我が家に高性能ミキサーの最新モデルが2つやってきた!
nullライターの福瀧智子(ふくたきともこ)です。アウトドアを専門ジャンルに、フィールドでのレポートや関連道具の紹介記事などを各種メディアで編集・執筆しています。
そんな私がひょんなことから最新の高性能ミキサー2台をお預かりすることに。フルタイムの仕事、家事・育児に追われるなか、日々時短ご飯(調理目標45分)を作っているため、どれくらいキッチンで役立つものなのか……を使い比べることになりました。
登山靴の善し悪しはわかっても、自分にミキサーの比較ができるのか? とはいえ、いろいろしがらみがあるアウトドア業界と違い(おい)、私自身は家電業界にはなんのつながりもございません。忖度なし・好き勝手書き放題でリアルな比較レポートを書いてみたいと思います。


ちなみに、うちが長年使ってきたミキサーはコチラ。撹拌するだけの、いたってノーマルな『無印良品』のもので、主にスムージーとポタージュスープで活用していた。かなりヨレています……。
さて、今回比較テストした2機種がこちら!
左が『siroca(シロカ)』の「おうちシェフBLENDER SM-S151」。右が『NINJA(ニンジャ)』の「Twisti SS151J」。どちらも2024年に発売となった最新機種です。
では行ってみましょう!
ミキサー最新機種は私の知っているミキサーではなかった
null結論から先に言ってしまうと、現在の高性能ミキサーとは、もはや私の知っているミキサーではなかったということです。ひとつのボタンを押して一定速度でガーーッとやるだけじゃないんですね。自動でスープが作れるってなに? 発酵調理? ミキサーの激パワーでたたき出した(!?)パウダーアイスにシロップをかけてかき氷食べられるなんて。
まずはそれぞれの良いところをご紹介します。気になる点はそのあとで。そして「同じ材料・同じ分量で、同じものを作ってみた」という比較へとなだれ込みます。
テストした高性能ミキサーその1: 『NINJA』「Twisti SS151J」
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2009年にアメリカで創立したキッチン家電ブランド『NINJA(ニンジャ)』。テストしたミキサーは2024年8月末に発売となった「Twisti SS151J」で、メタリック調のクールなデザインが目を引きます(海外ユーザーを狙ってニンジャと名付けた日本のブランドと思っていたら、その逆だった汗)。

操作部分。
ボタンを押している間のみ撹拌する「PULSE」と、ワンタッチで60秒間撹拌する「START/STOP」のほか、5つの自動モード(extract、smoothie、frozen、spread、bowl)で用途に応じた使い分けができる。
『NINJA』「Twisti」のスゴイところ1: ロックアイスもなんのその! なんでも砕くパワフル撹拌
この製品の最大の特長はハイパワーで硬い食材や繊維質のものも滑らかに粉砕できることだそう。馬力のあるアメリカ製品、ということですね。その力強さを痛感したのが、試してみたロックアイスの粉砕でした。

さあ、この握りこぶしほどの3つのロックアイスが、「extract」モードで粉砕するとどうなるか……。
ジャジャン!!

見よ、雪ができた!! ボタンを押すと、爆発的な粉砕力で本当に一瞬でロックアイスが木っ端みじん(パウダー状と言っても過言ではない)。これはすごい! 今までのミキサーならブレードが止まって終わりだった。アメリカ、力強し!

『NINJA』「Twisti」のスゴイところ2:できあがりのキメ細かさに驚き。超なめらかスムージーが一瞬でできる
朝は子どもには朝食を作り、平日は私とオットは基本スムージー。これまで使っていたミキサーとは比べものにならない速さで、超きめ細かい滑らかスムージーがいとも簡単に作れてしまいました。一般的なミキサーはスイッチを入れたら一定速度で撹拌しますが、「Twisti」はモードごとに自動プログラムで撹拌パターンや動作時間を変え、最適な調理ができるようになっています。

『NINJA』「Twisti」のスゴイところ3:水分の少ない食材が滑らかなペースト状に大変身
付属のレシピ本にあった「フムス」(ひよこ豆をペースト状にした中東の料理)を試しに作ってみましたが、ひよこ豆・オリーブオイル・練りゴマ・少量のレモン汁(+調味料)という、見るからに粘度高そ〜な材料。にも関わらず、あっさりとフムスができてしまいました。ほかの家庭用ブレンダーでは止まりがちな粘度の高い混合物でもしっかりとブレードが機能し、空回りなし。

『NINJA』「Twisti」のスゴイところ4:ブレードユニットが分解して洗浄できる
食材を高回転で撹拌するだけに、ポット内部やフタ裏には食材カスや液体がこびりつくのがミキサーの悩ましいところ。隅々まで洗いたい衝動に駆られますが、「Twisti」は分解して洗浄することができ、非常に気持ちよいです。

テストした高性能ミキサーその2 『siroca』「おうちシェフ BLENDER SM-S151」

次にご紹介するのは、調理家電や生活家電、季節家電などを手がける日本の家電メーカー『siroca』。2010年から本格的に家電事業をスタートしたそうで、昨年発売されたこの「おうちシェフBLENDER SM-S151」は、ヒーターを使った加熱調理(約90度以上)+発酵や保温ができるのが最大の特長だそう。加熱するミキサーは以前から国内外に存在はしていたようですが、発酵や豆乳といった日本らしいアイディアを提案するのは日本メーカーならではと言えるかもしれません。曲線を生かした柔らかいデザインで、キッチンにすっと馴染みそうですね。

操作部分。
「おうちシェフ BLENDER」の方は説明書に一度目を通さないと扱えない雰囲気。「Twisti」と比べて操作はやや複雑だが、撹拌するだけでなく、スムージーやスープ、さらにはヨーグルトや味噌・麹を作るなど自動調理機能が多数搭載されている。それは確かにボタンは増えますよね。
『siroca』「おうちシェフ BLENDER」のスゴイところ1:材料を入れてスイッチオンでポタージュスープができる(涙)
この「おうちシェフ BLENDER」の何がすごいって、材料をカットしてポットに放り込み、スイッチひとつで加熱・撹拌・完成まで全自動。約30分で、アツアツのポタージュがそのままできあがることなんです!

スープを作り始めます。
撮影時刻は17:57とまさに台所は戦国時代。半信半疑でレシピ本にある通り、ざく切りにした皮ごとのサツマイモとタマネギ、水とコンソメ(本当は塩)を入れて、オートメニュー「5番(スープ)もっと 30分」に合わせてスイッチを押してみました。
すると、すぐにモワッと内部に湯気が立ち上ったかと思うと、ブクブクし始め……。なんだなんだ、爆発するなよ!

ほおら、こんなふうに!!

これまでは材料を切って茹で、粗熱とってミキサーに移し、撹拌し、また鍋に戻して豆乳など入れて熱して……という面倒きわまりない工程を経ていたのに、今回「切る」しかしていませんのよ! あぁ、これを神機能と呼ばずしてなんというのか。

『siroca』「おうちシェフ BLENDER」のスゴイところ2: なんと乾燥大豆から豆乳が作れる
うちで日々消費する豆乳ですが、豆乳作りってじつは面倒な行程が多々あるようです。大豆を水に浸し、撹拌してペースト状にし、加熱して煮て、そして漉す。しかも、おいしく安全に作るためには「加熱不足」や「煮詰まり」「焦げ付き」は天敵なのだそう。これを一台で、しかも自動コントロールしながら作ってくれるなんて、もはやブレンダーというワードで収めておくのが間違いなのでは……と思うほど。

ほか、今回はまだ試せていませんが、トマトパスタソースや薬膳おかゆなども作れ、さらにはヨーグルトや発酵バター、一晩味噌、甘酒、5種の麹など発酵調理もできるそうです。こういった発酵調理がワンタッチでできるのは「おうちシェフ BLENDER」の発酵調理機能のオートメニューのおかげで、温度を安定してキープするのは鍋や炊飯器ではなかなか難しい芸当といえます。
ああぁぁ、普段使っている登山靴も今や円高の影響で4〜5万円するなか、自動でスープ作りや発酵調理をしてくれる神ミキサーが2万円以下って、いったいモノの価値、何なの……(遠い目)。
『siroca』「おうちシェフ BLENDER」のスゴイところ3:ポットが耐熱ガラス製。クリアで美しい
これまで我が家で使ってきたミキサーはポットがプラスチック製で、長年の使用で近年は黄ばみやくすみが顕著でした。その点「おうちシェフ BLENDER」は耐熱ガラス製。多少の傷は付くでしょうが、ずっとクリアで美しく、また臭いや色移りも少ないでしょう。アツアツのスープを作っても反りや歪みの心配もありません。


『siroca』「おうちシェフ BLENDER」のスゴイところ4:付属のレシピ集が秀逸! よく作ったものだと脱帽します

よくできているレシピ集。
編集者目線でついつい見てしまうのですが、付属のレシピ集のできがすばらしいです(上から目線じゃないです!)。季節ごとの食材に合わせたレシピのバリエーションもさることながら、完成写真の美しさたるや! 作りたい意欲をかきたてる完成ビジュアルで、本を販売してもよいのではと思えるほど。ココでも見られますので、ぜひのぞいてみてください。10ページに掲載された豆乳に日差しが当たる写真など、「クーー!! 憎いねぇ!」って感じ(笑)。
では続きまして、それぞれの「今ひとつ」だった点。心を無にして解説します。駆け足でいきましょう。
『NINJA』「Twisti」の今ひとつだった点
1、動作音がめちゃくちゃうるさい
始めてスイッチ入れたとき、あまりの騒音に飛び上がりました。強力な1,100Wモーターゆえか、芝刈り機レベルの爆音で、息子が2階から何だ何だと下りてきたほど。周囲に家のない人はよいかもしれませんが、集合住宅だったり、赤ちゃんがいるような家では時間帯配慮が必要そう(離乳食作るのにはとても向いているのに!)。
2、ポットの締め込みがちょっと難しい
ポットから底部を外せる構造のため中がとても洗いやすいですが、その反面、次に使用する際の締め込みがやや難しいのが難点。目視ではピッタリはまっているか、ズレて隙間があるかの判別がしづらく、失敗すると撹拌前に写真のような状態に……。繰り返してコツを掴めば解消されるのだと思いますが、上下を合わせる目印のようなものがあればよいのになと感じました。

3、電源コードが80cmとちょっと短い
アメリカのようにミキサーを据え置きできる広いキッチンがある家なら問題ではないと思いますが、今回は使うたびにどこか適当な場所へ設置したので、電源コードの短さがどうしても気になりました。延長コードを持ち出すか、使う場所を限定することに。20〜30cmほどプラスαの長さが欲しい!

『siroca』「おうちシェフ BLENDER」の今ひとつだった点

横へちょっと飛び出たコード分、設置スペースが必要。後ろにあったらなぁ。
1、電源コード差し込み口を真後ろにしてほしい
狭小住宅の多い日本では、ミキサーを常設するキッチンスペースの捻出に頭を悩ませる人は少なくないはず。ものすごく細かいことで恐縮ですが、省スペースでも常設できるよう、真横についた電源コード差し込み口はぜひ背面にしてほしい! コードが飛び出たわずか7〜8cm分、横にスペースが必要になるなぁと考えてこんでしまった。本体の構造上難しいのかもしれませんが……。
2、後処理に困るものはレシピ集に載せたらいかんのでは
レシピ集のなかにはスープや豆乳といった比較的サラッとしたものだけでなく、お粥やチーズリゾットのように粘りのあるレシピも掲載されています。が、正直完成後の取り出しには苦戦! なかでも、生米から作れるチーズリゾットはすごいと思ったけど、最後に投入するシュレッドチーズは盛りつけに留め、ポットに投入させたらアカンのでは……(最後ブレードにまとわりついて泣いた)。洗浄モードが備わっているのである程度キレイにはなりますが、こびりついたチーズは付属のブラシでかなりこすらないと取れないです。

同じものをそれぞれのミキサーで作ってみた
null長くなりついでに、同じものを同量作った比較も簡単に載せておきます。
作ったものは「塩レモンペースト」。
無農薬レモンと塩だけをブレンダーやミキサーで撹拌し、保存調味料として冷蔵庫に常備しています。グリルしたチキンや魚に塗って食べたり、ドレッシングのベースにしたり、バインミーのアクセントに挟んだり、ハイボールやビールに加えたり……と使い勝手抜群。寝かせると塩角が取れてとてもまろやかになります。

『NINJA』「Twisti SS151J」で作る塩レモンペースト

ペースト作りが得意な「Twisti」はレモンの皮ごとの粉砕もお手のもの。フタ上部のつまみを反時計に回すと(写真左)ツノのようなタンパーが回り、ポットの上部につっかえて対流しない大きな食材を動かして撹拌がスムーズに(やっと存在の意味を理解)。フタのテッペンには追加調味料の投入口も(写真右上)。ただし液体向けで、塩はうまく入らなかった(説明書よく読め!)。写真右下が最終状態。きめ細かなペーストでオイルとの馴染みもよく、ドレッシングにしたり、マヨネーズと混ぜたり、パンに少量ディップするなど、いろいろ使えた。
『siroca』「おうちシェフBLENDER SM-S151」で作った塩レモンペースト

圧倒的な高トルクモーターの「Twisti」と比べると、撹拌力はやや劣る「おうちシェフ BLENDER」。何回か途中でフタを開け、菜箸で中身をかき混ぜるなどする必要があり、少し完成まで時間も要した。だが、できあがったペーストは粗いものの、その分“粒感や食感”の際立つものに。レモンピールのほろ苦さがアクセントとなり、塩漬けした生コショウと一緒に鶏ハムに添えたり、冷製パスタの薬味のように使えて、こちらも同様にとてもよかった。

テクスチャーがそれぞれ違い、どちらも使い勝手のよい塩レモンペーストに仕上がった。なお、腐食に強いステンレスであっても塩や酸の長時間放置はNG。なるべく早く洗浄するのが重要だ。

大量に作ったので、お裾分け……あ、スペル間違えた。正しくは「salted」ですね……。
『IKEA』のアンチョビの空き瓶など、大量に瓶詰め。つい浮かれてラベルまで作り、ご近所の友人にあげました。
「Twisti」? 「おうちシェフBLENDER」? あなたにおすすめはどっち?
nullじつはこれらのミキサー、いずれも2万円を切るお値段。最初資料を見たときは「うへ〜! ミキサーに2万!?」などと思ったが、実際使ってみるとまったく異論のない価格設定だと実感。むしろ、そんなお安くてよいのでしょうか。
さて、結局買うならどっちがいいの?と思いますよね。私が友人知人に勧めると仮定し、タイプ別に分別してみました。
NINJA「Twisti SS151J」を勧めたいタイプ
・ゴリゴリのナッツや冷凍フルーツをパワーで粉砕したい料理好き
・時間がないときに一気に撹拌してスムージーで栄養補給したい人
・フムスやアサイーボウルなど粘度の高いペーストをよく作る人
・「家電=作業の時短道具」と割り切って使いたい人
siroca「おうちシェフBLENDER SM-S151」を勧めたいタイプ
・慌ただしい食事の準備で1品(スープなど)作らせたい人
・発酵・豆乳・甘酒など健康志向でじっくり作る料理が好きな人
・音が気になる早朝・深夜にもやさしい音のキッチン家電が欲しい人
・超強力な撹拌力より、多機能や低温調理を楽しみたい料理好き
毎日どちらかを使った1カ月半、それぞれにいい面・悩ましい面がありました。毎回家電を比較して思うのは「この機能と、あっちのあの機能を合体させられたらなぁ」ということ。
ただ、言うはたやすい。
ひとつの機種に備えられる機能には限界があり、作り手のひらめきや葛藤が星の数ほどあるのだろうな、と毎回痛感します。便利な家電に囲まれて暮らす私たちの快適な生活、開発メーカーさんに頭が下る思いです。
それにしても本当に楽しいテスト期間でした。さぁどっち買うかなー!!!(本気で悩ましい)
【製品概要】
『NINJA』「Twisti SS151J」
サイズ:350×210×165mm
重量:約3.2kg
ポット容量:約1,000ml
コード長:80cm
消費電力:1,100W
本体カラー:シルバー
価格1万9,800円(税込)
NINJA https://www.sharkninja.jp
『siroca』「おうちシェフBLENDER SM-S151」
サイズ:360×180×150mm
重量:約2.5kg
ポット容量:800ml
コード長:120cm
消費電力:ヒーター800W、モーター260W
本体カラー:ホワイト
価格:1万7,820円(税込)
siroca https://www.siroca.co.jp/

フリーランスの編集者・ライター。アウトドアやスノーボードなどについての執筆を担当。国内の野外フェス制作にも多数携わる。一児の母。