「カンロ」と言ったら、「カンロ飴」!
null私の中で“カンロの飴”と言ったら、1955年からあるこちら「カンロ飴」。小さな頃から見慣れていて、スーパーマーケットに行けば必ずおいてある。日本人が大好きな“甘じょっぱい味”なのもたまりません。
そんなイメージの“カンロ”がおしゃれになってしまったので、つい驚いてしまったのです(笑)。でもパッケージがおしゃれになったのには、大きな理由があったのです。
「閉塞感のあるコロナ禍の中、身近なお菓子で気分を上げていただけたら…」
null「これまでも様々なパッケージデザインに挑戦しておりましたが、ここ数年、より多くの方々からデザインをお褒めいただく機会が増えたように感じます。3年前、世の中がコロナ禍になり、一変、閉塞感に包まれた世の中になりました。
そんな中、普段の買い物に楽しみを求めるという生活者の需要を受け、身近なお菓子で気分を上げられるようにデザインや中身にも、より一層こだわるようになりました」(以下「」内、商品担当者)
とのこと。なんと、コロナ禍がきっかけだったのですね。
そして同時に、若手社員のアイディアを今まで以上に尊重するようになったのだとか。また“ガチコンペ”というアイディア発表の場を設けていて、アイディアをそのまま商品化する取り組みまで実施しているそう! これは社員もワクワクしますよね。
発売から2週間で品薄に!現役高校生と共同開発した「透明なハートで生きたい」
null現在、『カンロ』では、若年層に向けた商品開発にも力を入れており、中でも、人気を集めたのが現役高校生たちと共同開発した「透明なハートで生きたい」シリーズのキャンディ。
インパクトのあるキャッチコピーや、昨今若者層に人気が高い“透明”というキーワードに着目し、パッケージデザインやキャンディ自体に透明感を取り入れたと言います。確かに今までこんなおしゃれなパッケージのキャンディはなく、コンパクトタイプなど小さい商品なのに、コンビニでものすごい存在感を発揮していました。
「コアターゲットであるZ世代の生活に馴染むためにも、イメージカラーは、“青春、爽やかさ”を象徴する青を基調とし、朝、昼、夜、一日を通して気持ちのゆらぎに寄り添えるような写真をセレクトしています。
個包装タイプのパッケージはネガフィルムのようにスマートに写真を配置することで、ハートがモチーフの飴でもかわいくなりすぎないよう、”オシャカワ”を意識しました。また、飴のきれいさ、かわいらしさを印象付けるために、パッケージの下部に窓を開けるだけではなく、飴の写真を目立つところにデザインしているのもポイントです。
飴の色味は、共同開発をした現役高校生たちからチルい、エモいと感じるお気に入りのシーンの写真をもらい、ヒントにしました」
パッケージ裏面にはポジティブな気付きを与えるストーリーが書かれています。
やはり買い手の目と心を奪う商品は、ディティールにまでこだわって作られているんですね。
スティックタイプキャンディ界に、新星現る!
nullそしてこのスティックタイプキャンディ。
携帯に便利なスティックタイプキャンディの購買ボリューム層は30~50代男性なため、売り場にはのど飴などの機能感の強いパッケージが並ぶと言います。そんな中「もっと市場を盛り上げたい! Z世代にも手に取ってもらいたい!」と、開発されたのが『夏夜のカケラ CANDY』。
パッケージは「ふと見上げた夏の夜空」をコンセプトにし、Z世代がどこか共感できるような5つのシーンをキリトリ。いわゆる“エモさ”を表現したといいます。狙いは見事に的中し、普段飴を買わないという人たちにも大好評。SNSでは“1個買い“ではなく、“大人買い”している投稿をよく見かけます。
中身は、透き通った青色の飴に星屑に見立てたゆずのフリーズドライチップが入った「星屑ソーダ味」と、天の川をイメージした薄氷色のレモンが香る「ホワイトソーダ味」の2種が入っています。
“夏のワクワクした思い出”をコンセプトに。「ラムネのビー玉キャンディ」
nullお祭りや海などの“夏のワクワクした思い出”をコンセプトに作られた『ラムネのビー玉キャンディ』。パッケージデザインは夏らしいカラーで、思いきりさわやかに振りきってみたそう。とくにコンパクト商品は、パッケージ全面をラムネ瓶モチーフにし、まさにラムネの瓶を手に取るような仕様に。
味はひんやりラムネ味で、個包装タイプはぶどうラムネ味も入った2種類。『カンロ』独自の透明でなめらかな飴をつくる技術により、本物の”ラムネ瓶の中のビー玉“のような美しい仕上がりになっているのもこのキャンディの大きなポイントです。
※画像は個包装袋タイプの中身で、コンパクトタイプの飴は仕様が異なります。
機能感は抑え、情緒的にシフトしたのど飴パッケージ
null先に「のど飴などの機能感の強いパッケージ」と書きましたが、のど飴って、書体といい、デザインといい、おしゃれだと思うものは少なくて(笑)。でも、まさに“のど”のためになめる飴なので、それで充分! なので、当初コンビニでりんご飴と花火があしらわれたこの情緒的なパッケージを見たとき、のど飴と思わず、普通の“りんご飴”だと思っていました。
こちらは『カンロ』の代表的なのど飴「健康のど飴」シリーズのひとつで、「目をつぶれば思い出す、夏の味」のキャッチフレーズに、夏の思い出を懐かしんでもらえるようなデザインにしたのだそう。
ブルー:夏の夜空に大輪の花火が上がる様子をイメージした「花火が彩る夜空」
ピンク:花火が咲く一瞬の煌めきを表現した「煌めきの夏」
の2つの色とシーンを展開。
底面には「花火が照らす君の横顔」、「花火、夕涼み、お祭りの夜」、「もう、戻れない夏」など、メインのキャッチコピーに続くエモーショナルな6つのメッセージが隠されています。……なんだか飴そのものが“青春”をしていて、おばさん、恥ずかしくなってしまいます(笑)。
飴のパッケージ進化に気づいてもらえるきっかけに。
null「コンパクトタイプの飴が出たことで、今は飴の袋が小さく、持ち運びがしやすいものがあること。飴のパッケージがこんなにも進化していることにお客様が気づいてくださるきっかけになりました」とは、「透明なハートで生きたい」の担当者がおっしゃっていた言葉。
この言葉は非常に印象的でした。確かに今まで飴の袋というと、いちばんはじめに挙げた「カンロ飴」のようなタイプで、私もこんなコンパクトで、保存も効く飴の袋があるとは知りませんでした。
あまりに身近すぎるお菓子なだけに、こうした企業努力になかなか気づきませんが、かわいい・おしゃれだけでなく、機能性もきちんと考えられたパッケージが誕生しているんですね!
【参考】
KanroPOCKeT https://kanro.jp/
撮影/中田ぷう
※価格は、中田さん購入時の価格のため、変動する可能性があります。
編集者・フードジャーナリスト。多くの料理本や暮らしの本、キャンプ本を手がける。自著に子どものごはん作りの闘いを描いた『闘う!母ごはん』、『素晴らしきお菓子缶の世界』(共に光文社)がある。 プライベートでは猫2匹&犬1匹と小学生、大学生の女の子の母。ハワイじゃなくてグアムラバー/スターウォーズマニア/アダム・ドライバーファン。Instagram