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おいしい「梨」は皮の色をヒントに選ぶ!好みの品種を探す楽しみも【旬の野菜通信 9月】

野菜ソムリエプロの料理家・楠みどりさんと、自社農園も持ち、全国の選りすぐりの野菜を集める八百屋さん「神楽坂野菜計画」がコラボ! 「おいしく野菜を食べてほしい!」と誰よりも願う野菜のプロに、それぞれの野菜の選び方やおすすめの食べ方などの豆知識を伝授してもらう連載です。これを読んだらもっとたくさん野菜を食べたくなること間違いなし!

今回は「梨」。夏の「幸水」に始まり9月の「豊水」その後の「新高」と、時期ごとに品種も味わいもさまざまです。

水分たっぷり、甘さもたっぷり。秋の味覚「梨」

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梨にはたくさんの品種がありますが、この日の「神楽坂野菜計画」では佐賀県産の「豊水」が入荷中でした。

豊水は甘みと酸味のバランスが良く、果肉が柔らかいのが特徴です。名前の通り、果汁たっぷりでみずみずしいのも魅力のひとつ。旬は9月中旬~下旬ごろです。

豊水よりも先に出回る「幸水」は、8月中旬から下旬にかけて旬を迎え、梨の中では早生種に分類されます。幸水はシャリシャリとした食感で、甘みが強いのが特徴です。

ほかにも、大きなサイズの「新高」という梨も取り扱っており、こちらは長期保存も可能で、年内いっぱい入荷予定とのことです。

これらが栽培面積トップ3(※)のメジャー品種ですが、このほかにも新しい品種が続々と生まれています。お店などで食べたことがない梨を見かけたら食べ比べてみるのも楽しいと思います。

※農研機構「ナシ(日本ナシ)品種別栽培面積」

梨特有の栄養成分も

果肉にはリグニンやペントザンという成分からできた石細胞があり、これがシャリシャリとした食感を生んでいます。大半が水分ですが、食物繊維やカリウム、ソルビトールなどが含まれています。

ソルビトールとは糖の一種で、優しい甘みがあり、果物の中ではとくに梨に多く含まれる成分です。砂糖などと比較すると、腸であまり吸収されず、カロリーになりにくい特徴があります。ほかにも、ソルビトールには、のどの痛み、痰切り、咳止め効果があることで知られています。

また、たんぱく質を分解してくれるプロテアーゼという酵素も含まれているので、お肉の下ごしらえとしてすりおろした梨にしばらく漬けておくと、お肉が柔らかく仕上がります。生姜焼きなどを作る際にはぜひ試してみてくださいね。

おいしい梨の選び方&保存方法

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梨を選ぶ際はずっしりと重みがあるものを選ぶようにしましょう。同じ大きさなら重みがあるほど水分量が多く、みずみずしい証拠! また品種によりますが皮に色むらがないものがよいでしょう。

左の梨の方が赤みが強く出ています。ただし、酸味のあるものがお好みなら、熟す手前のものを選ぶのもアリ!

梨には大きく分けて皮が黄褐色の「赤梨」と、緑色の「青梨」があります。

幸水や豊水などの赤梨では、皮が白っぽいものと比べて赤みが強いものほど熟していて、酸味が少なく甘みが強く感じられます。一方青梨は、熟してくると皮が黄色っぽく変化します。

保存する際は、乾燥しないように新聞紙に包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。皮をむくと茶色く変色するので、カットした梨はその日のうちに食べきるようにしましょう。

料理に使ってもおいしい!

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梨は、そのまま食べるのはもちろんのこと、生ハムで巻いたり、ブラックペッパーを振ってサラダにしたりとおしゃれな前菜にしてもおいしく食べられます。ちょっと意外なところでは、キムチと和えるのもおすすめ。

加熱してジャムにすると長期保存も可能。たくさん手に入って一度に食べきれない場合などには、色々なアレンジを楽しんでみてくださいね。

9月の畑通信:秋の種まきシーズン到来!

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こんにちは。畑通信担当の阿部です。

気温が落ち着き始め、すでにハウスで苗を育てていたケール以外にも、葉物野菜などの種まきが始まりました。

主に真夏と真冬はビニールハウス、それ以外の時期は露地で栽培していますが、常に畑をフル回転というわけにはいかず、土づくりや畑を休ませる期間なども考慮しながらスケジューリング。

今はルッコラの種を9月から11月の頭にかけて順次種まきしています。9月にまいた種は収穫までは1カ月半くらい、11月にまくとおよそ2カ月かかります。

常に一定量の収穫を確保するために、タイミングを見計らいながらの作業。ピリッと辛い印象のルッコラですが、冬は甘み、夏は辛みが強く出て、それぞれにおいしいものです。

からし菜、わさび菜などの栽培も始まっています。サラダはもちろん、お鍋にもおいしい野菜ですよ! 冬になるとお店にもお鍋用の葉物野菜パックも登場します。それぞれの味の違いも楽しんでみてほしいです。

楠 みどり
楠 みどり
フードコーディネーター、野菜ソムリエプロ
出産後、幼児食インストラクターの資格を取得し、企業のレシピ開発やコラム執筆、フードスタイリングや料理教室講師などに携わる。子どもと一緒に楽しめる家庭料理を提案し、子どもの健やかな味覚を育てるための出張つくり置きサービスなども行う。公式ブログ
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