全国で活躍している盲導犬は796頭
null全国で活躍している盲導犬は796頭(2024年3月時点)。その多くは東京都におり、ついで神奈川、大阪で活躍しているそうです。
視覚障碍(がい)者への盲導犬の貸与(たいよ)は無償ですが、盲導犬を1頭育て上げるためにはたくさんのお金がかかると言われています。フード代はもちろん、医療費や訓練所のスタッフの人件費、訓練所の維持費……かかるに決まっていますよね。しかし行政からの助成金はわずかしかなく、90%以上は寄付で支えられているのが現状。また、盲導犬への社会の理解、関心もまだまだ広げていく必要があります。そのため先の“盲導犬型の募金箱”だけでなく、募金以外で楽しく続けられるチャリティーのかたちとして、「盲導犬アート缶」をはじめとするチャリティーグッズが誕生しました。
さまざまな企業とコラボ。最近ではわんちゃんグッズの開発にも尽力!
null「盲導犬アート缶」は『泉屋東京店』の店舗のほか、「盲導犬総合支援センター」が運営する「盲導犬サポートSHOP」にて購入可能なのですが、先日、「盲導犬サポートSHOP」を見てびっくり。さまざまな企業とコラボしていろいろな商品を出しているんですね! 上記の『メーカーズシャツ鎌倉』とのコラボもそうですし、『榮太樓總本鋪』とのコラボなどもあります。
ちなみに「盲導犬総合支援センター」では、盲導犬ユーザーや飼育ボランティアの方たちの犬との生活支援を行っているため、チャリティーグッズでもドッグウェアやリード、暑さ対策グッズなどの開発・販売にも力を入れていると言います。
また、全国のドラッグストアでは、歯磨き粉「アパデント」や「アパガード」で有名な『サンギ』とコラボ。盲導犬をイメージしたパッケージのキッズ用の歯磨き粉が販売中です。こちら2010年秋に発売。以来10年以上に渡り、売上の一部が「盲導犬総合支援センター」を通じて支援活動に役立てられている商品です。子どもたちが小さい頃、「犬、かわいい!」と買っていましたが、支援につながっているとは知らず、今回初めて知りました……(笑)。
2018年から始まった「盲導犬アート缶」。現在は10代目。
null話を「盲導犬アート缶」に戻しましょう。
「盲導犬アート缶」第一弾が発売されたのは、2017年の冬。『泉屋東京店』が「日本盲導犬協会」の記念品のクッキー缶を制作したのがきっかけでした。しかし非売品だったため、一般販売できるチャリティーグッズとしてのクッキー缶の製作を『盲導犬総合支援センター』が『泉屋東京店』に依頼。そしてコラボの取り組みが始まりました。
『泉屋東京店』も創業当時より代々社会奉仕の精神を大切にしてきた会社です。だからこそこうした支援につながるクッキー缶を完成することができたんですね!
缶のデザインは1~2年ごとに変わり、「毎日HAPPY」缶は10代目となります。
でも、何よりもこの物価高騰の時代にギフト使用にもできるような素敵なクッキー缶が1,000円台であることに驚きを隠せません。
イラストを手がけるのは“犬への愛”がすごい、セツサ チアキさん
null「盲導犬アート缶」は、初代から今の10代目缶に至るまで、イラストレーターのセツサ チアキさんがデザインを担当。チアキさんも英国ゴールデンレトリーバーを代々飼っているため犬との暮らしがどのようなものであるか、犬の感情や表情がどういったものであるかをよく理解していることから、オファーをしたと言います。
犬と暮らしているからこそわかる表情、犬と暮らしていなければわからないしぐさ……缶のイラストを見れば、この絵の作者がどれだけ犬好きかわかりますよね(笑)! チアキさんは、クッキー缶だけでなく、他のチャリティーグッズのデザインもいくつか手がけています。
今年1月には、流行りのサイズの「ご褒美缶」が誕生
nullそして今年の1月、新たに加わったのがブルーとイエローの「ご褒美缶」。お菓子缶研究家の目線からいうと、ここ数年、このサイズの組上(くみあげ)缶(缶の側面に突起がついていて、ふたを閉めると「カチッ」と音がし、しっかりと閉まる)を使うスイーツは増えています。買い手としても食べ終わったあと、ペンやマスキングテープ、コスメ入れとして非常に使いやすいサイズです。
こちらのご褒美缶は、先にご紹介した10代続いている「盲導犬アート缶」よりも少し小ぶりで、ぜひ自分へのご褒美として買っていただけたらという思いを込めて作られたといいます。
イエロー、ブラック、ゴールデンの盲導犬たちが描かれたブルーの缶には、ナッツが主役のクッキー缶。ウォルナッツクッキー、ピーナッツクッキー、カシューナッツがのったココアフラワー、木の実×黒砂糖×シナモンのBSロック、キャラメルアーモンドクッキーが入っています。
盲導犬とハイキングを楽しむ姿が描かれたイエローの缶には、七味、チーズ、ごま、青のりのクッキーが。こちらはおつまみにもなりそうですね!
どちらもチアキさんが描いた盲導犬たちのシールが入っているのも魅力です。
多くの方に知っていただくことで、盲導犬への理解・関心が広まりますように
null「盲導犬生活サポートSHOP」は昔からのファンや、根強い固定のお客さまによって支えられてはきましたが、なかなか新たなマーケットが広がらず、もっともっと多くの方に知っていただくことが最大の課題になっていると言います。“知る”ということで、盲導犬への理解・関心も広がり、盲導犬と盲導犬ユーザーが今以上に安心安全に、そして楽しく過ごせる社会につながっていくと思います。
“盲導犬クッキー缶”の中には小さな冊子も入っています。子どもたちもクッキーを食べるついでに、自然とこの冊子を読み、盲導犬の仕事を知り、盲導犬ユーザーへの声かけのルールなどを覚えました(私も、でした。笑)。
どうか1人でも多くの方に、このお菓子缶を知ってもらえますように。
編集者・フードジャーナリスト。多くの料理本や暮らしの本、キャンプ本を手がける。自著に子どものごはん作りの闘いを描いた『闘う!母ごはん』、『素晴らしきお菓子缶の世界』(共に光文社)がある。 プライベートでは猫2匹&犬1匹と小学生、大学生の女の子の母。ハワイじゃなくてグアムラバー/スターウォーズマニア/アダム・ドライバーファン。Instagram