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食物繊維やミネラルたっぷり!鉄分量が減ったってホント?「ひじき」の栄養情報

煮物やサラダなどでおなじみのひじき。海藻ならではのミネラル類や食物繊維が豊富な健康食材です。ひじき=鉄分豊富というイメージですが、その常識が少し前に変わったってご存じですか? そのほかひじきの栄養情報の詳細や、期待できる効果効能について、管理栄養士が解説します。

ひじきの栄養情報

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加工前の生ひじきは緑色をしています。

ひじき(乾燥)100gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:180kcal
・食物繊維:51.8g
・カルシウム:1,000mg
・マグネシウム:640mg
・ヨウ素:45,000μg
・β-カロテン当量:4,400μg

ひじき=鉄分豊富?調理器具による違いとは

ひじきは鉄分が豊富というイメージをもっている人も多いと思います。でもこれにはひとつ注意点が。ひじきの鉄分含有量について、文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には次のように記されています。

【ひじき100gに含まれる鉄分の違い】
・ひじき(ほしひじき/ステンレス釜/乾):6.2mg
・ひじき(ほしひじき/鉄釜/乾):58.0mg

ひじきは収穫後に製造過程で蒸し煮にする際、使用する調理器具の種類によって鉄分の含有量に差が出ます。そのため「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」よりステンレス釜と鉄釜で項目が分けられ、ステンレス釜では鉄分が約1/9に減ってしまうことが話題になりました。調理器具の違いでここまで差が出るとは驚きですね。

ひじきに含まれる鉄分は非ヘム鉄といって、ビタミンCやたんぱく質と合わせると吸収がよくなります。サラダならビタミンCを含むレモン汁入りのドレッシングで和えたり、煮物ならたんぱく質を含む油揚げや大豆を入れたりして食べ合わせを工夫するといいですよ。

カルシウム&マグネシウム

ひじきのカルシウム含有量は海藻類のなかでもトップクラス。カルシウムが骨や歯を丈夫に保つことはよく知られていますが、そのほかにも神経の情報伝達に関わる、筋肉の動きを調整するなどの働きがあります。

そして、カルシウムとともに骨を作るのがマグネシウムで、ひじきにはどちらも含まれているのがうれしい点です。カルシウムとマグネシウムは不足しがちなミネラルですが、互いに拮抗して働くことが多いためバランスよく摂ることが大切です。

ヨウ素の摂り過ぎに注意

ひじきにはヨウ素が非常に多く含まれています。ヨウ素はミネラルの一種で甲状腺ホルモンの材料になるほか、子どもの成長、発達にも関わっています。

その一方で、摂りすぎると過剰症のリスクがあることから、耐容上限量が設けられています。ひじきのようにヨウ素を多く含む食品を極端に摂りすぎないのはもちろん、サプリメントによる摂り過ぎにも気をつけましょう。

【ヨウ素の推奨量と耐容上限量(30~40代男女の場合)】

・推奨量:130μg/日
・耐容上限量:3,000μg/日

※ヨウ素の推奨量と耐容上限量について、詳しくは下記をご覧ください。
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 

乾燥のひじきは水で戻すと8~10倍に増えます。1食あたりに食べる量は乾燥ひじきで数g程度ですから、毎日大量に食べ続けるということがない限りそれほど気にしなくても大丈夫です。

美容に健康に!β-カロテン

緑黄色野菜に豊富なことが知られているβ-カロテン。実はひじきにも多く含まれています。β-カロテンは肌の健康を保ち、美肌づくりに欠かせません。さらに、のどや鼻の粘膜の健康も保つことで免疫力維持、風邪予防にも役立っています。また、老化の原因になる活性酸素の働きを抑える抗酸化作用もあることから、健康と美容によいビタミンといえます。

食物繊維で腸活

ひじきは食物繊維が豊富な食材です。食物繊維は便のかさを増やすことで腸のぜん動運動、排便を促してくれます。肌荒れやニキビの原因にもなる便秘の解消におすすめです。また、食物繊維は腸まで届き善玉菌のエサとなって、腸内細菌を活性化する働きもあり腸活につながります。

長ひじきと芽ひじき

お店に行くと「長ひじき」と「芽ひじき」が売られていますが、主に茎部分が長ひじきでしっかりした歯ごたえ、芽や小さい茎部分が芽ひじきと呼ばれてやわらかく火が通りやすいのが特徴です。栄養的には変わらないので、食感などの好みで選んでください。

ひじきに期待できる効果・効能

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美容にもうれしい

ひじきには前述の通り、食物繊維やβ-カロテンが含まれています。食物繊維は腸内環境をととのえることで新陳代謝がアップして美肌に役立ち、β-カロテンが肌の健康を保ってくれます。また、なんといってもひじきは海藻類のため低カロリー。ダイエット中も安心して食べられますね。

健康に役立つ働き

いつまでも健康でいるために骨や歯の健康は重要です。カルシウムとマグネシウムは骨や歯を丈夫に保つ働きがあります。育ち盛りの子どもの身体づくりにはもちろん、加齢とともに低下する骨密度を保つためにも欠かせません。偏った食生活ではどちらも不足しがちなので、ひじきなどの海藻類を上手に取り入れながら、バランスのよい食事を心がけましょう。

撮影:黒石 あみ(小学館)

 

【参照】

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高監修 高橋書店
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書籍
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい 監修
・「医師が教える すごい美肌循環」日比野佐和子 アンノーンブックス
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html

(最終参照日:2022/10/12)

小嶋絵美
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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