かつおの栄養情報
かつおの栄養情報初がつお・戻りがつおって?かつおの旬
かつおは旬が年2回ある魚。春に獲れるものを「初がつお」、秋に獲れるものを「戻りがつお」と呼びます。初がつおは黒潮に乗って北上する際に水揚げされます。対して戻りがつおはその呼び名の通り戻る(南下する)際に水揚げされます。
それぞれ違った味を楽しめるのも特徴で、初がつおはさっぱりとしていますが、戻りがつおは脂がのって濃厚な味わいです。
旬や味わいが異なる初がつお、戻りがつおですが、それぞれの栄養価をエネルギー、脂質、たんぱく質で比較してみると、やはり、脂がのった戻りがつおは脂質やエネルギーが高くなっていることが分かります。たんぱく質は同程度含まれています。
かつお100gあたりの栄養比較(エネルギー/たんぱく質/脂質)
・初がつお…108kcal/25.8g/0.5g
・戻りがつお…150kcal/25.0g/6.2g
ここから先の栄養に関しての内容は、初がつおの数値でお話しします。
かつお(初がつお)100gあたりに含まれる主な栄養素
・エネルギー…108kcal
・たんぱく質…25.8g
・脂質…0.5g
・鉄分…1.9mg
・ビタミンB1…0.13mg
・ビタミンB6…0.76mg
・ビタミンB12…8.4μg
・パントテン酸…0.70mg
・DHA(ドコサヘキサエン酸)…120mg
・EPA(イコサペンタエン酸)…39mg
豊富なビタミンB群で元気に動ける体作り
かつおにはビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB群は複数を組み合わせて摂ることで作用が高まる特徴がありますが、かつおなら効率よく摂取できますね。ビタミンB群それぞれの働きは次の通りです。
・ビタミンB1
糖質をエネルギーに変える代謝に関わり、エネルギー不足や倦怠感を防ぎます。脳のエネルギー源も糖質(ブドウ糖)なので、脳が働き末梢神経を正常にコントロールするためにも欠かせない栄養素です。
・ビタミンB6
エネルギー代謝に関わり、たんぱく質の分解を助ける働きがあります。たんぱく質を多く含む食品(肉、魚、卵など)を食べるときに一緒に摂りたい栄養素で、かつおに含まれる豊富なたんぱく質を効率よく摂取するためにも役立ちます。
・ビタミンB12
赤血球の生成に必要な栄養素で葉酸と力を合わせて働くため一緒に摂るのがおすすめです。そのほかにもDNAの合成をサポートする、末梢神経の機能を維持するなどの働きがあり、赤ちゃんや子どもの成長にも欠かせない重要なビタミンです。
・パントテン酸
コエンザイムAの構成成分であり、体内の多くの代謝に関わっているほか、エネルギーの産生を助けたり、ホルモンの合成にも関わっています。かつおのような魚類だけでなく、肉やたまご、きのこなど幅広い食材に含まれています。
不足しがちな鉄分源にも!
かつおには鉄分が多く含まれています。鉄分は全身に酸素を運ぶ役割を担っていて、貧血予防にも欠かせない大切なミネラルです。鉄分は不足しがちですが、かつおなど動物性食品に含まれるヘム鉄は鉄分のなかでも吸収率が高いので、効率よく摂取できますよ。
健康効果が期待されるDHA&EPA
DHAとEPAは、かつおのほかにもさばやいわしなど青魚に多く含まれています。どちらも不飽和脂肪酸という部類のなかで特に健康効果が高いとされるオメガ3脂肪酸です。
「脂肪」と聞くと太りそうなイメージがしてしまいますが、オメガ3脂肪酸には血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪を減らすことで血中脂質のバランスを整える働きがあり、動脈硬化予防などの効果が期待されます。
良質なたんぱく源!
かつおにはたんぱく質が豊富に含まれています。「たんぱく質=筋肉」というイメージがありますが、実は筋肉だけでなく皮膚や髪の毛、骨、臓器まで、全身の細胞の材料となるとても重要な栄養素なんです。
また、たんぱく質を構成するのはアミノ酸ですが、かつおは人体では合成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれることから「良質なたんぱく質源」といえます。
健康食材かつおの効果効能
健康食材かつおの効果効能元気な身体づくりに欠かせないのが鉄分。かつおに豊富に含まれている鉄分は、貧血による疲れを予防するために役立ちますが、不足しがちな栄養素でもあります。
旬のおいしいかつおを食卓に取り入れることで鉄分補給もできるなんて、うれしいですよね。生のかつおが手に入らない季節には、冷凍かつおやかつお節など通年手に入り長期保存できる食材が役立ちます。
美容やダイエットを意識する人にも!
かつおは皮膚細胞の材料となり美しい肌をつくるために欠かせない良質なたんぱく質が豊富。美肌を保ちたい人や美肌を目指したい人におすすめです。さらに、血中脂質のバランスを整えるDHAとEPA、エネルギー代謝をアップするビタミンB群も豊富なので、ダイエット中の人にも積極的に食べてほしい食材です。
・撮影/黒石 あみ(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高監修 高橋書店
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい 監修 西東社
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」HDLコレステロール
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-071.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」良質なたんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html
・東京都中央卸売市場「初かつお(のぼり鰹)」
https://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/shoku/suisan/katsuo/
・東京都中央卸売市場「戻りカツオ」
https://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/shoku/suisan/m-katsuo/
(最終参照日:2021/04/13)