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何を作るか、置き場はあるか?正しい「オーブンレンジ」の選び方を【家電のプロ】に聞きました

こんにちは、家電ジャーナリストの岩崎です。2020年まで“白物家電”専門サイト『家電 Watch』編集長を務めており、さまざまな家電製品に触れる機会がありました。この連載「家電のプロに聞く!失敗しない家電選び」では、家電を選ぶ時にチェックしておきたいポイントを詳しくお伝えしていきたいと思っています。

寒くなってきて、温かい料理がうれしい季節になりました。オーブンの出番が増えてきた人もいるのではないでしょうか。夏のオーブン料理はキッチンが暑くて大変辛いですが、これからの季節には暖房代わりにもなりますね。そこで今回は、オーブンレンジの選び方をご紹介します。

便利に進化しているオーブンレンジ

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最近のオーブンレンジはいろいろな機能がついて便利な反面、自分が使う機能なのかを判断しにくいケースも増えているのではないでしょうか。機能が多ければ多いほど、価格は高くなる傾向もあるのでなおさらです。そこで今回は、最近ならではのオーブンレンジの便利機能についてもご紹介しますので、自分の調理に不要であれば、その機能を省いたモデルを選んで、お得にお買い物していただけるとうれしいです。

  • まずは設置場所と隙間を見る
  • オーブンで作りたい料理と容量
  • コンベクション機能、ノンフライ機能
  • あると便利なセンサー
  • 時短を目指すならオート調理・オートメニューは必須
  • スチーム・加熱水蒸気機能のメリット
  • 最高温度と最低温度
  • 外せないレンジ機能のポイント
  • 自動お手入れ機能と庫内の素材
  • 操作パネルやスマホ連携機能など

まずは設置場所と隙間を見る

まず設置したい場所の寸法(幅、高さ、奥行き)を調べましょう。オーブンレンジは電子レンジと違って、内部が高温になるため、上下、前後、左右に指定以上の隙間を設ける必要があります。そして隙間が必要な位置や隙間の量はモデルによって異なりますので、最初に外寸と隙間である程度の見込みを立ててモデルを選んで、その後もう一度、設置場所の寸法と見比べる必要があります。モデルによっては、右側と左側で必要な隙間が異なるモデルもあるので、注意が必要です。

置き場のスペース、大丈夫ですか?

オーブンで作りたい料理と容量

次は、オーブンを使ってどんな料理をしたいのかを考えてみましょう。このときの料理は、
(1)日常的にオーブンで作りたい料理
(2)せっかくオーブンがあるのだから1度はしてみたい料理
があるのではないでしょうか。

せっかく新しくオーブンを買うのですから、(1)が問題なく作れることは絶対条件になるはずです。またできれば(2)もこなしてくれるといいですね。

ところでオーブンレンジの容量は「◯L」とリットル単位で表記されます。しかし同じリットル数でも、高さが大きいもの、横幅が大きいものなど、内部の寸法はモデルごとに異なります。私は鶏の丸焼きが好物なのですが、以前購入したモデルでは、中サイズの丸鶏を入れると鶏が天井に当たってしまうことがありました。ですので先に作りたい料理を考えて、そこから内部の寸法を考えると良いと思います。

例えば天板に肉や野菜を並べて焼くようなグリル料理をしたいなら、底面は広めのものがいい代わりに高さはそこまで必要なく、また2段調理が可能なモデルも選択肢に入ってくると思います。一方、鶏の丸焼きや高さのあるシフォンケーキを焼くなら、底面積よりも高さを重視したいところです。また一番下の天板の位置も重要です。オーブン調理時は、一番下の天板よりも上側が調理する食材スペースになるため、内部の高さが欲しい方はよく見てみることをおすすめします。「同じ容量=同じ内部寸法」ではありませんので、してみたい料理やその頻度に応じて、内部の寸法を考えるといいでしょう。

そのオーブンレンジ、鶏の丸焼き作れるサイズですか?

コンベクション機能、ノンフライ機能

最近よく聞くコンベクション機能は、搭載しているモデルが増えている機能です。オーブン加熱時にファンで庫内の空気を循環させるため、単なるオーブンよりも庫内の温度を均一に保つことができます。食材を均一に加熱できるため加熱ムラができにくい点が特徴で、加熱時間も時短できる傾向があります。

特に「カリっと、サクッと」と仕上げたいクッキーやパイなどは得意分野。そして、このときのファンの風量をさらにアップさせたものがノンフライ機能です。ノンフライ機能では油を使わずにフライができるので、体重が気になってくる年代の人にはおすすめ。

またコンベクション機能を搭載するモデルは、ノンフライ機能や揚げ物のカリッと温め機能も利用できるモデルが多いので、気になる人は検討してみるといいでしょう。

あると便利なセンサー

最近のオーブンレンジには、さまざまなセンサーが搭載されています。複数のセンサーを搭載したモデルのほうが、オーブン、レンジのどちらでも使い勝手は良いです。オーブンレンジに搭載されているセンサーは、重量、温度、湿度、赤外線などがあります。赤外線以外のセンサーは庫内全体を1つの値で計測しますが、赤外線センサーのなかでも高級なものは、庫内の場所ごとに計測を行うことができます。

例えば丸鶏のように形がいびつな素材を加熱する場合、重量センサーだけでは庫内食材の総重量を量るため、いびつな形によって発生してしまう加熱ムラを防ぎにくいのですが、庫内の場所ごとに計測できるタイプの赤外線センサーを搭載していれば、食材の表面温度を位置によって細かく計測できるため、上手に加熱ムラを防げるのです。ただし、搭載するセンサー数が多かったり、高級なセンサーを搭載すると、本体価格は高くなる傾向があります。

時短を目指すならオート調理・オートメニューは必須

下処理を済ませた食材をオーブンレンジに入れて、メニューを選ぶだけで調理してくれるオート調理やオートメニュー機能も、最近は充実しているモデルが多いです。メニューによっては、自動でレンジ機能とオーブン機能を切り替えて、時短しながら美味しい料理ができる点が魅力です。オート調理メニューは忙しい人には大変助かる機能ですが、搭載されるメニュー数が多いモデルほど高価になってしまう傾向があります。

オートメニューを活用して時短を目指したい場合、注意したいポイントが2つあります。1つ目は、メニューのなかに作りたい料理があるかです。自分や家族が美味しそうと思える料理がたくさんあれば、オーブンレンジを活用していろいろな料理を作ることができ、調理の時間が楽しいものになりますね。さらにその料理を食べた家族が喜んでくれれば、調理自体がさらに楽しくなってきます。まずは好みのメニューがあるかを、あらかじめ取扱説明書やメニューブックなどで確認しましょう。

2つ目は食材の分量です。特に重量センサーを搭載していないモデルでは、指示どおりの重量で調理する必要があります。オート調理は、指示どおりの分量の食材がある前提で加熱しますので、例えば食材分量が多すぎると生焼けになったり、少なすぎると焦げるといったこともあり、結局は自分で加熱設定をしなければならなくなってしまいます。

ですのでオート調理機能を活用して時短を目指す場合、こちらも取扱説明書などで、重量センサーの有無や指示されている食材の分量を確認しておくといいでしょう。オートメニューを活用できれば、毎日の調理で強い味方になってくれますよ。さらに最近は電子レンジのマイクロ波、オーブン、過熱水蒸気、グリルの全機能を使って加熱するオートメニューもあり、時短しながら美味しいオーブン料理を楽しめます。

スチーム・加熱水蒸気機能のメリット

ここまでは単にスチーム機能と言ってきましたが、スチーム機能と過熱水蒸気は、厳密には違うものです。スチームは一般的な水蒸気なので温度は100℃。一方、加熱水蒸気は、スチームをさらに加熱したものなので、もっと高温になります。そしてこの温度の違いによって、それぞれできる調理が変わってくるのです。

スチームが温めたり蒸したりするのに対し、加熱水蒸気では食材を「焼く」ことができます。そして過熱水蒸気で焼いた場合は、オーブンで焼いたときよりも食材の脂や塩を落とす効果があることが確認されています。ヘルシーな料理ができるという点で過熱水蒸気はおすすめです。しかし加熱水蒸気機能を搭載したモデルの方が高価になってしまします。

またスチームや加熱水蒸気を発生させるためには、本体に水を補充しなければなりません。水を入れる方法としてはカップ式とタンク式があり、カップ式はその名の通り水の入ったカップを庫内に置いておくイメージで、タンク式と比べると容量が小さくなってしまう傾向があります。オートメニューやスチーム機能を頻繁に使う場合は、水の残量を気にする回数が少なくて済むタンク式がおすすめです。

最高温度と最低温度

電気式の家庭用オーブンレンジで、オーブンの最高温度は多くのモデルで250℃以上、一番高いモデルで350℃です。一般的な肉料理やスイーツなどでは250℃くらいあればほぼ足りると思いますが、プロ並みのピザを作りたい場合など350℃が必要な場合もあるでしょう。自分で作りたい料理のレシピを参考にして、最高温度を選ぶといいですね。

さらに最低温度が気になる方もいると思います。多くのモデルで最低温度は100℃ですが、100℃未満のモデルもあります。また寒い季節にパン作りなどをする場合には、発酵機能のあるモデルも見逃せません。こちらは家庭用オーブンレンジの多くについている機能ですが、ないモデルもあるので注意しましょう。

パンなら190度ぐらい、ハード系を焼きたい人は200度以上必要。

外せないレンジ機能のポイント

毎日の料理に欠かせないレンジ機能も、どんどん進化を遂げています。レンジ機能での解凍・温め・加熱は、家族用の中級モデル以上であれば問題なくこなしてくれるものがほとんどです。とはいえ電子レンジの加熱ムラやクセはモデルごとに異なります。ほとんど加熱ムラが発生しないモデルもありますし、逆に例えば右側だけが加熱されにくいといったモデルもあります。このあたりの情報は、実際に使った人でないと分からないことですので、ネット上の口コミを参考にするといいでしょう。

解凍機能をよく使うので解凍ムラを防ぎたいという場合は、解凍時にスチームを利用できるかも見るといいでしょう。温かいスチームを庫内に充満させることで、電子レンジのマイクロ波だけでは発生しがちな加熱ムラを防ぐことができます。また解凍でスチームを利用できるモデルでは、オーブン調理でもスチームを利用できる場合が多いので、「外はカリっと中はしっとり」といったオーブン調理もできますよ。その他、2品同時温め機能もあると便利な機能です。

自動お手入れ機能と庫内の素材

オーブンレンジで「自動お手入れ機能」といった場合、基本的には庫内に水蒸気を充満させて温めた状態にできるものです。そうすることで、こびりついた汚れが取れやすくなります。

とはいえオーブンの使用後などについた焦げ汚れは、本当に落としにくく、こまめなお掃除が大切です。

オーブンはたくさん使いたいけれどお掃除は苦手といった方は、天板や庫内内側の素材にも注目してください。汚れがこびりつきにくく、落としやすいシリコン加工を施したモデルもあり、手軽に庫内の清潔を保つことができます。

操作パネルやスマホ連携機能など

オーブンレンジは1日に何度も使う家電なので、操作パネルの使いやすさも地味ですが重要です。「どのボタンを押すと何ができるか」が分かりやすいか、自分がよく使う機能にたどり着くまでに何回ボタンを押すかなど、ストレスなく使えるモデルがいいですね。特にオートメニューをよく使う予定がある場合は、メニューの選びやすさも見ておきたいところです。搭載するオートメニュー数はモデルによって異なりますが、なかには400を超えるメニューを搭載モデルもあります。メニューが選びにくいという理由で、オートメニューを使わなくなってしまったという話も聞きますので、注意してみてください。

また最近は、スマートフォン連携機能を搭載するモデルもあります。「スマホ連携」というと、外出先からの操作を思い浮かべてしまいますが、オーブンレンジの場合はスマートフォンと連携させる、つまりネット接続することで、オートメニューに新しいメニューを追加するのがメインの用途で、追加するときの操作にスマートフォンを使うイメージです。オートメニューを多用する場合にあると、もっと料理が楽しくなりますよ。

チャイルドロック機能は、とあるボタンを長押しするなどの操作で、全てのボタンが操作不能になるモデルがほとんどです。小さいお子さんがいるご家庭ではあると嬉しい機能ですが、ドアの開閉にロックがかかるモデルはほぼありません。オーブン利用後など本体が大変熱くなっているときに触ってしまうと火傷にもつながります。オーブンレンジは高温になるものですので、チャイルドロックだけを過信せず、置き場所や使い方には注意が必要です。

自分にぴったりのオーブンレンジを見つけましょう。

今回は、オーブンレンジの選び方をご紹介しました。最近のモデルは機能が多いので、「高いモデルを買ったけど使わない機能ばっかりだった」という声も聞きます。これはもったいないことです。設置場所と容量以外の機能については、自分が必要な機能かを検討し、不要な機能を削ぎ落としていけば、自分好みのモデルをお得に選ぶことができると思います。

岩崎綾
岩崎綾

家電ジャーナリスト、フリーランス編集者。2020年まで“白物家電”専門サイト「家電 Watch」編集長を務め、独立。以降、さまざまな編集やコンサルティング等で活躍中。https://iwasaki.works/

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