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実は5方式ある「加湿器」、自分に合ったものを選ぶには?【家電のプロ】に選び方を聞きました

こんにちは、家電ジャーナリストの岩崎です。2020年まで“白物家電”専門サイト『家電 Watch』編集長を務めており、さまざまな家電製品に触れる機会がありました。この連載「家電のプロに聞く!失敗しない家電選び」では、家電を選ぶ時にチェックしておきたいポイントを詳しくお伝えしていきたいと思っています。

そろそろ寒い日も増えてきて、乾燥が気になる季節になってきました。暖房をつけ始めているご家庭もあるかもしれませんね。寒くなって暖房をつけると、乾燥が気になる方も多いでしょう。

そこで今回は、加湿器の選び方をご紹介したいと思います。

実は、加湿器は大きく分けて3つの方式があるのをご存知でしょうか。また最近は複数方式を合体させたハイブリッド式もあり、現在は5つの方式が販売されています。そしてこの5方式は、それぞれメリットとデメリットがあります。方式の違いによって、向いているシチュエーションやお手入れなども異なりますので、まずは5方式を見ていきましょう。

加湿器の5つの方式は、以下のとおりです。
・加熱スチーム式
・気化式
・気化・加熱ハイブリッド式
・超音波式
・超音波・加熱ハイブリッド式

スチームが出るのは、だいたい加熱スチーム式。

加湿器の5つの方式を知ろう

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加熱スチーム式

加熱スチーム式は、電気ポットと同じ仕組みで、水を沸騰させてその蒸気で加湿します。ですので、加湿しているときタンクの中の水は常に沸騰している状態です。水が沸騰するまでの時間はかかりますが、一度沸騰してしまえば素早い加湿が可能です。また水を沸騰させているので、水や内部がカビにくい点はメリットです。

一方、水を沸騰させるためほかの方式に比べて電気代が高いことや、本体が転倒した場合に沸騰しているお湯がこぼれるおそれがあること、蒸気の吹き出し口が熱くなることがデメリット。とはいえ、水も一度沸騰してしまえばそれ以降はそこまで電気代はかかりませんし、ほとんどのモデルが転倒時にお湯がこぼれにくい機構を搭載しています。また吹き出し口は、大人が触れないほど熱くなるモデルはほぼありませんが、赤ちゃんや小さいお子さんには熱いと感じてしまうことも。

このタイプは水を沸騰させる時の電気代が高くなりがちなので、加湿器をあまりオンオフせずに使うリビングなどに向いています。また電気代や転倒時のお湯こぼれなどの問題点を克服したモデルがあり、こちらはタンクの水全体を沸騰させず、一部の水だけを布製のフィルターに染み込ませて、そのフィルターを加熱して加湿します。

気化式

気化式は、タンクの水を布や紙などでできたフィルターに染み込ませ、扇風機のようなファンで風を送ることで、染みた水を気化させて加湿する方式です。熱を使わないため電気代が安く、吹き出し口が熱くなる心配もありません

水が自然に蒸発している状態に近いため、素早く加湿しにくい点がデメリットですが、逆に空気中の水分量が多い状態では水が気化しにくくなるため、加湿器のなかでは最も結露が起こりにくいタイプでもあります。またフィルターを利用するため、これを定期的に掃除したり交換が必要になります。

こちらは熱源を使わず火事などの心配がほとんどないため、夜中つけっぱなしにする寝室などに向いていますが、ファンの音が気になる方は注意が必要です。ファンの音が少ないDCモーターを採用したモデルもあります。

加湿器のお手入れ、ちゃんとしていますか?

気化・加熱ハイブリッド式

気化・加熱ハイブリッド式は、気化式が素早く加湿しにくい点を克服したモデルで、ファンで送る風が温風になっています。そのため気化式よりも素早く加湿できる一方、電気代が若干アップします。温風といっても加熱スチーム式のような温度ではなく、人肌かそれより低い温度のため小さなお子さんのいたずらなどにも安心です。

こちらも気化式と同じようにフィルターの掃除や交換が必要です。素早い加湿が可能なので、寝室のほか子ども部屋など、ある程度オンオフがあるような部屋にも向いています。こちらもDCモーターを採用したモデルがあります。

超音波式

超音波式は、一部の水に超音波(振動)を当てることで、水を微粒子化して加湿します。霧吹きに近いイメージです。微粒子化した水はファンで送り出すものと、ファンのないモデルがあります。超音波の装置は小さく、フィルターもないため、本体サイズがコンパクトな点はメリットです。それもあってデザイン性の高いモデルや安価なモデルが多いです。

超音波式は部屋の湿度と関係なく加湿できることから、最も結露が発生しやすい方式です。また超音波装置周辺にカビや雑菌が発生・繁殖しやすく、カビのある状態で使うとミストと一緒に部屋へ撒いてしまう点がデメリットです。このタイプはタンクへの給水ごとに、超音波発生装置を中心に掃除して、カビなどを発生させないように使う必要があります。過去には、加湿器内で発生した雑菌による死亡事例もありますので注意しましょう。また1シーズンほど使うと、部屋の壁などにカルキなどの白い粉がついてしまうことがあります。

素敵なデザインで価格もお手頃なモデルが多いので、お手入れさえ気をつければ、使う部屋を選びません。小型でお手頃価格なので、大型の加湿器を買うほどでもないけれど一応加湿しておきたいような部屋にもいいでしょう。ただし結露が気になる部屋にはあまり向きません。

超音波式はコンパクトなので、オフィスデスクに置くのもアリ。

超音波・加熱ハイブリッド式

超音波・加熱ハイブリッド式は、超音波を発生させる装置の周辺にある水を加熱することで、超音波式が持つカビや雑菌の問題を克服したモデルです。水の温度がアップするため、単なる超音波式よりもさらに強力に加湿できるようになります。こちらもフィルターなどがないため、コンパクトなものが多いです。

超音波式と同様に、ちょっとだけ加湿しておきたい部屋などに向いています。ただし超音波式よりも強力に加湿しますので、結露が気になる部屋での利用は避けたほうがいいでしょう

超音波・加熱ハイブリッド式は、結露の気にならない部屋ならOK。

5つの方式は、それぞれにメリットとデメリットがあります。使う部屋やシチュエーションなどの使い方、またお手入れの手間などに応じて選んでみてください。

加湿方式以外で、選ぶときに見ておきたいこと

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次に、加湿方式以外で気をつけたい点をご紹介します。

・適用畳数、タンク容量、連続加湿時間
・給水のしやすさ
・タイマーや自動運転
・お手入れのしやすさ
・音の大きさや消費電力、電源コード
・チャイルドロック、アロマ

適用畳数、タンク容量、連続加湿時間

加湿器選びでは、まず適用畳数が大切です。加湿器も冷暖房器具と同じで、木造と鉄筋住宅では適用畳数が違っています。部屋の広さに合ったモデルを選びましょう

次に加湿量を確認しましょう。加湿量は「◯ml」「◯L」などと表記されますが、これは1時間あたりの最大加湿量です。製品の適用畳数が大きいほど、この数値は高くなります。たくさん加湿できる能力がある方がよいですが、数値が大きすぎると結露が発生することも。もしも買い替えであれば、現在使っているモデルの加湿量を調べ、それと比べて多くしたいか少なくしたいかを考えながら選ぶとよいと思います。

次に確認したいのがタンク容量と連続加湿時間です。これらの数値が大きいほど加湿器の存在を気にしなくていい時間が増えるので、忙しいほど数値が多い方がよいでしょう。ただしタンク容量が大きくなると本体サイズも大きくなりますし、給水しにくかったり、運ぶ水が重たくなったりします。タンクに水を入れると「1Lあたり約1kg」の重さになりますので、自分の腕力も考慮に入れて選んでください。

給水のしやすさ、水の除菌

加湿器は、毎日のように水を投入するため、給水のしやすさも重要です。リビングなどで使う大容量のタンク式の場合は、タンクのサイズだけでなく形状も重要です。タンクの背の高さがキッチンや洗面所に対して大きすぎると、場合によってはタンクの口が蛇口よりも上になってしまって給水できないことも。「タンクが大きすぎて、浴室で給水している」という話も聞きますので、大きいものを選ぶときは店頭で実物を確認したり、タンクの高さや蛇口の高さを測ってみるといいでしょう。

またタンク式でも、タンクが水筒のように閉じておらず、バケツのような形状になっているタイプは、比較的給水しやすいものが多いです。そのほかヤカンなどを加湿器まで持って行って本体に直接給水するダイレクト給水タイプもありますので、自分が使いやすいものを選びましょう。

加湿器のなかには水を除菌してくれるモデルもあり、タンクの中の水もしくはフィルターなどの入った容器にある水を除菌します。除菌の方法は、銀イオンの入った粒が容器内にあるタイプが多いですが、そのほかにもマイナスイオンや紫外線などを利用して、水を除菌します。除菌機能はあった方がよいですが、価格は高くなる傾向があります

どのような形で給水するのかは、チェックしておきましょう。

タイマーや自動運転

タイマーや自動運転も、加湿器の存在を気にしなくてよくなるので、あるとうれしい機能です。リビングで使うような大容量モデルなら、多くがオン・オフタイマーを搭載しています。また部屋の湿度に応じて加湿量を自動で調整してくれる自動運転もあり、例えば料理中は湿度が高くなりがちなキッチンダイニングや、寝ている間に湿度が低下しがちな寝室などには便利な機能です。

お手入れのしやすさ

お手入れのしやすさは、基本的に加湿方式に左右されます。加熱スチーム式でタンク全体を沸かすモデルであれば、電気ポットと同じようにタンクの内部にカルキがつくので、クエン酸などでの掃除が必要です。フィルターがあるタイプのものは、フィルターに付着したカルキを掃除したり、フィルターを交換する必要があります。フィルターの収まっている容器も同じようにカルキがつきますので、こちらも掃除が必要です。超音波式では、内部のカビや雑菌対策のほか、内部のカルキ、部屋の壁のカルキなどの掃除が必要になります。

掃除の頻度はモデルや各部品によって異なり、給水ごとからシーズンごとまでさまざまですので、購入前にWebサイトや取扱説明書などを見て、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。またフィルターや容器の一部が使い捨てになっているモデルもあり、こちらはお掃除せずシーズンごとに捨てるだけでお手入れが完了しますので、忙しい方などにおすすめです。

音の大きさや消費電力、電源コード

加湿器の運転音が気になるという方は、運転音の大きさもチェックするといいでしょう。特に気化式のものはファンを搭載しているので、寝室などでは気になることも。運転音の大きさは、Webサイトや取扱説明書などに記載されていることもあるので、チェックしてみてください。また運転音を抑えるためにDCモーターを搭載したモデルもありますので、気になる方にはおすすめです。

消費電力は、加熱スチーム式が最も大きいので、気になる場合はチェックしてみましょう。リビングで利用するようなサイズの加湿スチーム式モデルの場合、湯沸かし時は1000W近く、沸いたあとの運転時は500W前後の電力を消費します。どうしても電気代が気になるという方は、別の方式を検討してみましょう。

また電源コードの長さは、特に加熱スチーム式では注意するようにしてください。先ほど説明したとおり、本体の中ではお湯が沸騰している状態です。ほとんどのモデルで転倒時にお湯が漏れ出さない機能がついていますが、小さいお子さんがいるなど、安全面を考慮すると大切になってくると思います。

チャイルドロック、アロマ

そのほかの付加機能としては、チャイルドロックやアロマ機能があります。チャイルドロックは、一度設定すると解除するまでは操作が一切できなくなるタイプが多いです。特に、小さいお子さんがいる家庭で加熱スチーム式を利用する場合には、検討してみるといいと思います。

またアロマ機能は、あるとリラックスや気分転換になるのでいいですね。ただし一部の精油は、プラスチックを溶かす作用がありますので、精油を入れる場所の素材を確認するといいでしょう

精油を入れることを推奨しないモデルも多数あります。使えるかどうか、確認しておきましょう。

今回は、加湿器の選び方をご紹介しました。加湿方式によって、加湿の素早さやお手入れが異なります。加湿器は常に水を使うことからカビが発生しやすいため、自分に合ったお手入れ方法のものを選んで、清潔を保つように心がけましょう。お手入れが面倒でないなら。使う部屋に応じたタイプを選んでください。

岩崎綾
岩崎綾

家電ジャーナリスト、フリーランス編集者。2020年まで“白物家電”専門サイト「家電 Watch」編集長を務め、独立。以降、さまざまな編集やコンサルティング等で活躍中。https://iwasaki.works/

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