しじみの栄養情報
nullしじみ(生)100gあたりに含まれる栄養素
・エネルギー:54kcal
・たんぱく質:7.5g
・脂質:1.4g
・炭水化物:4.5g
・ビタミンB12:68.0μg
・鉄:8.3mg
・カルシウム:240mg
・カリウム:83mg
オルニチンの働き
特にしじみに多く含まれているといわれるオルニチン。たんぱく質を構成せずに体内を循環して働く遊離アミノ酸の一種です。
オルニチンは、有害なアンモニアを無害な尿素へ変換する代謝に関わっており、肝臓の働きをサポートすることで知られています。これが、「しじみが二日酔いにきく」といわれる理由の一つでもあると考えられます。
豊富な鉄分を効率よく摂るには?
しじみには他の貝類に比べても多くの鉄分が含まれており、貧血予防や改善に効果があるといわれています。量にして、しじみ可食部100gで成人の男女の一日に必要とされる鉄分摂取量をカバーできるほど。
とはいうものの、しじみはとても小さく、たくさんの量を食べるのも難しいですよね。
肉や魚などに含まれるヘム鉄は、野菜や乳製品、卵などに含まれる非ヘム鉄よりも2~3倍以上も吸収がよいとされています。
非ヘム鉄の吸収をアップさせるには、同時にヘム鉄を利用することや、動物性たんぱく質・ビタミンCを一緒に摂ることが必要です。
しじみにはヘム鉄と非ヘム鉄のどちらも含まれているといわれていますが、貧血予防・貧血改善には、しじみのほかにも動物性・植物性の鉄分をまんべんなく摂ることがおすすめですよ。
さらにしじみは、造血作用のあるビタミンB12を豊富に含むことから、鉄分と協力しての貧血予防に効果が期待できるでしょう。
必須アミノ酸がバランスよく含まれる
しじみに含まれる必須アミノ酸の中で、特に多く含まれているのがロイシン・リシン・メチオニン。ロイシンは筋肉づくりなどに効果があることで知られており、アスリートが積極的に摂っているアミノ酸です。
リシンは白米やパン食などでは不足しがちな必須アミノ酸で、食事全体のアミノ酸スコアを上げるために有効です。メチオニンは体内でタウリンの材料となります。
それぞれのアミノ酸の効能については研究段階のものもあり、今後への期待が高まっています。
しじみに期待できる効果効能
null「二日酔いにはしじみ汁」と言われるワケ
しじみは約9割が水分の低エネルギー食品。たんぱく質はそれほど多くはなく炭水化物が多いという、動物性食品としては珍しい栄養分布です。
含まれている炭水化物のほとんどが、肝臓の働きを助ける「グリコーゲン」であるため、弱った肝臓の機能を回復させる際に力を発揮してくれるというわけですね。
さらに、しじみには必須アミノ酸がバランスよく含まれています。特に多く含まれているロイシンなどの必須アミノ酸は、肝機能を高める働きがあるといわれています。
生活習慣病予防効果が期待されるタウリン
しじみは、タウリンの含有量が高いことで知られています。タウリンの働きは、消化管内でコレステロールの吸収を抑える、心・肝機能の向上、視力の回復、インスリンの分泌促進、高血圧予防といったさまざまなものが報告されており、特に生活習慣病予防に期待されています。
うまみ成分「コハク酸」がたっぷり!
また、しじみには貝類の中でもうまみ成分である「コハク酸」が多く含まれます。「あさりは身を、しじみは汁を」といわれるように、コハク酸は水に溶け出す性質があるため、しじみ汁にはコハク酸のうま味のエキスが凝縮されているのです。そのうまみ成分のおかげで塩分を控えることができるため、減塩にも役立ちます。
コハク酸の働きはそれだけではありません。コハク酸は、クエン酸回路とよばれるエネルギー代謝に関わる成分であり、エネルギー代謝をうまく回すためにも重要な役割を担っています。汁はもちろんですが身も食べることで、しじみの良質なたんぱく質や鉄分などのミネラル、アミノ酸なども摂ることができますよ。
しじみの砂抜き方法
nullしじみは、生息環境である汽水域(淡水と海水が混じりあう区域)よりも少し濃いめの濃度の塩水で砂抜きするのが、うま味が逃げにくくおいしくなるといわれています。
まず、ボウルとひとまわり小さめのザル、または、バットとそれに入る大きさの網のセットを用意します。ザルや網は、出てきた砂を再び吸い込ませないようにするために使用します。
ボウル(またはバット)にザル(または網)をセットし、しじみを入れたら、1%の塩水をひたひたになるまで注ぎます。そして新聞紙などで覆って暗くしておきましょう。基本的には常温で1~2時間で砂抜きができます。
砂抜きののち、しじみの貝殻同士をやさしくこすり合わせるようによく洗ってから使います。
まとめて砂抜きして冷凍保存がおすすめ!
砂抜き後は水気を切って一晩ほど冷蔵保存または冷凍すると、さらにうま味がアップするといわれています。
冷凍する場合は砂抜きしてよく洗ったあと、水気をしっかりとふき取ってから冷凍用の保存袋へ入れて冷凍庫で保存しましょう。凍らせたしじみは、自然解凍をすると口が開かなくなるため、必ず凍ったまま加熱調理することがポイントです。
撮影/黒石 あみ(小学館)
【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「旬を味わう魚の事典」 坂本一男監修 ナツメ社
・「からだによく効く旬の食材 魚の本」講談社
・「旬の野菜と魚の栄養事典」吉田企世子/橋伸子 監修 X-Knowledge
・「食材図典Ⅲ」小学館
・厚生労働省「e-ヘルスネット」ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」鉄
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」タウリン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-017.html
・「外科と代謝・栄養」オルニチン
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/50/2/50_185/_pdf
(最終参照日2022/9/21)
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。大学卒業後、食品メーカー勤務を経て管理栄養士の道に進む。
食の大切さを伝えるため、コーチングを取り入れたバレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、親子クッキングや離乳食講座などの料理教室、レシピ・コラムの提供、栄養講座、研究機関協力など幅広く活動。
現場の生の声から多くを学びながら、おとなと子どもの食育サポートに力を注いでいる。