
null石原まこちん先生による同名漫画を原作に、2005年に実写ドラマDVDとしてスタートした『THE3名様』。2022年に映画で12年ぶりの復活を遂げると、上映期間・館数を大幅に拡大する大ヒットに。
その最新作『映画 THE3名様Ω~これってフツーに事件じゃね?!~』は、年齢を重ねても変わらないジャンボ(佐藤隆太さん)、まっつん(岡田義徳さん)、ミッキー(塚本高史さん)の、思わず脱力してしまうようなかけ合いが楽しめる作品です。
佐藤隆太さん(以下、佐藤)「現時点でお届けできる『THE3名様』シリーズのベストな作品ができた、という手応えがあります。今作で初めて『THE3名様』を観る方にも、楽しんでもらえる作品じゃないかな」
塚本高史さん(以下、塚本)「いつものようにゆるくもあり、今作ならではの大事件もあり。登場人物3人の友情をいつも以上に感じて『この3人、かわいいな~』と愛おしく思いました。
あと、41歳(塚本さん)と44歳(佐藤さん)と47歳(岡田さん)になって初めて、グッズで僕たちのアクリルスタンドを作ってもらったんですよ。それが思いの外、売れたっていうからびっくり」
岡田義徳さん(以下、岡田)「売り切れて、4回再販したんだってね。これはもう『フツーに事件』ですよ」
佐藤「ほんと、俺たちのアクスタを誰が買うんだよと思ってたもんね」
岡田「街にポイっと捨てられてないか心配だよ」
初回シリーズから19年。キャリアを重ねた上で同じキャラクターを演じるのは、どんな心境なのでしょうか?
塚本「いろいろな作品で経験を積んで、僕たち自身もそれなりに成長してきているとは思うんです。それでも『THE3名様』の現場にくると、19年前の関係性に戻るというか」
佐藤「“ホーム”に帰ってきた感覚があるよね。とにかく僕は、この作品の現場がめちゃくちゃ楽しいんです。撮影時間も予算も限られているから、タフな現場ではあるんですけど。それでも再会するたびに、成長し続けている2人に良い刺激をもらえるのが嬉しい。自分も負けていられないな、と思います。
これが19年経っても続けられている秘訣かもしれないね。まったく刺激を感じられなくて、ただの“ぬるま湯”になってしまったら、この関係性ではいられないんじゃないかな」
岡田「19年経って変わったところといえば、無理をしなくなったこと。やっぱり20代の頃は、勢いに任せて芝居をしていたところもあったと思うから」
塚本「たしかに。僕、当時はホットパンツを履いたり、裸にオーバーオールを着たりしていましたからね。さすがに今は、もう無理です」
岡田「歳を重ねておっさんになってから、培ってきた技術を持ち寄ってまた集まれるというのは、すごく楽しいですね」
櫻井翔さんの出演は、3人にとってもサプライズ!
null佐藤さん、岡田さん、塚本さんの3人が揃って初めて出演したドラマといえば、『木更津キャッツアイ』(2002年/TBS)。なんと今作には、同ドラマの出演者だった櫻井翔さんと平岩紙さんがゲスト出演しています。
懐かしの“キャッツ”メンバーである櫻井さんの出演を、お3方はどのように知ったのでしょう?
佐藤「(櫻井)翔はDVDシリーズのときから見てくれていて、『面白いじゃん。俺も出してよ』と言ってくれていたんです。
もちろん冗談半分だったかもしれないけれど、僕らはすごく嬉しくて。プロデューサーの森谷雄さんに『こんなふうに言ってくれているよ』と報告したんじゃないかな。
その話を覚えていた森谷さんが、今作のゲストに翔の名前をあげてくれたみたいです。
僕ら、ある日突然聞かされたんですよ。『実はゲストを櫻井翔さんにお願いしまして……いろいろ調整してでも、やりたいと言ってくれています』と」
塚本「だから僕たちにとってもサプライズで、びっくりしたんだよね」
佐藤「そう。しかも当時ではなく、このタイミングでそれが実現したっていうのが……何ともエモいっていうか」
岡田「嬉しかったよね」
塚本「うん、胸熱だった。撮影の日も嬉しくて、櫻井が現場に来た瞬間に『お前が来るような現場じゃない。帰れ!』とか言って(笑)」
佐藤「『なぜ引き受けた~!』と(笑)。そんな同窓会みたいな雰囲気から、撮影が始まると一転、ピリッとした良い意味での緊張感がありました。
久しぶりの再会を目一杯楽しみながら、思い切りぶつかり合えたような気がしますね」
先輩俳優からの助言に「子どもとの時間は、後から取り返せない」
null取材中もワチャワチャと楽しい会話が止まらず「すみませんね。この3人が集まるとすぐ話が脱線するから、長くなりますよ?」と塚本さん。
初回シリーズからまるで変わらないようにも見えるお3方ですが、この19年の間に、プライベートではみなさん父親に。撮影の合間、父としての顔を見せる瞬間もあるそうです。
岡田「年齢は僕が1番上だけど、父親になったのは1番後輩なので、2人のことは人生の先輩だと思っています。だから、よく2人に子育ての話を聞くんですよ。
うちは今、上の子が5歳、下の子が3歳なので『イヤイヤ期ってあった? 大変じゃなかった?』とか」
塚本「僕らは『うちの場合はこうだったよ』という話しかしてないけどね」
佐藤「そうそう」
岡田「でも、その先輩パパたちの経験談が、やっぱりすごく参考になるから。『大丈夫。イヤイヤ期なんて今だけだよ』って言ってもらえると、気持ちが楽になりますね」
仕事に子育てにと日々忙しい読者のみなさんの中には「映画の3名様のように、ファミレスでとりとめのないおしゃべりをする時間が欲しい!」と、つい思ってしまう方もいるかもしれません。そんな子育て中のママ・パパにアドバイスやメッセージをいただけないか、聞いてみると……。
岡田「小さな子どもを抱えて毎日大変な状況は、よくわかります。僕も、自分の時間が思うように使えなくてイライラすることもありますよ。
でも多分、人生の中で“今だけ”なんですよね。人生という長いスパンで見れば、一瞬のできごと。僕はそう思うようにしています。一瞬だと思うと、大事にしなきゃなって」
塚本「そうだねー。妻に言われたことがあるんですけど、振り返ってみると、ママもパパも子どもの年齢と同じだけ、少しずつ成長していくんだと。そう考えると、子どもが小さいうちは親のほうも経験が少ないから、とにかく必死だし、余裕がなくなるのもしょうがない。
でも、それはほんとに“今だけ”だから。そのうちに『あの大変な時期も、子どもとの大切な思い出だね』なんて、懐かしく思い出すような日が来るはず」
佐藤「たしかに2人が言うように、子どもに手がかかる時間ってほんの一瞬で、後からは取り返せないんですよね。
僕、すごく印象的な言葉があるんですよ。以前、俳優の笹野高史さんと共演したときに、子育ての話をして。笹野さんは、息子さんたちとの時間をとても大切にしてきた方なんだけど、その笹野さんが僕に一言『でもね隆太くん、もっと子どもたちと一緒にいればよかったと、今になって思うんだよ』とおっしゃったんです。
その言葉を聞いて、そうか、どれだけ子どもとの時間を優先したとしても、僕もいつか『足りなかった』と思うんだろうなと感じました。きっと過ぎてしまえば、子どもに手をかけられるというのは幸せな時間だった、と思うことになるんだなって」
「そうは言っても、渦中にいる間は大変なんだよねー」と言い合いながらも、温かいエールをくれたお3方。
息のあったかけ合いの連続に、取材現場は何度も笑いの渦に包まれていました。思わず力が抜けて笑ってしまうようなお3方の雰囲気は、映画さながら。最近ちょっとお疲れ気味……な方も、ぜひスクリーンの中のゆる〜い3名様に会いに行ってみてくださいね。
撮影/田中麻以(小学館)
スタイリング/勝見宜人(Koa Hole inc. 佐藤隆太分)、山田陵太(岡田義徳分)、上井大輔 (demdem inc. 塚本高史分)
ヘアメイク/白石義人(ima. 佐藤隆太担当)、SHUTARO(Vitamins 岡田義徳担当)、YASU(塚本高史担当)
『映画 THE3名様Ω~これってフツーに事件じゃね?!~』
深夜のファミレスに集う、ミッキー、まっつん、ジャンボのフリーター3人組。
今夜もいつものようにゆるいトークを繰り広げる3人だったが、突然夜空に閃光が走るのを目撃する。さらには、平和なファミレスを脅かす招かれざる客までもが登場し……?
はたして3人は愛するファミレスを危機から救うことができるのか!?
THE3名様史上、かつてない長い夜の幕が上がる!!!
2024年8月30日(金)より全国の映画館で公開
出演:佐藤隆太 岡田義徳 塚本高史
小林大介 桃月なしこ/安藤玉恵
原作:「THE3名様Ω」石原まこちん(LINEマンガ連載中)
プロデュース&監督:森谷 雄 脚本:石原まこちん 森谷 雄
Ⓒ2024「THE3名様Ω」Partners ⒸMakochin Ishihara
ライター/編集者。ベネッセコーポレーション『進研ゼミ』の編集を経て独立。学習雑誌、児童書、教育コンテンツ、保護者向け記事などを中心に、取材・執筆・編集を行う。料理とお酒が好き。