「野獣派」のはじまりの頃「マティス夫人の肖像」
null「野獣派(フォーヴィスム)」とは、見たままの自然な色にこだわらず、画家が感性のおもむくまま、心情を表す自由な色を使って表現した絵画運動のこと。
見たままを映し出せるカメラの出現により、それまでありのままを描くことを求められてきた絵画に新たな価値を見いだす必要が出てきたと言われています。
そんな時代、マティスが描いた妻の肖像がこちら……!
一見して「顔にこの色……!?」と思わせるような、なんとも大胆な色使いかつ絵画的表現!
じっくり見ていると、だんだんとその色使いに納得させられるような不思議な感覚になります。
モデルになったのは、画家として生きるマティスを支えた超苦労人かつパワフルな妻、アメリー。
マティスはアメリーや娘、息子たちといった家族を描くことも多い画家でした。
マティス愛用の品を見よ!
null今回の展示で、私が特に「面白い!」と感じたのは、マティスの作品だけではなく、愛用品が展示されているところ。
マティスが絵画を描く際に使用していた、絵の具のたくさんついたパレットといった道具類。
このような愛用品が展示されていることで、作品を鑑賞するときの視点や想像力がより広がって楽しめると思います。
ちなみに、ミュージアムショップでは絵の具のついたパレット型のノートも販売されていました!
今回の為に修復された巨大切り紙絵作品「花と果実」
null普段はフランス・ニース市にあるマティス美術館に象徴的に飾られている、4.1×8.7mを誇る巨大な切り紙絵作品《花と果実》。
今回の展示の為に修復をし、はるばる東京にやってきました。
ぜひ実物を見て、圧巻されてほしい作品です。
また、包まれるようなスケール感もすごいですが、近くで見ると、刷毛の跡や位置を決める為に使用したピンの穴なども発見できます。
こちらの作品は、アメリカ人コレクターのために制作された巨大壁面装飾の習作のひとつ。
全部で4点の習作を制作し、実際に採用されたのは、実はこちらの作品ではありませんでした。
作品の依頼から制作にまつわるストーリーも展示されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ちなみに、こちらの作品は撮影可能なので、マティスの切り紙絵の花に囲まれて記念撮影も!
マティス78歳からの挑戦!「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」
nullマティス78歳の時に始まった一大プロジェクトが、南仏ヴァンスにあるロザリオ礼拝堂。
建物から内部の装飾はもちろん、司祭のまとう上祭服といった、すべてのものをマティスがデザインを手がけました。
マティスのこだわりが詰まった礼拝堂で、マティスファンなら「一度は行ってみたい」と願う憧れの場所。
なんと今回の展覧会では、その礼拝堂を限りなく現地に近い形で再現!
特に、実際に礼拝堂内部に落ちるステンドグラスの光を撮影し再現した、約3分間の光の移ろいは必見です。
ちなみに、このヴァンスのロザリオ礼拝堂の案件をマティスに紹介したのは、マティスのモデルをしたのちにシスターになったモニク(ジャック=マリー)と言われています。
前回のマティス展紹介記事内に、マティスの人間関係も紹介していますので、ぜひご覧ください。
ここでご紹介した作品以外にも、マティスが手がけた舞台衣装や画家シニャックに影響を受けていた時代の点描作品、彫刻作品の展示もあります。
ぜひ展覧会へ足を運んで、実際の作品を見てみてくださいね!
「マティス 自由なフォルム」
会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7丁目22−2)
会期:2024年2月14日(水)〜5月27日(月)
観覧料:当日2,200円(一般)、1,400円(大学生)、1,000円(高校生)※中学生以下は入場無料。※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。※4月3日(水)~8日(月)は高校生無料観覧日。(学生証の提示が必要)
休館日:毎週火曜日 ※ただし4月30日(火)は開館
開館時間:10:00〜18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで開館 ※入場は閉館の30分前まで
主催:国立新美術館、ニース市マティス美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網
特別協賛:キヤノン 協賛:DNP大日本印刷 協力:日本航空、日本貨物航空、ヤマト運輸
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、J-WAVE
展覧会ホームページ https://matisse2024.jp
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)