人気再燃中の“ビーズ缶”
nullビーズをあしらったように見えるこのお菓子缶は通称“ビーズ缶”と言われ、中のキャンディはイタリアのアンブロッソリー社のものですが、この缶は日本オリジナルのもの。1977~1997年まで売られていましたが、1度販売を終了。その後、2009年に過去に売られていたこの“ビーズ缶”をリバイバル販売し、今に至っています。
つい先日「日経トレンディ」の「2021年ヒット商品ランキング」の4位に「昭和・平成レトロブーム」がランクインしたほど、今年さまざまな業界でレトロなものが再燃しています。お菓子缶業界でも明らかな“レトロブーム”の気配があり、この“ビーズ缶”も若い人を中心に今、人気を集めているんですよ。そして“若い人”たちの親世代は「懐かしいわ~! 子どもの頃、こういう缶あった」と幼い頃の思い出に浸れ、“ビーズ缶”を通していい循環が生まれています(笑)。
中には小粒のキャンディ入り。オレンジ、レモン、エスプレッソの3つのフレーバー。ちなみに実店舗での販売はほとんどなく、ネットでの購入がいちばん早いです(検索するとすぐに出てきます)。
50年近く愛されているデザインは、当時の社員が考案
null洋菓子メーカー「モロゾフ」に1970年代からあるクッキー缶「アルカディア」と「オデット」。それだけに「これ、知っている!」「見たことある」という読者の方も多いと思います。私のまわりの缶マニアにはこの缶のデザインが大好き!という人も数多くいます。実は、この細やかな柄はコンピューターではなく、人の手で描かれたものなんです。しかも当時の「モロゾフ」の社員の方が描いたのだとか。人の手で生み出されたものって、やはり吸引力があるんですよね。
「アルカディア」(写真左)が発売された1971年。当時クッキーといえば、バターと小麦粉、砂糖を使ったものが主流。そんな時代に卵白とナッツを中心にしたマカロンタイプのクッキー「アルカディア」は、まさに画期的な商品でした。サクサクとした食感と香ばしさが魅力です。
また、540円の「オデット」(写真右)には、チョコレートをサンドした薄く軽やかな食感のラングドシャタイプのクッキー。ミルクチョコレートをサンドしたバニラクッキーと、ホワイトチョコレートをサンドしたチョコレートクッキーの2種類が入っています。
きちんと感あふれるクッキー缶が540円!?
null1985年に登場したクッキー缶「赤い帽子」。童画作家・深沢邦朗(くにろう)氏の絵が印象的ですよね。この「赤い帽子」シリーズはとにかくサイズ展開が多いことも魅力で、いちばん小さい写真の「4種12枚入り」540円から、最大「12種類66枚入り」まであるんです。サイズによって缶の色も変わってくるのですが、多種多様なサイズがあるってうれしいですよね。
しかしこれだけ入って540円とは! きちんとした仕切りもしてあり、全体的にすごくきちんと感のあるコンサバティブなお菓子缶なので、贈り物としても最適です。私は“昭和レトロ好き”の人へのプレゼントにしています。
「バンホーテン」リミテッド デザイン缶が今年も登場!
null世界中で愛されているココアブランド「バンホーテン」。2017年、その190周年を記念してアニバーサリー缶が発売され、それ以降、秋冬シーズンにリミテッドデザイン缶が販売されるようになりました。もちろん今年も登場! 私は2017年からずっとコンプリートしているので、楽しみにしているんです。こちら数量限定なので欲しい方はお早めに。
今までは「バンホーテン」の故郷であるオランダの街並みが描かれたものでしたが、今年はがらりと雰囲気が変わり、“ココアのある日常のワクワク感”をヨーロッパ風のインテリアで可愛らしく表現したとのこと。
しかも猫! 実はこれは“お菓子缶のトリビア”でもあるのですが、日本は世界でいちばん猫のお菓子缶が売れていると言われているのです。理由はわからないのですが、海外市場の人たちが「なぜ日本は猫のお菓子缶ばかりが売れるのだ!?」と驚くくらい人気なんですね。それだけ猫は人をトリコにするんですよね。
撮影/中田ぷう
※掲載商品はすべて中田さんの私物です。
ライター・中田ぷう
編集者・フードジャーナリスト。多くの料理本や暮らしの本、キャンプ本を手がける。自著に子どものごはん作りの闘いを描いた『闘う!母ごはん』(光文社)がある。 プライベートでは猫2匹&犬1匹と小学4年生、高校3年生の女の子の母。ハワイじゃなくてグアムラバー/スターウォーズマニア/アダム・ドライバーファン。
古今東西から集めたお菓子の缶が500缶以上集結!最新刊『素晴らしきお菓子缶の世界』(光文社)が発売されました。