鶏肉に含まれる栄養素
nullたんぱく質の補給源として!
たんぱく質は、筋肉や髪の毛、爪や皮膚などだけでなく、血液や酵素などに至るまで、身体中のさまざまな成分として欠かせない、重要な栄養素です。代謝にも必要になるため、たんぱく質が不足すると新陳代謝や基礎代謝の低下を招きます。たんぱく質は、特にささみとむねの部分に多く含まれています。
鶏肉の部位ごとのたんぱく質の量を比較してみました(すべて100gあたりの数値)。
・むね(皮つき):21.3g
・むね(皮なし):23.3g
・もも(皮つき):16.6g
・もも(皮なし):19.0g
・ささみ:23.9g
・手羽先(皮つき):17.4g
・手羽元(皮つき):18.2g
ストレス緩和や成人病予防にも役立つアミノ酸
鶏肉のたんぱく質に含まれているのが、必須アミノ酸のひとつであるメチオニン。メチオニンには、肝臓内の毒素や老廃物を排出する作用があると言われています。また、代謝促進、血中コレステロール値のコントロール作用や抑うつ症状の改善などにも役立つとされ、それらの作用から、動脈硬化予防やストレス緩和、肝機能を守る効果が期待されています。
チームで働くビタミンB群
肉類に多く含まれるビタミン類の中でも、鶏肉は特にナイアシンが豊富です。ビタミンB群は、それぞれにも役割を持ちますが、エネルギー代謝をはじめとして、お互いに助け合って効果が出るという、チームとして働くことでも知られています。
ナイアシンは、酵素を助けて代謝にかかわる以外にも、胃腸の働きを維持し、皮膚の健康を保つ役割を担っているといわれています。
骨を丈夫に保つビタミンK
ビタミンKはカルシウム・ビタミンDとともに骨の形成に関わるビタミンです。血液の凝固にも関係するので、不足すると出血が止まりにくくなるなどの症状が出ます。鶏肉・牛肉・豚肉で、100gあたりのビタミンKの量を比較してみました。
・鶏肉 もも(皮つき):29μg
・牛肉 もも(皮下脂肪あり):8μg
・豚肉 もも(皮下脂肪あり):2μg
鶏肉は、牛肉や豚肉に比べてビタミンKが多く含まれていることが分かります。丈夫な骨のためにも摂取できるといいですね。
お肌以外にもうれしい作用がたくさん!コラーゲン
皮膚や腱・軟骨などを構成する繊維状のたんぱく質であるコラーゲンは、鶏肉の皮の部分や手羽に豊富に含まれています。煮汁などに溶け出し、冷めるとゼリー状に固まる性質をもっています。
鶏肉に期待できる効果効能
null比較的低エネルギーで良質なたんぱく質
鶏肉は、比較的低エネルギーで高たんぱくな食材です。鶏肉のたんぱく質は、アミノ酸スコア100と良質なたんぱく質です。
部位にもよりますが、豚肉や牛肉それぞれのもも肉と比較すると、エネルギーが低く、たんぱく質が多いことがわかりますね。
鶏肉、牛肉、豚肉で、もも肉100gあたりに含まれるカロリーとたんぱく質の量を比較してみました(すべて生の肉100gあたりの数値)。
鶏皮は避けるべき?
皮は脂質が約50%と高カロリーな一方、コラーゲンも豊富。うま味が強く濃厚な味わいで、やわらかいのが特徴です。焼くとパリッとするため、肉とは違った風味や食感を楽しめます。
鶏肉100gあたりに含まれるエネルギー量と脂質量を、皮あり/なしで比較してみました(すべて生の肉100gあたりの数値)。
皮つきはおいしさが増す一方、脂質が高く、エネルギーを増やす原因にもなるので、ダイエット中なら皮をはずすといった工夫をするといいでしょう。
次回は、鶏肉の部位別での特徴についてみていきましょう!
撮影:黒石 あみ(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・「食材の基本がわかる図解事典」成美堂出版
・「知っておいしい肉事典」実業之日本社
・「農林水産省webマガジン」鶏の部位図鑑
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2009/pdf/aff2009_02_poster05.pdf
・「日本食肉消費総合センター」
http://www.jmi.or.jp/
・「厚生労働省 eヘルスネット コラーゲン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html
(最終参照日2023/3/22)
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。大学卒業後、食品メーカー勤務を経て管理栄養士の道に進む。
食の大切さを伝えるため、コーチングを取り入れたバレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、親子クッキングや離乳食講座などの料理教室、レシピ・コラムの提供、栄養講座、研究機関協力など幅広く活動。
現場の生の声から多くを学びながら、おとなと子どもの食育サポートに力を注いでいる。