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真珠(パール)の正しいお手入れ方法と保管の仕方とは?専門家に聞きました

卒園式や入学式で着用した真珠(パール)のネックレスやイヤリング、そのまましまい込んでいませんか? 真珠は、着用後にきちんとお手入れすることで、美しさを長く保つことができます。ただ、間違ったお手入れをしてしまうと逆に傷つけてしまうことも。

そこで、ジュエリーのリフォームやメンテナンスも行っている『ハンブル』の濵田一道さんに、自分でできる正しいお手入れ方法を教えていただきました。

真珠は正しいお手入れが必要な理由

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一般的に宝石とは、“宝になる石(鉱物)”のことで、美しく希少性があることが定義づけられています。その定義には当てはまらないけれど、その希少性から宝石と認定されているのが真珠です。真珠は鉱物ではなく、貝の中で炭酸カルシウムとたんぱく質が結合して、真珠層が何層も重なってできあがったもの。真珠にはいろんな種類がありますが、今回はアコヤ貝を母貝として作られる、あこや真珠のお手入れについてご紹介します。

「真珠層は、0.3ミリから0.7ミリほどの極薄の層です。真珠が割れたり、衝撃をうけると、この層がはがれることもあります。真珠層が厚いほど高級で、見た目も変わります」(以下「」内、濵田さん)

真珠は養殖で作られ、でき上がりは貝を開けてみないとわかりません。ネックレスにするには、でき上がった真珠の直径、色、ツヤが同じような粒がそろった真珠を選別してつなげるため、高価になります。

なぜ水洗いはNGなのか

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海水で養殖される真珠ですが、水に濡れるのはよくないのだそう。なぜなら、真珠層のたんぱく質が水分を吸収してしまい、品質が悪くなってしまうから。

「真珠は炭酸カルシウムとたんぱく質の層でできているとお話しましたが、この真珠層は、レンガをずらして積んでいるようなイメージで、炭酸カルシウムとたんぱく質が少しずつずれて重なっています。そのたんぱく質が水分を吸収することで、色やツヤが劣化してしまうのです。汗や化粧品、酸の強いものなども悪影響を及ぼします」(濵田さん)

貝からできている真珠とはいえ、水洗いは厳禁。

簡単にできる、真珠のネックレスのお手入れ方法

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真珠のネックレスを着用する際は地肌に着けることも多く、汗が気になります。水洗いできないとなると、どのようにお手入れすればいいのでしょうか。

柔らかい布で乾拭きする

真珠専用のクロスは、数百円でパール取扱店舗やECサイトなどで購入できます。

「真珠は、乾拭きのみです。ネル素材のような柔らかい布で見えない汚れもキレイに拭き取りましょう。セーム革(鹿革)や専用のクロスなどがあれば、そちらで拭くのがいいです。なければ、柔らかい布であれば、タオルでも大丈夫ですよ。眼鏡拭きなど柔らかい繊維のものも使えます。真珠に傷をつけないもので拭くのが大切です。ちなみに、ティッシュペーパーは傷をつけてしまうため絶対に使わないでください」(濵田さん)

ティッシュペーパーは、手軽でうっかり使いがちなので、気をつけたいですね。真珠のネックレス着用後は、毎回必ず柔らかい布で拭きましょう。

拭き方のポイント

真珠のネックレスの場合、多くの人が間違った拭き方をしがちだそう。

NGの拭き方。

真珠のネックレスをそのまま引っ張るように全体を拭くのは、NG! やさしくしているつもりでも、引っ張る力でネックレスの糸に負荷をかけ、糸が伸びやすくなり、切れやすくなるからです。

真珠のネックレスの正しい拭き方。

正しい拭き方は、平らな場所にクロスや柔らかい布を敷き、その上にネックレスを置いて、上から柔らかい布やクロスで一粒ずつをつまむように拭きます。

糸に負担をかけず、真珠が傷つくことも防げます。

保管する前には、必ず湿気をとること

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ネックレスの収納ケース内のフックに掛けて、湿気を取ります。

きれいに汚れや水分を拭き取ったら、写真のようにネックレスを収納ケースのフックに掛けて、1日から2日湿気のない場所で乾かします。

宝飾店のディスプレイ用だと思い込んでいた、ネックレスのケースのフックは、このように使うためだったのですね。ちなみに、このままディスプレイにしておけば、すてきかもと思いましたが、こちらもNGです。

「屋内とはいえ、紫外線などの影響で色が劣化する恐れがあるので、きちんとしまいましょう」

ケースに入れたネックレスを、たんすの引き出しなどに収納する場合は防虫剤を入れすぎないようにしてください。たくさんの防虫剤で化学反応が起きてしまい、色が変わることもあるそうです。

また、乾燥材を入れておけば安心かと思ってしまいますが、乾燥しすぎもNG。真珠層がはがれたり、亀裂が入ったりすることがあるため、最低限の湿度は必要なのだそうです。

長く使うためには、定期的にネックレスの糸替えを

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手前のパールネックレスはハリ感がありますが、奥側は垂れ下がっているのがわかります。これが糸張替えの目安です。

真珠のネックレスを長く愛用するには、定期的にネックレスの糸替えをするのも大切だと濵田さんは言います。

「ネックレスの糸は、使用頻度に関わらず経年劣化します。糸を通している真珠の穴の角で擦れたり、糸が汗を吸っていたりして、内側から劣化することもあります。久しぶりに着用して、行事に出かけたときに、お子さんが引っ張って切れたなどということも実際にあります。使っていなくても3年をめどに、糸替えをするのがおすすめです」

糸替えの目安としては、ネックレスを手に持ったときにハリ感があれば大丈夫で、垂れさがるようであれば、糸が伸びてきている証拠なのだそう。自分のネックレスをチェックしてみてください。

糸替えをすることによって、糸を通している真珠の穴の掃除にもなるため、美しい状態で長く使用できるようになるとか。そろそろ糸替えした方がいいかなと感じたら、ネックレスを購入した店舗や、真珠を取り扱う店舗に相談すれば、フォーマルで使用する一般的なサイズであるチョーカーサイズなら5,000~6,000円くらいで糸替えができるそうです。

親や祖父母から受け継いだ真珠のネックレスなどは、思い出があったり、ブランド品や高値だったりで、なかなかカジュアルには着用しないことも多いもの。普段はしまい込んで特別な日に着用するという場合は、着用後のお手入れを正しくすることで、より長く、美しく愛用できるのが真珠です。次の真珠のネックレスの出番までに、一度見直しておくと安心ですよ。

撮影/小倉雄一郎(小学館)

【取材協力】

株式会社『ハンブル』
プロダクトマネージャーの濵田一道さん。

ハンブル(HUMBLE

林 ゆり
林 ゆり

ロハスジャーナリスト/フリーアナウンサー。関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育ち、『MYLOHAS』に創刊から携わる。LOHASを実践しながら、食べ物、コスメ、ファッションなど、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてWeb媒体やブログで発信中。

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