日本に新しい味を広めたファミリーレストランの50年の歴史
null『デニーズ』は1973年11月に設立された株式会社デニーズジャパンにより、1974年4月にイトーヨーカドーの上岡店に1号店が誕生。アメリカの『デニーズ』のアメリカンダイナースタイルでの店作りから始めながらも、やはり日本の食文化であり、食の志向に合わせたメニューを作ろうと試行錯誤をし続けて、今のファミレスの形をつくり上げました。
その歴史のなかでは、創業当時に始まったコーヒーのお代わり無料や禁煙席の設置や24時間営業、時間帯別メニューなど、様々なサービスを先駆けて導入し、その後日本国内で定番化したものもたくさんあります。なかでも2002年に「アレルギーを持つ子どもにも外食を楽しんでほしい」という思いから始めた低アレルゲンメニューの導入をきっかけに、現在では全メニューのアレルギー情報を掲載しています。
その歴史を彩ってきたメニューのなかでデザートのブームの火つけ役となったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。1990年のティラミス、1992年のナタデココ、1993年のパンナコッタ、2001年のキャラメルパンケーキから注目を集めたパンケーキブームなど、社会現象を巻き起こしてきました。
お客様がファミレスに求めるものをもっともっと出していく
null50周年の記念として何を行なうか?それを考えたときにも浮かんだのが「『デニーズ』は常に挑戦してきた」ということだったそう。創業から続く開拓者精神、フロンティアスピリットを今後の次世代にもつなげていかなければいけない。一方で、世の中や環境は大きく変化しており、より一層変化に対応していくということと基本の徹底ということはやっていきたい。そこで「お客様がファミレスに求めるものは何なんだろう」と、真剣に社内で議論した結果、もっともっと価値のあるものを出していこうと、今回の人気シェフの監修メニューの企画に至ったそうです。
2023年9月12日(火)から第一弾として参宮橋のイタリアンレストラン『レガーロ』の小倉知巳さんが監修したメニューに始まり、年末にかけて『アロマフレスカ 銀座』の原田慎次さん、『ルカンケ』の古屋壮一さんの監修メニューも登場します。
ミシュラン1つ星のシェフのおすすめ3品セットを1,969円で全国に!
null今回の企画の肝は、予約困難な人気店のメニューを全国のファミリーレストランで手頃な価格で再現し、提供すること。そのため、何度も修正を重ね、さらに全国の提供店舗向けの研修でもアツアツの料理を食べてもらうために料理を出すタイミングなどの大切さについても説明したそうです。
「『デニーズ』はすごくパイオニア的な存在。僕は、46歳なんですが、 ファミリーレストランの使い方はもう50年前とはかなり変わってきていると思います。商品開発を一緒に進めていくうちに、僕は本当に本格的なパスタを『デニーズ』さんで提供したいと考えました。紆余曲折ありながらも、ど真ん中のイタリアンを作るっていうことを目標にメニュー開発しました。
ラーメンもカレーもハンバーグも先週食べたけど、 今週も食べたいと思う、日常に根差したもの。僕はパスタもそういうものだと思っているので、今回のフェアは、 先週食べたけどパスタだけでももう1回食べたい、むしろ『デニーズ』に行ったからパスタ食べたいねっていう風に思わせるのが最終的な目標なのかなと思ってます。かなり自信あります」(『レガーロ』小倉さん)
今回『レガーロ』の小倉さんが監修したスペシャルメニューは、「スパゲッティ 海老のマリナーラ シェフのおすすめ 3品セット」で、3品で1,790円(税込1,969円)。ちなみに、「レガーロ」は6皿+デザートの「おまかせコース」で1万2,000円(税込・サービス料別)なので、お肉や魚などのメインがないとはいえぐぐっと手の届くお値段になっています。
実際の料理を見てみても、ボリュームもたっぷりあり、ランチはもちろん、ディナーに食べても満足のいくボリュームです。
ローストポークスライスとルッコラのインサラータ
まずは前菜としてサラダのプレートから。スライスされた赤玉ねぎを添えたローストポークと、バジルドレッシングをかけたルッコラサラダ。こちらには美味しすぎると評判のデニーズの「ライ麦パン」が添えられています。
卵と玉ねぎのズッパ
2品目はコースのスープにあたる一皿。メニュー名にある「ズッパ」とは、イタリア語でスープの意味。「卵と玉ねぎのズッパ」は、デニーズのオニオンスープをベースに、卵とチーズをのせて焼き上げ、アーモンドスライスをちらしています。お皿自体がとても熱いので要注意です。
スパゲッティ 海老のマリナーラ
スープを食べ進んだあとに、アツアツで提供することにこだわったのがよーくわかるのが最後の主役「スパゲッティ 海老のマリナーラ」。トマトの旨味が凝縮された濃厚ソースにアンチョビをアクセントに加え、それ以外の形のある具材は海老とトッピングのイタリアンパセリのみのシンプルながらも食べ応えのある1品。
間違いなくメニュー提供後にまた足を運んでしまうのを決めてしまうほど、いま思い出しても美味しかったなぁ……と口のなかに味の記憶が蘇ってきます。
さらに、期間限定でこちらのメニューに合う小倉シェフセレクトの赤ワインと白ワインも登場します。こちらはボトルのみなので、ぜひ誰かとのディナーのお供に。
特別に今回のための食材調達をしたのではなく、既存のメニューをアレンジしたり、スパゲッティもデニーズで普段から使っているもの。それを監修シェフの知見を得ることで、ファミリーレストランの味がまた次のステージへと進化しています。
この味が期間限定とはいえ、全国で提供されるのですから、本当に楽しみですね。
取材・文/北本祐子
【取材協力】
デニーズ