なぜ真珠(パール)はフォーマルなのか
null真珠は、冠婚葬祭に身に着ける正式なジュエリーとされています。近頃は20歳のお祝いに、結婚式やお葬式など人生の節目に着用する真珠を娘に贈る人も多いそうです。なぜ真珠は特別なのでしょう?
「真珠のネックレスは、自分を飾るというよりマナーの道具であると考えてください」(以下「」内、濱田さん)
お葬式では、もともとはアクセサリーを着けないのが主流でした。ダイヤモンドなどきらびやかなジュエリーは故人を偲ぶ場では不謹慎ですが、真珠だけが許されるようになったそうです。それは、真珠が「涙」を象徴しているから。
日本は着物がフォーマルの主流だったこともあり、装飾品を着ける習慣がありませんでしたが、洋装の喪服が主流になるにつれ、真珠のネックレスを着用する人が増えていったようです。洋服文化が日本に浸透したことから広まった真珠ですが、あこや真珠の養殖を世界で初めて成功したのが日本人であるという誇りもあり、冠婚葬祭において正式なジュエリーとして広まったとも考えられています。日本の皇室の方々もさまざまなシーンで着用されています。
冠婚葬祭におけるパールネックレスのマナー
null真珠のネックレスは冠婚葬祭に着用できますが、シーンによって着用してはいけないデザインもあります。結婚式など、お祝いの場合は、1連のチョーカータイプはもちろん、ロングネックレスや2連のネックレスも華やかでおすすめです。
「真珠は涙の粒を表すジュエリーともいわれているので、重なったり、長かったりと、たくさんのお祝いの涙は歓迎されます」
お葬式の場合は、悲しみの涙になるため、ロングネックレスは、涙が長引くという意味でNGです。また、2連のネックレスも、不幸が重なるといわれNG。1連のチョーカータイプを選びましょう。
自分のサイズに合ったパールネックレスを選ぶ
nullフォーマルにふさわしい1連のチョーカータイプのパールネックレスをECサイトでも購入が可能ですが、きちんとサイズを合わせることが大切なのだそう。
「一般的にチョーカーサイズと言われているのは約40cmプラス留め金の長さでトータル42cmくらいになります。ネックレスを着けたときに、トップの位置が鎖骨の下、指1本分くらいの長さが理想です。8mmの粒で50粒、7mm粒で57粒くらいですが、身長や首回りの骨格によって似合う長さが変わってきます」
ほかにも、フォーマルウェアの襟の開き方に合わせたり、洋服の外側に出して着けたかったり、内側に着けたかったりと好みによっても長さは変わるそうです。
「実際に喪服を着て、納得のいく長さに一粒単位で合わせるのが一番いいと思います」
また真珠はものによって色が微妙に違うため、自分の肌にのせて似合う色を選ぶのも選ぶ際のポイントだそう。イエベ・ブルベと自分のカラーベースからカラーメイクや洋服を選ぶのと同じ感覚です。
真珠のネックレスはマナーの道具である、という濵田さん。きれいに演出する装飾品とは違い、マナーとして本物の真珠のネックレスをひとつ持っておきたいものです。流行に左右されるものではないので、長く使うつもりでじっくり選びたいですね。
真珠のネックレスを日常使いするなら
null真珠のネックレスは、冠婚葬祭だけでなく日常のおしゃれにも活用できます。チョーカータイプのネックレスをカジュアルな服装に合わせるのもOKです。
「チョーカータイプの留め金でアレンジできるタイプもあります。フォーマルでは留め金部分を後ろにしますが、日常使いでは留め金を前にしたり、好きな位置で留めて印象を変えることができますよ。また、ロングのパールネックレスなら結んでアレンジすることも。黒真珠も、黒と名前がついていますが、真っ黒ではないのでカジュアルに使えます」
とはいえ、真珠はお手入れがやっぱり気になるという場合は、貝パールやガラスパールなど、いわゆるイミテーションのパールを取り入れるという手も。
フォーマルなシーンでは、真珠が涙を意味することから本物を選ぶことが好ましいですが、ファッションとして楽しむなら、イミテーションも手軽でバリエーションの幅も広がりますね。
撮影/小倉雄一郎(小学館)