「ぶたじる」派は、北海道に多い?
null「豚汁」を「とんじる」、「ぶたじる」どちらの読み方をするのか20〜60代の男女414人にアンケートをとってみました。
とんじる……83.8%
ぶたじる……16.2%
圧倒的に「とんじる」派が多い結果でした。
同時に「お肉の入った中華まんの呼び方」について「豚まん(ぶたまん)」か「肉まん」のどちらかを選んでいただきました。
肉まん……79.2%
豚まん……20.8%
「肉まん」派が多い結果になりました。
アンケートにお答えいただいた方たちの出身地をお伺いしたところ、この結果に地域差があることがわかりました。
「ぶたじる」と答えていたのは「北海道」と「九州(福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島)」の方が多く、「豚まん」と答えていたのは「近畿地方(滋賀、京都、奈良、和歌山、大阪、兵庫)」の方でした。
農林水産省のサイトによると「豚汁」は、鹿児島県の郷土料理とされています。獣肉食は禁忌とされていた江戸時代に、薩摩藩では豚やイノシシ、鹿などが食べられており、味噌汁に獣肉を入れたものを「薩摩汁」と呼んでいたそう。それが豚汁のルーツではないかと言われています。
当初は「ぶたじる」が全国的に主流だったそうですが、昭和時代に「とんかつ」がブームになり、「豚」を「とん」と読むようになりました。そこから東日本で豚汁も「とんじる」と読むようになったという説があるようです。

中華まんとの関係は?
null一方、「中華まん」ですが、「豚まん」派が近畿地方に多いのは、「肉」を指す言葉の違いからだそう。近畿地方では「肉」というと「牛肉」を意味することが多いです。「肉うどん」や「肉じゃが」の「肉」は当たり前のように牛肉が使われており、「肉」のワードの中に豚肉は入っていません。
牛肉以外のものが入っている場合には「肉」とは書かずに「豚肉」、「鶏肉」となります。「中華まん」は、豚肉が使われている料理なので、そのことを明確にするために「豚まん」と呼ぶということでした。
大阪名物の『551蓬莱』でも「豚まん」と表記されていました(HPには、カッコ書きで「肉まん」とも書かれていました)。近畿地方で「肉まん」と表記されて売られているものがあれば、それは牛肉が入っているのかもしれません!
ちなみに総務省統計局の「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(2022年(令和4年)~2024年(令和6年)平均)」にも、牛肉の支出額は全国のうち関西圏がトップ5を占めているという結果がありました。統計上も関西の「牛肉文化」がはっきりと見えています。また、豚肉のランキングでは上位には関西勢も西日本勢も入っていないとのこと。
今回、アンケートを行なった414人のうち、南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)が24.4%、近畿地方が20%、北海道が6.5%、九州が10.4%だったので、「ぶたじる」、「豚まん」が少数意見になったのだと思われます。
出典:総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html)
※都道府県庁所在市以外の政令指定都市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市及び北九州市)

2025年は豚汁ブームが到来する!
null冬の定番料理と思われがちな「豚汁」ですが、今専門店がオープンするなど密かなブームになっています。呼び方に地域性があるように、入れる具材も地域によってさまざま。ジャガイモ派がいれば、里芋派もいます。サツマイモ派もいますよね。筆者は、芋類を入れずにキャベツを入れることも。野菜がたくさん入っているので、子どもが食べてくれると嬉しいメニューでもあります。
進化系と呼ばれる豚汁は、グリーンカレーやキーマカレーなど、カレーと組み合わせたものや、スペアリブが乗ったものまで。もはや脇役とは呼べない料理になっています。
インバウンドの方たちからも豚汁は大人気で、地味な家庭料理だと思っていたものが「わざわざ食べたいもの」に変わっているとか。
「とんじる」、「ぶたじる」共に、目が離せない存在になりそうです!


山形県出身在住。一児の母。出産を機に2020年に東京からUターン。アウトドアとエンタメを得意とするライター。雑誌やWEBメディアに携わる。