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【冷凍王子に聞く!】パサつかない「魚介類の冷凍」テクニック

鮮度が重要な魚介類は、冷凍保存するハードルが高いイメージがありませんか? 解凍すると身がパサついてしまったり、少し生臭くなってしまったり……。しかし、冷凍方法を工夫することで、美味しさを長続きさせることができます。

テレビや雑誌などのメディアでも幅広く活躍している冷凍王子こと、西川剛史さんに、3回にわたって冷凍のテクニックについて教えてもらいます。2回目は、魚介類の冷凍方法についてお聞きしました!

第一弾記事「お肉の冷凍・解凍」編はこちら

丸ごとの鮮魚・殻付きのエビ・貝類は「グレージング」がオススメ

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魚介類の中には「グレージング」という冷凍方法が適している食材があります。グレージングとは、食材を丸ごと氷漬けにするという冷凍方法です。どのような魚介類がグレージングに適しているのでしょうか?

「切ってない丸ごと1匹の魚や、殻付きのエビ、貝類などです。魚は真水と共に丸ごとフリーザーバッグに入れて凍らせます。魚は長さがあるので、丸々入る容器だとかなり大きい容器にする必要があり、冷凍庫でスペースをとってしまうので、フリーザーバッグをおすすめしています。

エビは殻付きのまま食品保存容器などに入れ、すべてが浸る程度に真水を入れて凍らせます。エビや貝類は円型の保存容器を使うのがおすすめです。丸い氷漬けになるので、小鍋などに入れやすいですよ」(以下「」内、西川剛史さん)

頭を落としたり内臓を取ったりなど、切り込みが入っている魚は水分を吸ってしまうため、グレージングには向いていないとのこと。丸ごと1匹の魚や、殻付きのエビを解凍する時は、氷ごと容器から取り出して、直接流水をかけるのがよいそうです。

砂抜きをして洗ったしじみを食品保存容器に入れてグレージング。
写真は『西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ』(宝島社)より。

貝類は冷凍保存で旨みが出やすい

また、貝類は冷凍保存することでメリットも生まれるそうです。

「貝類は冷凍すると繊維が崩れて、旨みが出やすくなります。汁物にするのがオススメです。貝類の場合は、砂抜きしたら水洗いし、食品保存容器に入れて氷漬けにします」

解凍方法はどのようにすればいいでしょうか?

「グレージングした氷ごと調理に使えます。氷ごとそのまま鍋に入れて、味噌汁などにするのが適しています。鍋のふたをして強火で一気に加熱して調理しましょう。弱火でゆっくり加熱すると貝が開かなくなってしまうので、強火で一気にがポイントです」

魚貝類の中でも、特にしじみは“冷凍保存した方がいい”と言える食材とのこと。

「しじみは冷凍することで、オルニチンというアミノ酸が増加することが分かっています。だしも出やすくなるので一石二鳥ですね」

グレージングしたしじみを鍋へ。
写真は『西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ』(宝島社)より。

切り身は「ふり塩冷凍」を

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冷凍保存すると解凍した時にパサつきが気になる切り身やお刺身は、どのような方法で冷凍すればいいのでしょうか?

「魚の切り身やお刺身は乾燥しやすく、お肉に比べて組織が脆いため、冷凍・解凍のダメージを受けやすい食材です。解凍時にドリップが出たり、食感が悪くなったりしやすいため、家庭での冷凍保存が難しい食材ではあります。

ですが、それでも冷凍したい場合は、切り身をできるだけ美味しく冷凍保存する方法として、“ふり塩冷凍”があります。魚の切り身に塩をふって水分を引き出し、出てきた水分をペーパータオルなどでふき取ります。それから食品用ラップフィルムを巻き、フリーザーバッグに入れて冷凍保存します」

余分な水分を追い出した方が、ダメージを受けにくくなるんだとか。解凍方法としては、フリーザーバッグのまま氷水解凍するか、冷蔵庫に入れて解凍するのが良いとのこと。

お刺身に適した冷凍方法は「下味冷凍」

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続いて、お刺身に適した冷凍方法はなんでしょうか?

「お刺身を冷凍保存する場合は、乾燥や酸化に気をつけなければいけません。みりんしょうゆなどの調味料と和えるか、オリーブオイルマリネ液に漬けてフリーザーバッグに入れて保存しましょう。

このような下味冷凍は切り身にもオススメです。ですが、お刺身や切り身は冷凍保存しても鮮度が落ちやすいので、なるべく早く食べた方が良いでしょう」

2週間以内を目安に、いただいた方が美味しく食べられるとのことです。

「切り身の魚を冷凍庫にストックしたい場合は、すでに冷凍されて売られているものを買うのがベストだと思います。家庭で冷凍するよりも、コスパも保存状態も良いです」

タラの切り身を下味冷凍。
写真/旭化成ホームプロダクツ

冷凍に適した干物は乾燥対策がポイント

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魚介類の中でも干物は、冷凍保存に適している食材なんだとか。特に、塩分が少なめで少し水分を含んでいるセミドライの干物は冷凍保存向きだといいます。

「干物は薄いので、冷凍しやすく保存しやすい食材です。1枚ずつ食品用ラップフィルムで包み、フリーザーバッグに入れて乾燥対策をして冷凍しましょう」

解凍方法はどうしたら良いでしょうか?

「冷凍した干物は、凍ったままグリルなどで調理するのがオススメです。事前にグリルを温めておき、高温で焼き上げるとドリップが出ず、美味しくいただけます」

干物の皮を下にして焼くとさらにドリップが出にくいとのこと。

干物は乾燥対策をして冷凍。
写真/旭化成ホームプロダクツ

【まとめ】お魚の冷凍・解凍方法のポイント

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冷凍方法

  • 切ってない魚、殻付きのエビ、貝類等はグレージング
  • 貝類(特にしじみ)は冷凍向き
  • 切り身はふり塩冷凍
  • お刺身は調味料やマリネ液に漬けて冷凍
  • 切り身やお刺身は冷凍しても早めに食べる
  • 干物は食品用ラップフィルム+フリーザーバッグで冷凍保存

解凍方法

  • グレージングした魚やエビは氷ごと取り出して流水解凍
  • 貝類は氷ごと調理が良い
  • 切り身やお刺身はフリーザーバッグのまま氷水解凍、もしくは冷蔵庫で解凍
  • 冷凍した干物は温めたグリルでそのまま調理

お魚は加工状態によって、適した保存方法が違うとは驚きです。お肉よりも冷凍保存のダメージを受けやすい食材であるお魚は、出来るだけ早めにいただきましょう!

撮影/横田 紋子(小学館)


 

【取材協力】

冷凍生活アドバイザー

西川剛史(にしかわたかし)

大学で食品栄養学を専攻し、学生時代から冷凍食品に魅了される。
冷凍食品メーカー、冷凍食品販売会社の商品開発部門などで勤務。
冷凍食品会社で経験したことや独学での実験に基づく知識を生かし、現在は冷凍に関する第一人者として、テレビ・雑誌・ラジオなどでも幅広く活躍。

【書籍情報】

『西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ』(宝島社)

116品の食材の冷凍術を紹介した第1弾に続き、113品の絶品冷凍レシピを紹介する、西川剛史の冷凍本の第2弾。冷凍王子直伝の冷凍ストック術で“手間抜き”調理を実現。

まなたろう
まなたろう

秋田生まれ。高校卒業後ドイツの大学の舞踊科へ。以後、海外を10年以上放浪し、現在は東京在住。ライターの他、ヨガインストラクターや振付家などもしている。

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