もう苦くならない!パックの麦茶、水出し・お湯出し・煮出し…おすすめは?
null―早速ですが、まずはパックの麦茶について教えてください。ティーバッグタイプの麦茶を美味しく作るには、どのようにするとよいのでしょうか? 水出し、お湯出し、煮出しと、いろいろ方法があって迷ってしまいます。
小野唯さん(以下、敬称略)「以前は煮出すタイプの商品もあったのですが、現在伊藤園で販売しているティーバッグタイプの商品は、すべて水出し・お湯出しに適したものになっています。
水出し・お湯出しのメリットは、やかんなどで煮出すタイプに比べ、水やお湯を注ぐだけで手軽に作れること。そのために、麦の粒をあらかじめ粉砕したものを使用しています」
―言われてみれば、普段私が使っている商品にも「水出し・お湯出し用」という記載があります。
小野「これらのティーバッグは手軽に作れる反面、長い時間液体に入れっぱなしにしたり、沸騰している状態で煮出したりすると、苦さや雑味を生む原因になってしまいます。それを防ぐためには、
- 水出し:水を注いでから2時間
- お湯出し:火を止めたあとの熱湯で10分
を目安にし、時間がきたら、ティーバッグを清潔なお箸などで取り出すとよいでしょう。詳しい作り方はパッケージの裏などに記載されているので、そちらを参考にしてください」
―ティーバッグタイプの商品にはどんなものがありますか?
小野「主なものに、『健康ミネラルむぎ茶』と『香り薫るむぎ茶』の2種類があります。また、100%国産原料を使った『香り薫るむぎ茶 国産プレミアム』といった商品もあります」
―「健康ミネラルむぎ茶」には「ミネラル」という名前がついていますが、他の麦茶とどう違うのでしょうか?
黒岡雅康さん(以下、敬称略)「『健康ミネラルむぎ茶』にはミネラル※を含んだ海洋深層水を配合しています。ペットボトルの『健康ミネラルむぎ茶』も同様です」
(※「健康ミネラルむぎ茶」のミネラルとは、リン・マンガン・ナトリウムのこと。)
夏は作ってもすぐ飲んじゃう…?実は、素早く作る方法があるんです!
null―夏場の麦茶は家族全員でどんどん飲んでしまうので、いくら作っても、すぐに飲みきってしまいます。
小野「そんな時に使える、とっておきのテクニックがあります!
お湯出しで作ると冷めるまで待たなければならず、水出しだとできるまでに時間がかかる。そこで、少量のお湯で濃くお湯出ししたあとに水を注ぐことで、短い時間で、すぐに飲める温度の麦茶を作ることができるんです」
―そんな方法があったとは!
小野「まず、容器にティーバッグと熱湯を100ml注いで、10分間放置し、濃い麦茶を作ります。そのあと、水を入れて通常の麦茶の濃さにし、ティーバッグを取り出せば完成です。
通常のお湯出しで作る麦茶と比べると、少し香りが弱くなってはしまうのですが、十分美味しく飲んでいただけますよ」
―このテクニックを使えば、出がけに急いで麦茶を作って水筒に入れたり、ポットごと冷蔵庫に入れてから外出……なんてこともできますね。
小野「通常の水出しでも、お湯を沸かす手間がない分、負担が少なくなるのでおすすめです。容器を複数用意していただいて、冷蔵庫でまとめて作っておくのもいいですね。
なかには『お湯出し以外試したことがない』という方もいるのですが、お湯出しとはまた違った美味しさがあるので、ぜひ試してみていただければ嬉しいです」
ペットボトルとパックの違いは?美味しさの秘密はこれでした
null―ずっと気になっていたのですが、ペットボトルタイプとティーバッグタイプでは、味に違いはあるのでしょうか?
黒岡「正直に申し上げて、まったく同じ味わいではありません。
ティーバッグの場合、簡単にすぐ抽出できるよう、粉砕した粒を使用しているのですが、ペットボトルでは丸粒の麦を使用しているため、よりクリアでしっかりした、昔ながらのやかんでつくる麦茶を再現した味わいになっていると思います。
なお、伊藤園の麦茶は、原料である麦の買い付けから焙煎までをすべて自社グループで担っているのが大きな特徴です。ペットボトルもティーバッグも、その時々で原料の細かな変化に合わせて最適な焙煎の仕方を調整し、美味しさにこだわって仕上げています」
―なるほど! 製法の違いもあり、ペットボトルの方がより“やかん品質”に近い味わいに調整されているのですね。
黒岡「さらに毎年、味の検討・改良を行っていて、実はちょっとずつ味が進化していっています。
ちなみに2023年の改良ポイントは、“飲んだ瞬間の香ばしさを高め、飲んだあとのキレをよくした”こと。1年単位では、ほとんど気づかれないくらいの変化ではありますが、5年~10年経ったときに『いつの間にかすごく美味しくなってる!』と感じていただけたら嬉しいですね」
小野「もちろんティーバッグタイプも、よりベストな味わいに近付けるため、日々改良を重ねています。またペットボトルと比べて、それぞれのお客様がご自身の好みの濃さに調節しやすいのもティーバッグならではと言えるかもしれません。
ペットボトルとティーバッグ、それぞれのよさがあるので、ぜひ両方を飲み比べながら、好みの味を見つけていただければと思います」
ほかにはこんな商品も。目的別に使い分けて!
null―我が家では、子どもが小さい時から伊藤園さんの「こどもむぎ茶」を飲ませています。こちらはどういった商品なのでしょうか?
黒岡「ベースの部分はペットボトルの『健康ミネラルむぎ茶』と同じなのですが、より小さいお子さまでも飲みやすいように濃度を低めに設定しています。
また、この商品は“乳児用規格適用食品”で、麦茶なのでもちろんノンカフェイン。乳幼児に適した味わいに仕上げており、生後1カ月頃の赤ちゃんからおいしく飲んでいただける、麦由来の『甘さ』が特徴です。
もちろんペットボトルの『健康ミネラルむぎ茶』も『こどもむぎ茶』と同様の管理のもとで作られているので、お子さまにも安心して飲んでいただけますよ。麦茶を初めて飲ませる際は、もし気になるようであれば、薄めて少しずつ様子を見ながら飲ませるようにしてください」
―基本的には、濃さが違うだけでほとんど同じものと考えていいのですね。
―最近は「粉末タイプ」や「スティックタイプ」の麦茶もよく見かけるようになりました。
小野「いつでもすぐに、1杯分から作れるインスタントむぎ茶は大変好評で、売り上げも年々伸びてきています。
水でもお湯でもすぐに溶けるので、ティーバッグのように待つ必要がなく、忙しい方にもおすすめです。お出かけ先で哺乳瓶などで作ることもできるので、子育て中の方にもリピーターが多い商品です」
―インスタントのものは使ったことがなかったのですが、これは確かに便利そうです。最後に、普段、麦茶を飲んでいるみなさんに伝えたいことがあれば教えてください。
黒岡「私が小さいころから、夏といえば、冷えた麦茶を縁側で飲むというのが風物詩でした。今でも麦茶は、赤ちゃんからご年配の方まで世代を問わず、誰もが飲める身近な飲み物ですよね。
伊藤園では、麦の甘くて香ばしい美味しさを大事にしつつ、これからも地道に改良を続けていくので、ぜひ家族みんなで楽しく飲んでいただけたらと思います」
毎日飲んでいる麦茶ですが、意外と作り方のコツを知らなかったり、商品によって製法や味わいに違いがあったりと、取材を通してさまざまな発見がありました。
ひとまわり麦茶に詳しくなって、今年はより一層、美味しく麦茶が飲めそうです!
黒岡 雅康(くろおか まさやす)/写真左
株式会社伊藤園 マーケティング本部 麦茶・紅茶・中国茶・健康茶ブランドグループ ブランドマネジャー。
この仕事をしていて特に嬉しかったのは、7歳の子から「この商品を作ってくれてありがとうございます」というハガキをもらったこと。
小野 唯(おの ゆい)/写真右
株式会社伊藤園 マーケティング本部 リーフブランドグループ 商品チーム。
趣味はハンバーガー屋めぐり。それぞれのお店の看板メニューを中心に食べ歩いている。