子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

ミキサー、フードプロセッサー、ハンドブレンダー、私にはどれが良いの? 【家電のプロ】に選び方を聞きました

こんにちは、家電ジャーナリストの岩崎です。2020年まで“白物家電”専門サイト『家電 Watch』編集長を務めており、さまざまな家電製品に触れる機会がありました。この連載「家電のプロに聞く!失敗しない家電選び」では、家電を選ぶ時にチェックしておきたいポイントを詳しくお伝えしていきたいと思っています。

今回は、ミキサー、フードプロセッサー、ハンドブレンダーについて、それぞれの特徴と選び方をご紹介します。

ミキサー、フードプロセッサー、ハンドブレンダーは、すべて「材料を刻む、砕く、混ぜる家電」なので、どれを選べばよいかが分かりにくいのではないでしょうか。

この3つを選ぶときの主なポイントは、用途と設置場所です。そしてそれぞれが得意な分野は、実は少し異なります。ですので、選ぶためにはこれらの製品を使って「やりたいこと」を考えてみてください。用途としては、以下のようなものがあると思います。

・フレッシュジュースを作る
・食材をつぶす、すりおろす
・食材をみじん切りにする
・肉ダネなどをこねる
・卵白や生クリームを泡立てる

この5つの作業を、実際に購入した場合の頻度を考えながら、優先順位を付けて並べ替えてみてください。

※今回は、乾燥した固体のみを粉砕する「ミル」、泡立て専用の「ハンドミキサー」は対象外

自分にとってベストなのはミキサー? フードプロセッサー? ハンドブレンダー?

それぞれの特徴

null

ミキサー、ハンドブレンダー、フードプロセッサーができることの違いは、砕いたり混ぜたい素材が液状か固体か、粘度が高いかという点です。

ミキサーは液状の素材を混ぜることが得意で、固体や粘度のある素材を混ぜることが得意なのがフードプロセッサー、ハンドブレンダーはその中間のイメージです。

例えばジューサーを使わずに、野菜やフルーツなどを使ってフレッシュジュースを作るとします。ミキサーでは、水などの液体を少量加えて作りますね。液体がないと素材を砕くのが難しいのがミキサーの特徴です。

一方フードプロセッサーは、水ナシでも材料を砕いたり刻んだりできる点が特徴です。ハンバーグのタネを作るような場合には、玉ねぎを入れてみじん切りし、そこへひき肉やつなぎ、調味料等を入れて撹拌すれば、あっという間にタネが完成します。また刃を交換することで、スライスや千切りに対応するモデルもあります。

ハンドブレンダーはミキサー、フードプロセッサーの中間的な存在で、液状のもの固体のもののどちらも砕いたり混ぜたりできます。また刃を交換することで、生クリームや卵白の泡立てに対応しているものも多く、ハンドミキサーの代わりとしても使えます。専用容器を使って、素材のスライスや肉ダネをこねる作業に対応する製品もあります。

ミキサーとフードプロセッサーは据え置き型の家電なので、どうしてもキッチンを占領してしまいます。キッチンに置き場所を確保できない場合は、ハンドブレンダーがおすすめ。ただし先ほどの専用容器を使いたい場合は、専用容器の収納場所が必要になりますので、収納性は下がってしまいます。

ミキサーを選ぶときのポイント

null

ミキサーは、液体からポタージュスープやスムージーくらいまでの粘度の調理に対応しています。まずは、どのくらいの容量を選べばよいかを考えてみましょう

例えばスムージーを作るとして、コップ1杯が約200mlなので4人分は800mlです。スープの場合はご家庭にもよると思いますが、1人前が約250~300ml程度と言われています。そして家族向けのミキサーで現在、一番多く出回っているモデルが1Lのものです。

ですがスープを作りたい、作り置きもしたいとなると、1Lのモデルでは足りないかもしれません。1.5Lくらいまではさまざまなモデルがあるので、検討してみましょう。

回転数と消費電力をチェック

また家族の人数分のスープやジュースを作るとなると、パワフルに素早く撹拌したいことが多いのではないでしょうか。

このとき確認したいポイントが、氷が砕けるかどうかと、回転数と消費電力です。

ミキサーでジュースなどを作るとき、氷を一緒に砕きたい場合もあるでしょう。氷が砕けるモデルかどうかは、ホームページや取扱説明書などに記載がありますので必ず確認するようにしましょう。また氷が砕けるモデルは、パワフルに素早く撹拌できることがほとんどですので、実は氷を砕けるかはパワーのレベルを判断する基準にもなります。ただし氷が砕けるモデルも、家庭の製氷機で作ったの氷のみに対応しているものがほとんどで、市販のロックアイスはNGな場合が多いので、注意してください。

また回転数は、1分当たりの回転数で表記されています。家族分の大容量を撹拌するのであれば少なくとも1万回転以上、できれば2万回転以上を選ぶといいでしょう。

消費電力は、W(ワット)数で表記されます。この数値が大きいと電気代が高くなるので、抑えたいと思う方も多いかもしれません。しかし毎日使ったとしても、1日に1時間以上使うことはあまりないのではないでしょうか。W数は粉砕のパワー、スピードに直結しますので、家族向けであれば300W以上のできるだけ大きいものをおすすめします。

容器の素材次第で重さが変わる

お手入れ面では、容器の素材に注目したいところです。容器に使われている素材は主にプラスチック、ガラス、トライタン、ステンレスがあります。プラスチックは最も安い代わりに傷が付きやすく、ガラスは耐久性はありますが重いため、洗浄も考えると誰にでもおすすめとは言いにくいです。ステンレスは耐久性はありますが、撹拌中の中身が見えない点に注意が必要です。トライタンはプラスチックと見た目は似ていますが、耐久性が高くおすすめ。ミキサーの場合は、食洗機対応しているモデルはあまり多くありません。

またミキサーは据え置きで使うので、電源コードの長さも重要です。稼働中にコードに足を引っ掛けてしまうと、せっかくのお料理も台無しですし、お掃除も大変です。また消費電力が大きいほど延長コードを使わない方がよいので、可能であれば必要な長さのあるモデルを選びましょう。

最近はミキサーも、1人分のスムージーを作れる容量の小さいコンパクトミキサーと呼ばれるものがあります。容器に付属のフタをしてタンブラーとして持ち運べるものや、ミルと兼用できるものもあって便利です。2台目としておすすめです。

アボカドの種も粉砕できるレベルのミキサーは、サイズも大きくなりがち。

フードプロセッサーを選ぶときのポイント

null

フードプロセッサーは、ミキサーよりも硬めの食材を刻んだりこねたりできる家電です。また刻む、こねるのほかに、刃を付け替えることで、みじん切り、スライス、千切り、すりおろしなどができるモデルもあります。さらに一部のモデルでは、泡立てにも対応しています。1台あると料理の幅が広がる家電です。

国内メーカーの家族向けのモデルは、容量が約500~600ml前後のものが多いです。これはハンバーグの肉ダネに換算すると、およそ500~600g程度の容量。4人分で600gとすると1人前は150gのイメージです。150gのハンバーグのサイズをイメージする場合、外食メニューにあるハンバーグのグラム数は焼く前のものですから、参考になると思います。

刃とスピード調節機能に注目

フードプロセッサーは、野菜のさまざまなカットに利用することが多いので、選ぶ際は付属している刃とスピード調節機能に注目しましょう。

必要なカットに対応した刃が付属するかはもちろんですが、一般的な刻みを行う刃の段数も見てみましょう。上下に2段になっているものは、一度にたくさん刻めるために手早く仕上げられます。また回転のスピードを調節できる機能があると、刻みの細かさを調節できます。遅いと粗く、速いと細かくなります。スピードを調節して使うことから、回転数や消費電力はもともとミキサーよりも小さいので、選ぶ際にはさほど気にしなくてよいでしょう。

お手入れ、食洗器対応か否か?

お手入れ面では、容器の素材と形状に注目しましょう。容器に使われている素材は主に、プラスチック、ガラス、トライタン、ステンレスで、ミキサーと同じです。ミキサーよりも粘度が高かったり、油っぽい食材を調理することが多くなるため、洗浄のしやすさは重要です。最近は、容器の溝などをなるべく減らした洗いやすいモデルが増えていますが、購入前に店頭で実物をよく見てみるといいでしょう。また容器だけでなく刃やフタも含めて、食洗機対応しているモデルもあります。

またミキサーと同様に据え置きで利用するため、電源コードの長さも忘れずにチェックしてください。

フードプロセッサーはみじん切りなども簡単にできちゃうので、ありがたいキッチン家電のひとつ。

ハンドブレンダーを選ぶときのポイント

null

ハンドブレンダーは、本体の先端を直接ボウルや鍋などに入れて、材料を砕いたり撹拌できるので、手軽に利用できる点がメリットです。また手軽に使えるものの、例えば大容量の野菜スープをポタージュにするような場合は、刃の大きさやモーターが小さいため、ミキサーなどに比べると時間がかかってしまいます。いつも大容量を調理したいという場合は、ミキサーやフードプロセッサーを検討しましょう。逆に少量の離乳食を作るなら、ミキサーやフードプロセッサーよりも向いています。

選ぶときの主なポイントは、やりたいカットができるかどうかと、本体の重量です。

基本の刃を使って、食材を細かくすりつぶしたように刻むことができるほか、刃を替えることで荒く刻む、すりおろす、泡立てなどに対応するモデルもあります。また付属容器を使うことで、みじん切りやスライス、ミルのように使えるモデルもあります。これらのうち、自分が使いたい機能があるかどうかをよく見てみましょう。

付属品は?持てる重さ?

ハンドブレンダーには設置や保管場所をあまり気にしなくていいというメリットもあります。しかし付属容器がたくさんあるモデルとなると、その保管場所を考える必要がでてきて、ミキサーやフードプロセッサーと変わらなくなってしまいますので、キッチンの広さに合わせて欲しい付属容器を考えてみてください。

また基本的に手に持って使う家電なので、重量も大切です。持ったときに重いかどうかは実際の重さだけでなく、全体の設計バランスも関係してきますので、購入前にはぜひ店頭で手に持って確かめてみてください

お手入れは、外した刃と本体の汚れた部分を洗浄すればいいので、付属容器を使わなければかなり手軽です。その代わり、刃が容器の底についているミキサーやフードプロセッサーと違って、刃がむき出しになっている点に注意が必要です。基本的にはON/OFFスイッチで操作しますので、特にOFFボタンの押しやすさを確認してみてください。また安全ロックを外さないとONボタンが押せないモデルもあり、小さなお子さんがいる家庭に向いているでしょう。

電源コードの長さは、使う場所を移動できるメリットを活かすなら、長い方がいいでしょう。また少し値段がアップしますが、バッテリー搭載の充電式もあるので、こちらも検討してみてはいかがでしょうか。

ハンドブレンダーはキッチンツール感覚で使えます。

今回は、ミキサー、ハンドブレンダー、フードプロセッサーの選び方をご紹介しました。キッチンがとても狭い場合や最初の1台なら、置き場所に困らず、お手入れも手軽なハンドブレンダーがおすすめです。

とはいえ、実はそれぞれに得意分野が違いますので、もしもキッチンがとても広くて設置場所に困らなのであれば、すべて揃えてもいいかもしれません。またお子さんが園や学校に通うようになって、家族の食の好みなどが分かってくれば、選びやすくなってくるかと思います。

岩崎綾
岩崎綾

家電ジャーナリスト、フリーランス編集者。2020年まで“白物家電”専門サイト「家電 Watch」編集長を務め、独立。以降、さまざまな編集やコンサルティング等で活躍中。https://iwasaki.works/

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載