なぜりんごはドクターズフルーツと言われるの?
null生命の維持に不可欠な成分が“栄養素”ですが、りんごにはカリウムとビタミンCの栄養素が含まれています。また、健康の維持・増進に役立つ成分“栄養成分(非栄養素)”として、食物繊維とポリフェノールもりんごには含まれています。
日本人の死因の約半数(2023年人口動態統計)を占めるがん、心臓病、脳卒中の予防にはカリウム、食物繊維、抗酸化物質(ビタミンC、ポリフェノール等)が効果的に働くとされます。りんごにはこれらの成分がすべて含まれています。
日本人に多い高血圧に関しても、りんごにも含まれるカリウムは、高血圧の原因にもなっている塩分(ナトリウム)を排出するので、高血圧の予防・改善に重要な役割を果たしています。
ポリフェノールは苦味や色素を示す抗酸化物質で5000種類以上あり、抗酸化物質は活性酵素を無害化することで生活習慣病の予防に役立つと研究で明らかになっています。
ポリフェノールは種類によって抗酸化力、体内での作用場所、それに伴う健康効果が違ってきます。りんごには複数のポリフェノールが含まれており、皮、実共にプロシアニジンというポリフェノールが一番多く含んでいます。そのほかにもカテキン、クロロゲン酸類といったポリフェノールが含まれ、これらは抗酸化、抗がん、血糖値の上昇抑制、体脂肪低減、認知機能の改善に役立つとされます。
「厚生労働省が推奨している1日に食べる果物の量は200g。りんご1個の一般的な大きさは350gで、そのうち可食部は322gほどです。
日本人はカリウムが目安量さえ摂れていない人が多く、1日にりんご1個を食べることで、男女共に健康維持のための量を確保でき、さらに60、70代女性は高血圧予防に必要な量も確保できます。健康の維持、高血圧の予防・改善のためには、りんごを1日1個以上食べると良いということですね。
がん、心臓病、脳卒中といった生活習慣病を予防するために目指す食物繊維摂取量は1日25g。しかし食物繊維に関しても目標量さえ摂れていない人が多いのが現状です。
食物繊維が多い食べ物としてゴボウがありますが、1食分の食物繊維量で比較すると、ゴボウの場合は小鉢1杯分程度の1/3本で、りんご1個と比較すると逆に摂取量が少なくなってしまいます。間食としても手軽に摂れるりんごは、食物繊維の供給源としても効率的で価値があるといえます」(佐藤先生)
「果物摂取量と死亡リスクの関連を見ると、果物を摂ることで全死亡リスクは8~9%低下、心臓血管死亡リスクは9%低下、呼吸器死亡リスクは5%低下しています。全死亡リスクに関しては野菜摂取よりも果物摂取の方がリスクが低下しています。
果物は1日200g以上摂ることが望ましいとされますが、日本人の約4割は1日に果物をまったく食べていません。果物はたくさん食べても問題ないのですが、果物の摂り過ぎから糖尿病の心配をされる方もいます。
実はりんごを1日1個以上食べる人は、糖尿病のリスクすら13%も下げてくれます。また、りんご由来のポリフェノールが血糖値、糖尿病に対して有益な効果を起こすというエビデンスもあります。
腸内環境でいうと、りんご由来のポリフェノールだけでは腸内細菌の構成が大きく変わることはないですが、アスリートに多い乳酸菌、酪酸産生大腸菌という、代謝効率を上げたり、免疫力を上げるような善玉菌が増加することがわかりました。
病気になってから薬を飲み始めるのではなく、毎日の食事習慣を変えることで薬の代わりになる予防医療を海外では『Food is Medicine』といいますが、予防医療の観点からみてもりんごの健康効果は期待できます。1日3食のうちのいずれか、もしくは間食でりんご1個を摂ることから始めてみるとよいでしょう」(道下先生)
りんごは生と加熱、どちらの方が健康的にお得?
null生のりんごと加熱したりんご、健康的によりお得になるのはどちらでしょうか?佐藤先生によると、生、加熱のそれぞれにメリットがあるといいます。
【生のりんご】
カットして食べたり、サラダやヨーグルトを添えたり、いろんな形で食べることができます。生で食べる一番のポイントは“噛む”ということ。生だと歯ごたえがあるので、しっかりと噛むことで、唾液の分泌が促進、唾液の分泌量が多いと虫歯や口内炎などの予防に役立ちます。
噛むには力を入れるため脳の血流量が増加して、認知症の予防に役立つこともわかってきました。また、腸ホルモン(満腹ホルモン)の分泌が促されるために肥満の予防も期待できます。
噛む力が弱い小さな子どもや高齢者には、皮つきでも食べやすい「スターカット」https://www.aomori-ringo.or.jp/starcut/ がおすすめです。くし形よりも捨てる部分が少ないので、生ごみが減るメリットも!
【加熱したりんご】
コンポート、焼きりんごなど、加熱して楽しむ食べ方もあります。加熱で細胞が破壊されることにより、栄養素や栄養成分の吸収率が高まり、健康効果を得やすくなるメリットが。
加熱することで柔らかくなりボリュームが減るため、量をたくさん摂ることができます。りんご丸ごと1個では多すぎて食べられない場合や子どもにも、加熱したりんごはおすすめです。
りんごとの食べ合わせでおすすめの食材は?
null「期待する健康効果によって食べ合わせは変わってきます。腸内環境を高めて免疫力アップしたいのであれば、ヨーグルトと合わせることでより効果が高まります。りんごには水溶性と不溶性、両方の食物繊維が含まれています。食物繊維には、腸に存在するビフィズス菌や乳酸菌の善玉菌を増やし、腸内環境を正常に整える作用がありますので、りんごとヨーグルトは相性抜群です」(佐藤先生)
栄養バランスを整えたいということなら、毎日の料理に使う素材としてりんごを足してみましょう。すりおろしりんごをソースにして使ったり、肉、野菜と皮つきりんごを使った酢豚にしたり。青森県りんご対策協議会ホームページではレシピhttps://www.aomori-ringo.or.jp/category/recipe/ を紹介しているのでぜひ参考に。
すりおろしや、スムージーにしても健康メリットは変わらない?
null「加熱と同様に、スムージーも細胞を破壊しますので吸収率が高まるというデータがあります。りんごが苦手だったり、小さなお子さんで量が食べられない場合は、スムージーにししたり、すりおろしてソースにしたり、カレーに入れたりすれば、1個分のりんごをしっかりと摂取することができます。
私の子どもが小さかったころは、りんごを皮ごと電子レンジで温めて食べさせていました。
果実はやわらかくなって食べやすく、皮はそのままの硬さなので噛む効果もあります。簡単にできるのでおやつとしてもぴったりです。
また、ミキサーでりんごジュースを作ると、ポリフェノールが空気に触れて酸化し茶色くなってしまいますが、気になる場合はレモン汁を少し混ぜて作るといいですね」(佐藤先生)
りんごはダイエットや美容にも期待できる?
null「りんごに含まれるポリフェノールのプロシアニジンは中性脂肪の上昇抑制や、抗酸化作用があるとされており、腸内環境を整える食物繊維も豊富なので、ダイエットや美容の面でもプラス要素は期待できますが、それ以前に栄養のバランスを整えた食事が大前提です。1日1個のりんごを食べることも、日々の食事があってからこそ健康効果が期待できます」(佐藤先生)
美腸活カフェで青森産りんごを使った期間限定メニューが登場
null青森県りんご対策協議会では、美腸活をテーマとしたグロッサリー&カフェ「L for You AOYAMA FLAG SHIP SHOP」とのコラボメニューを実施。2024年12月28日まで、青森県産りんごを使った期間限定メニュー4品を提供しています。
11月限定メニューは「青森りんごスペシャルコラボ ランチプレート」の1品、12月限定メニューは「青森りんごスペシャルコラボ ゴボウとキノコの豆乳腸活スープセット」「りんごをたっぷり使ったタルトタタン」「りんごの発酵エイド」の3品です。
【取材協力】
青森県りんご対策協議会 https://www.aomori-ringo.or.jp/
L for You AOYAMA FLAG SHIP SHOP https://www.instagram.com/lforyouaoyama/
取材・文/阿部純子