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「ほっけ」はビタミンやミネラルの種類が豊富!栄養をしっかり解説します

居酒屋メニューでおなじみのほっけ。産地以外では開いた状態の干物が定番ですね。良質な脂質をバランスよく含み、たんぱく質が豊富、さらにビタミンやミネラル類を各種摂ることができるほっけの栄養情報とおすすめの食べ方について、管理栄養士がじっくり解説します。

ほっけの栄養情報

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「ほっけ」の名は、一説には「北方の魚」であるという意味からきているともいわれ、ほとんどが北海道で漁獲されています。

ほっけは鮮度が落ちやすいため、産地以外では干物として出回ることがほとんどですが、本場の北海道や東北、北陸では生の状態でも販売され、地元では煮つけやフライ、照焼や鍋物、すりみなどにして食べることも多いそう。アニサキスが寄生していることも多々あるため、刺身としては新鮮なまま冷凍処理されたものしか向いていません。

物流が発達している現在では、インターネットなどを通じて、港から新鮮な状態で直送されたものを手に入れることができるようになりました。

生と干物を比べると、基本的には栄養価は干物の方が上がりますが、ビタミンB12、パントテン酸などのビタミンB群の一部や銅や亜鉛などの栄養素は、生の方が多くなっています。

ほっけ(開き干し)100gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:161kcal
・たんぱく質:20.6g
・脂質:9.4g
・ビタミンB1:0.10mg
・ビタミンB2:0.24mg
・ビタミンB6:0.21mg
・ビタミンB12:5.3μg
・パントテン酸:0.65mg
・ビタミンD:4.6μg
・カルシウム:170mg
・カリウム:390㎎
・鉄:0.5㎎
・銅:0.05㎎
・亜鉛:0.9㎎
・EPA:960mg
・DHA:740mg
それぞれの栄養素の働きをみていきましょう。

カルシウムとペアで働くビタミンD

カルシウムとリンの吸収を促進する、骨の形成には欠かせないビタミンです。ビタミンDが不足していると、たとえカルシウムの摂取量が十分であったとしても、カルシウムの吸収が悪くなってしまいます。

ビタミンB群

ビタミンB群は、炭水化物・脂質・たんぱく質の代謝に関わるビタミンとして知られています。水溶性ビタミンであるため、余分なものは尿として排泄され、体内の量が多くなり過ぎることはあまりないと考えられていますが、不足すると疲労感や炎症をはじめとして様々な症状があらわれます。
ほっけに多く含まれているビタミンB12は、赤血球の合成を助けたり、神経の働きを正常に保つ役割をしています。

骨の健康を保つカルシウム

神経の刺激の伝達や筋肉の収縮に必要不可欠なミネラルです。カルシウムは99%が骨や歯に貯蔵されており、ホルモンの作用により血液中のカルシウム濃度が一定に保たれています。不足すると骨が十分に成長できませんが、逆にサプリメントなどによる過剰摂取は、マグネシウムやリンなどの吸収が妨げられてしまうというリスクがあります。ほっけにはビタミンDも含まれるため、カルシウムが効率よく吸収されます。

体の成長を支える銅

体に欠かせないミネラルの一種である銅は、鉄から赤血球が作られる鉄代謝をサポートする役割を担っています。活性酸素の除去や、エネルギー生成、骨形成を助ける働きをしています。

元気な体作りに欠かせない亜鉛

多くの酵素の構成要素として、たんぱく質の合成、DNAの合成などに関わり、新しい細胞の成長と分化に必須とされるミネラルです。また、活性酸素除去や味覚機能、免疫反応にも関与しており、不足により味覚障害や皮膚炎などが起こることが知られています。

ほっけに期待できる効果効能

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ミネラルや不飽和脂肪酸が健康な体を作る

ほっけは、銅・亜鉛などのミネラル分を多く含んでいます。鉄と協力して血液中のヘモグロビン合成を促進する銅も多く含み、赤血球の合成を助けるビタミンB12も豊富なため、貧血予防にもおすすめの白身魚であるといえます。

また、カルシウムとともにカルシウムの吸収を助けるビタミンDも含んでいるため、成長期の子どもや骨粗しょう症予防が気になる人の食事にぴったりです。

さらに、良質な脂質であるEPAとDHAにも富んでいます。不飽和脂肪酸の中でもオメガ3系に分類される必須脂肪酸であるEPAとDHAは人の体内で合成できないため、食物から摂取する必要があります。

EPAは血液をサラサラにする作用や生活習慣病予防に効果があるとされ、DHAは人の脳や網膜の構成脂質であり、直接脳内に入って効果を発揮する成分として注目されています。

低脂肪高たんぱく!

ほろほろとしたやわらかい肉質が特徴のほっけは、脂肪分が比較的少なくたんぱく質はしっかりと含んでいます。

たんぱく質は、筋肉や内臓などの体の構成や、ホルモン・酵素・抗体などの体調節機能の成分。体内ではたえず合成と分解が繰り返され、一部は体外に排泄されるため、食物から補給しなければなりません。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、たんぱく質摂取の推奨量は、12歳以上の男性で1日60~65g、女性で1日50~55gに設定されています。

ほっけ100gには20.6gのたんぱく質が含まれているため、1食分としては十分の量のたんぱく質が摂れることになるといえるでしょう。

撮影:黒石 あみ(小学館)

 

【参照】

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「日本全国お魚事典」山田吉彦著 海竜社
・「旬を味わう魚の事典」 坂本一男監修 ナツメ社
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高著 高橋書店
・「からだにおいしい魚の便利帳 全国お魚マップ&万能レシピ」高橋書店
・「からだによく効く旬の食材 魚の本」講談社
・「旬の野菜と魚の栄養事典」吉田企世子/棚橋伸子 監修 X-Knowledge
・厚生労働省「e-ヘルスネット」ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」鉄
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html

(最終参照日2022/6/24)

大槻 万須美
大槻 万須美

管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。大学卒業後、食品メーカー勤務を経て管理栄養士の道に進む。
食の大切さを伝えるため、コーチングを取り入れたバレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、親子クッキングや離乳食講座などの料理教室、レシピ・コラムの提供、栄養講座、研究機関協力など幅広く活動。
現場の生の声から多くを学びながら、おとなと子どもの食育サポートに力を注いでいる。

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