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食物繊維の宝庫!だし以外でも活用したい「昆布」の栄養情報

「だし」の原料としてはもちろん、そのまま食べることでも栄養を丸ごと摂取できる昆布。海藻ならではの豊富な食物繊維のほかにも、不足しがちなミネラル類がたくさん含まれている健康食材です。昆布の魅力や栄養情報を管理栄養士が解説します。

昆布の基本情報

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昆布の種類

昆布は種類によって味わい、食感、価格などにそれぞれ特徴があります。

日高昆布(ヒダカコンブ):もっともポピュラーで手頃な価格。三石昆布(ミツイシコンブ)とも呼ばれる。おいしいだしがとれ、昆布そのものも煮るとやわらかく食べやすい。

長昆布(ナガコンブ):沖縄県でよく食べられている。食感がやわらかく、だしのほかにも炒め物や煮物に使われている。

真昆布(マコンブ):高級昆布のひとつ。だしはもちろん、つくだ煮や昆布巻きなど幅広く使え、おぼろ昆布の原料でもある。正月飾りにも使われる縁起物。

羅臼昆布(ラウスコンブ):高級昆布でコクのある濃い色のだしがとれる。昆布茶の原料やだし用昆布として使われることが多い。

利尻昆布(リシリコンブ):最高級のだし用昆布。うま味が強くて透明感のある、上品なだしがとれる。昆布そのものは硬くて煮物には向かない。

この記事では主に日高昆布について解説します。

日高昆布(みついし昆布/素干し)100gに含まれる主な栄養素

・エネルギー:235kcal
・食物繊維:34.8g
・カルシウム:560mg
・マグネシウム:670mg
・鉄:5.1mg
・β-カロテン当量:2,700μg
・葉酸:310μg

腸活にもお役立ちの食物繊維

昆布は海藻ならではの食物繊維が豊富です。食物繊維は便のかさを増やすことで腸のぜん動運動と排便を促す働きがあり、肌荒れやニキビの原因になる便秘の解消におすすめ。また、食物繊維は腸まで届くと善玉菌のエサとなって腸内細菌を活性化します。善玉菌を含む発酵食品とともに、腸活には欠かせない存在です。

鉄分・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルが豊富

昆布に含まれる鉄分は、非ヘム鉄に分類されます。吸収率は高くありませんが、野菜や果物に含まれるビタミンCと合わせて摂ると吸収がよくなります。逆に紅茶や緑茶に含まれるタンニンは非ヘム鉄の吸収を抑えるので、鉄分不足や貧血が気になる人は食べ合わせを工夫することも大切です。

また、昆布には丈夫で健康な歯や骨を作るために必要なカルシウムとマグネシウムが含まれています。カルシウムは神経の情報伝達に関わる、筋肉の動きを調整するなどの働きがあり、マグネシウムはカルシウムと拮抗して血圧を調整するという役割があります。そのため、どちらもバランスよく摂ることが大切です。

ヨウ素の量が気になるとき

昆布やわかめ、ひじきなど海藻類にはヨウ素が多く含まれていますが、昆布は特にその量が多いことが特徴です。ヨウ素はミネラル類の一種でヨードとも呼ばれ、甲状腺ホルモンの材料として代謝に関わるほか、子どもの成長、発達にも必要な栄養素です。しかし、摂りすぎると過剰症のリスクがあるため耐容上限量が設けられています。

健康な成人の場合は、昆布や昆布だし以外にもヨウ素を含む食品を毎日のように異常に食べ続けている場合を除き、過剰摂取を心配する必要はありません。

昆布からの摂り過ぎを避けるには、昆布を異常に食べ過ぎないことはもちろん、昆布だしを使用した加工品、調味料からの摂り過ぎに気をつけることが大切です。

【昆布を使用した食品100gあたりのヨウ素含有量】

・昆布だし(水出し):5,300μg
・昆布だし(煮出し):11,000μg
・昆布のつくだ煮:11,000μg

【ヨウ素の食事摂取基準(30~40代男女の場合)】

・推奨量:130μg/日
・耐容上限量:3,000μg/日
(1日あたりの平均値)

※ヨウ素の推奨量と耐容上限量について、詳しくは下記をご参照ください。
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 

昆布に期待できる効果・効能は?

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さまざまな調理法で食べられる昆布。

健康・ダイエットにお役立ち

昆布は現代人に不足しがちな食物繊維とミネラルのほか、抗酸化作用のあるβ-カロテン、赤血球をつくる葉酸などのビタミン類も含まれ栄養豊富です。特に食物繊維は余分な塩分を排出する、血糖値の上昇をゆるやかにするという働きもあり健康やダイエットに役立ちます。

また、昆布のぬめり成分であるフコイダンとアルギン酸も水溶性食物繊維の一種で、健康効果が期待されています。

うま味を活かしてうす味&減塩!

健康のために「おいしさを損なわず減塩したい」というときには、昆布だしが便利です! 昆布だしのうま味成分はグルタミン酸ですが、うま味を活用すると塩分控えめでもおいしい汁物や煮物、鍋が作れるんです。また、グルタミン酸はかつお節に含まれるイノシン酸と合わせると相乗効果を発揮してうま味が強くなる特徴があります。上手に活用してみてくださいね。

撮影:黒石 あみ(小学館)

 

【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高監修 高橋書店
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい 監修
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html

(最終参照日:2022/12/08)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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