2つのロボット掃除機が我が家にやって来た
nullアウトドアライターの福瀧智子(ふくたきともこ)です。仕事はアウトドアがジャンルですが普段は街に暮らし、ときどき5歳になる息子を夫にまかせて山へ海へと取材へでかけ、その記事を各種メディアで編集・執筆しています。
日本は世界でも有数のアウトドア天国ですから、外遊びに関しても大忙しで、我が家は365日掃除のおろそか街道まっしぐら。こぼれたパンくずも放置すれば、アイスクリームが飛び散っても(いい意味)で気にしない、なかなかザツな生活を送っています。
そんな中、あるつながりから「ロボット掃除機をテストしてみないか?」という、アウトドアとはまったく関係のないお誘いがありました。え!? ロボット掃除機? しかも最新機種を2つ比べるという、難易度の高さ。登山靴のよし悪しはわかっても、不得手な家電。うーむ、大丈夫なのだろうか。
……だがしかし、興味はある!! なんたって喉から手が出るほど欲しい家事サポートなのだから。
かくして我が家に2つの最新ロボット掃除機がやってくることになりました。
ディズニー映画にちなんで ひとつは「Eウォーリー」、ひとつは「Dモー」と名付けた
nullまず最初にやってきたのが、急成長中の家庭用床掃除機の総合メーカー『ドリーミー』というブランドから今年日本で6月23日に発売となったばかりの「DreamBot L10s Ultra」という最新のロボット掃除機。ツヤっと白く光る姿と、インテリアの一部にもなりそうなステーション(基地)の雰囲気から、息子と相談して「Dモー」と名付けました。ディズニー映画『ウォーリー』に登場する、宇宙船のハイテクお掃除ロボットのモーのことで、DはドリーミーのDです。
そして数日遅れで次にやってきたのが、『エコバックス』。こちらは世界最高峰のロボット掃除機メーカーとしていまや有名ですね。6月16日に販売開始となった、こちらも最新の「DEEBOT T20 OMNI」がやってきました。
こちらは「Eウォーリー」に。EはエコバックスのE。名前はイヴと迷いましたが、ウォーリーにした理由はのちほどご説明します。
この2台を1階で30日間、2階に上げて7日間、留守中以外ほぼ毎日室内を走らせ、掃除をお願いしました。ちょっと長くなりますが、そのテスト結果をあますことなくレポートします。記事の最後の方には「こんな家にはこっちがいい」という選定目安もありますのでご参考まで!
(どちらとも使用にはWi-Fi環境が必要ですので、ご注意ください)
こんなことができるなんて! ロボット掃除機のイメージをはるかに超えていた
null我が家にとって初の導入となるロボット掃除機。まず結論を言ってしまいましょう!
「ロボット掃除機が家中を動き回り、ホコリや髪の毛を吸い上げて、自動的に充電ステーションに持ち帰り、ゴミパックに移してくれる」くらいの基礎知識しかなかった我が家にとって、その機能は想像をはるかに超え、おどろきが連続する1カ月半となりました。スゴイぞ、ロボット掃除機! その動きはもはや心があるように思えてならん!
そのおどろきをご紹介していきます。
2機種に共通してスゴイところ<その1>マッピング技術
まず、マッピング技術がすごい! スマホに専用アプリをインストールし、掃除機を認識させて清掃をスタートさせると、まずはそのフロア全体がどういう形状をしているか地図を作るために走り回ります。
車の自動運転でも使われる最先端のセンサーや高度なAI技術などにより、精密な地図をあっという間にアプリ内に描き出します。その地図をもとに隅々まで清掃を行なうというわけです。
2機種に共通してスゴイところ <その2>水拭きモップがけ
掃除機として床のチリやホコリを吸い上げるだけでなく、同時に(設定次第では順に)モップがけをしてくれ、モップが汚れたタイミングでステーションに戻り、自動洗浄。また再出発して続きの清掃をしてくれます。
そのうえ、最後は洗浄したあと、熱風でモップの自動乾燥までやってくれるという! 本当にモップを洗う行為ほどおっくうな家事はありません。床拭きをさぼりすぎてずっとペタペタしていた床が、彼らを導入してから本当に見事にサラサラに。この子たち、神以外のなにものでもない!
2機種に共通してスゴイところ<その3>隙間もグイグイ掃除してくれる
高さの低い隙間にもグイグイ入ってくれます。うちは食器棚や本棚などけっこうDIYで手作りしていますが、下に20cmの隙間を作っています。目的は掃除機を入れるため。その隙間にふたりともグイグイ入り込み、隅までしっかりとモップがけまで行なってくれました。これは気持ちいい!
自室の本棚。ほか、リビングのソファーの下にも入り込んでくれました。いや助かる! ピンク色に光っているのは、目のあたりから出ているレーザー。どちらの機種もレーザーで周囲の障害物をつねに捕らえながら動いているため、物にぶつかることが本当になかったです。むしろ夫の方が物によく当たるほど。
2機種に共通してスゴイところ<その4>吸引力
吸引力がかなりしっかりしていて、目視できるゴミはほとんどなくなります。とくに『エコバックス』は6000Pa(パスカル)という吸引力。パスカルとは掃除機の吸引力を示す単位で、一般的なロボット掃除機のPaは2500〜3000Paほどが相場だそう。この数値が高いほど床のゴミを浮き上がらせる力が大きくなります。『ドリーミー』も5300Paと、こちらも相当な高吸引力を備えています。
落ちた観葉植物の葉もよく吸い上げますが、カーテンの下はどちらも残っていました。カーテンを障害物と認識するようで、以後清掃のときはカーテンを高い位置でくくって留めておくようになりました。
どちらもステーション内にゴミパックを内臓。ロボット掃除機がステーションに戻ると、自動的にパックにゴミを吸い上げます。そのときは、まぁまぁ大きな音が。
ほか、モップがけの水量(湿度)や、吸引力を切り替えたりすることも可能。またブラシやモップがどれくらい消耗しているか、買い替えが必要かどうかをアプリから確認できる点もおどろきました。
個別にスゴイところ「 ドリーミー」編
ライブカメラがついている
外出先からも操作できるライブカメラがついています。スマホのアプリに写る画面を見ながら、コントローラーのように動かすことができ、ペットがいれば留守中の様子を確認する見守りカメラになり、その画像や動画を保存しておくこともできます。
また、ロボットに備わるスピーカーを通じて話しかけることも可能。試しに息子とロボットがふたりきりのとき、離れた場所からロボットの声色で話しかけたら「かあさぁぁぁぁぁんー!!!!」とパニクる声が聞こえました(笑)。
動作音が非常に静か
清掃時の動作音がかなり静かな点もポイントが高かったです。部屋が変わると清掃音が聞こえないほどで、集合住宅で夜間の使用もおそらく大丈夫でしょう。
床用洗剤も自動投入してくれる
「DreamBot L10s Ultra」にはタンクスペースに床洗浄用の洗剤がついています。浄水と洗剤がロボットに最適な割合になるように自動で追加してくれるんだそうです。そして戻ってきたモップはベースプレートの溝で高速でこすって水洗い。イヤな臭いもなく、2時間で温風乾燥。
障害物の場所を的確に教えてくれる
どこに清掃のじゃまになる障害物があったか、その結果をスマホのアプリのマップ上に示してくれるのも便利でした。コンセント周辺のコード、台所の瓶類、ちょっとした台座など、清掃しながらちくいち写真に収めているからすごい! おかげで極力床に物を置かない、よい習慣ができました。
基本的にそつがなくスマートな印象を受ける『ドリーミー』ですが、清掃終了の通知の末部「ので。」には毎回笑ってしまいました。ちょっととぼけていて愛らしい、ので。
個別にスゴイところ「エコバックス」編
とにかく攻める清掃!
動作音は『ドリーミー』よりやや騒がしいです(知人に言わせると過去の機種よりはるかに静かだそうですが)。ですが、その分とにかくパワフル! とくに掃き出し窓のレール部分をものともせず乗り上げて、桟の隙間のゴミまで吸い上げる力強さはすごい!
写真のように車輪が大きく、またサスペンション(バネ)が効いていて車輪が深く沈み込むことにより、障害物を乗り越えやすく、最大2cmの段差を乗り下りすることができるのだそうです。
こちらはグイグイ攻めて窓枠のレール部分まで清掃を試みたところ。たまに攻めすぎた結果引っかかって、モップが外れて立ち往生。ジタバタして笑わせてくれるような愛嬌から、我が家では「Eウォーリー」と名付けたのです。かわいいんですよ、人間ぽくて。
「ハウスキーパーモード」では汚れやすい場所を重点的に清掃
アプリの切り替えで設定できる「ハウスキーパーモード」では、回を重ねるうち、人の往来が頻繁な場所など汚れがちな部分を認識し、そこを入念に清掃をしてくれます。
そもそも、お尻をグイグイ振って部屋の隅や角、狭い場所など、壁や家具と3mmの距離にまで接近しモップがけをするほど清掃が丁寧。またカーペットだけ自動的に吸引力を高める設定も。じゅうたん敷きの部屋や、フローリングにラグを敷いている家などで重宝します。
モップは55度Cのお湯で洗浄してくれる
自動でモップ洗浄してくれる上に、お湯まで使ってくれるんですか!(涙) 頑固な汚れを落とし、臭いも除去。水洗浄との比較画像をみましたが、明らかにお湯洗浄の方が汚れが落ちていました。
AI音声で操作できる
「OK YIKO(イコ)」と話しかけるだけで起動し、音声でさまざまな操作を行なうことができます。もともとこの「DEEBOT T20 OMNI」も、ドリーミーの「DreamBot L10s Ultra」も、Googleアシストやアレクサ、Siriなど自宅がスマートスピーカーの環境下にある場合は音声操作ができますが、この「DEEBOT T20 OMNI」は単体でも音声操作が可能。手が豚カツの衣まみれでも、こぼしたパン粉の清掃を音声で頼むことができます。
……とまぁ、こんな感じで非常にどちらも甲乙つけがたく、それぞれ良さがありました!
セコい私は思いついてしまった。 1台で2階の清掃もできないものだろうか、と
nullで、こんなに優秀な清掃ができるなら、どうしても思ってしまうわけですよ、主婦としては。
「ステーションは1階に据え置きで、2階にロボット掃除機だけを手でもってあがって、2階の清掃もさせられないものか」と……。
そりゃ〜1階と2階にそれぞれロボット掃除機を設置できれば最高ですよ。ですが、こんな高級品なかなか2台も導入はできません(少なくともうちは)。
途中、モップ洗浄でロボット掃除機がステーションに戻るとき、「帰りたい〜」と呼んでくれれば、階段の上り下りをしてステーションに返してあげるくらい造作ないことです。不在時はできませんが、週末など家にいるときなら可能でしょう。
「一度で二度おいしい」とか「2倍の働き」とかが大好物な私は、もちろんそれも試してみました。
気になる結果は……。
『エコバックス』はマップを3つアプリ内に保存できるものの、おそらくステーションの位置情報をもとに清掃しているだろうため、同じフロアにステーションがなく混乱状態に。とりあえず清掃はするけれど、ステーションを認識できず終盤ウロウロしていました。
『ドリーミー』はマップを4つ保存できますが、やはりステーションの位置情報が得られず、清掃が止まってしまう結果となりました。
くぅぅ! これができればわたし的パーフェクトだった!! でも売る側からすればそんなセコいことせず、1階に1台、2階にもう1台買いなさい、ってことですよね。私でもそう思う(どっちやねん)。
結局、2つのステーションを2階に上げ、1週間ほど使いました。階段から転がり落ちることもなく、私や夫の仕事部屋、洗面所、寝室などくまなく清掃を続けてくれ、こんなに見事な汚水ができました(おい)。
「エコバックス」? 「ドリーミー」? あなたはどっち?
null10万円を余裕で超える2機種ですが、導入する価値は無限大にありました! 煩わしい日々の床清掃から解放されるだけで、こんなに心の重りが軽くなるなんて知らなかった。目を三角にして夫に「スリッパを履け」と言っていた自分が、少し優しくなれる気すらします。
で、買うなら結局どっちがいいの?と思いますよね。私が友人に勧めると仮定し、タイプ別に分別してみました。
『エコバックス』「DEEBOT T20 OMNI」を勧めたいタイプ
- 元気な子どもやペットがたくさんいて、家のなかがよく汚れる家
- 掃き出し窓やふすまの桟に乗り上げて清掃させたい人
- 絨毯とフローリングの部屋を一度に清掃させたい家
- 2cm近い段差をまたいで部屋間を清掃させたい家
『ドリーミー』「DreamBot L10s Ultra」を勧めたいタイプ
- 静音設計を望む人、夜間に清掃をする可能性のある人
- 床洗浄剤をいちいち量って入れたくない人
- ペットの様子を外出先から確認したい人
- ステーションがコンパクトサイズがいい人
という感じでわけてみましたが、本当にどちらもすばらしいのひと言に尽きる製品でした。たった1カ月半のおつき合いでしたが、また手で掃除機を家中引きずり回すあの生活が戻って来ると思うと、目まいがします!
半泣きで送り返す準備をし、せめてものマナーと思ってロボットから外したモップを手洗いしましたが、どちらのモップからも汚水のオの字も出てきませんでした。考えてみたらそりゃそうなんですが、いや〜やっぱりスゴイ!
最後に。機能とはまったく関係のないことですが、目のシールをWebサイトで売り出せば買う人いると思いますよ、ということをこの記事をチェックしている広報担当者さんに向けて付け加えておきたいと思います。目があるだけで家族感爆上がりです。
【製品概要】
『エコバックス』「DEEBOT T20 OMNI」
サイズ:ロボット掃除機本体:362x362x103.5mm、自動ゴミ収集スタンド:448x430x578mm
清掃音 :≤66(sweep) ≤68(sweep&mop)
電源方式 :5200mAh(Li-ion)
最大稼働時間:最大260分
充電時間:約6.5時間
吸引力;6,000pa
ダストボックス容量 (ml):300ml
水タンク容量:浄水4L/汚水4L
自動ゴミ収集機、YIKO音声アシスタント、マップ作成(by ECOVACS HOME アプリ)、カーペット検出(自動認識)あり
自動給水・モップ洗浄・乾燥
本体カラー:ホワイト×シルバー
価格17万9,800円(税込み)
エコバックス https://www.ecovacs.com/jp
『ドリーミー』「DreamBot L10s Ultra」
サイズ:ロボット掃除機本体:350x350x97mm、自動集塵ベース:350x438x567mm
清掃音 :≤74 dB(A)
電源方式 :5,200 mAh
最大稼働時間:210 分(静音モードで掃除のみ)、160 分(静音モードで掃除と水拭き)150 分、(標準モードで掃除と水拭き)
充電時間:約6時間
吸引力:5,300pa
ダストボックス容量 (ml):350ml
水タンク容量:浄水2.7L/汚水2.5L
紙パック容量:3L
自動ゴミ収集機、Alexa・Siri・Googleアシスタント対応、3Dマップ、見守り機能、あり
自動給水・モップ洗浄・乾燥
本体カラー:ホワイト
価格:オープン価格/実勢価格17万2,635円(税込み)
ドリーミー https://www.dreametech.jp/
【試した人】
福瀧智子
フリーランスの編集者・ライター。アウトドアやスノーボードなどについての執筆を担当。国内の野外フェス制作にも多数携わる。一児の母。