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高いものは何が違うの?ホームベーカリーの選び方【家電のプロ】に聞きました

こんにちは、家電ジャーナリストの岩崎です。2020年まで“白物家電”専門サイト『家電 Watch』編集長を務めており、さまざまな家電製品に触れる機会がありました。この連載「家電のプロに聞く!失敗しない家電選び」では、家電を選ぶ時にチェックしておきたいポイントを詳しくお伝えしていきたいと思っています。

今回はホームベーカリーの選び方をご紹介します。ホームベーカリーは、小麦粉やイーストなどの材料を入れるだけで、好きなタイミングでパンを焼き上げてくれる便利な家電です。

自宅でのパン作りは、生地のこねが足りなかったり、発酵が不足すると、上手に膨らまないことがあります。ホームベーカリーがあれば失敗なく自宅でパンが焼けるため、特に家食の頻度がアップしたコロナ禍以降は、人気が急上昇した家電のひとつです。

パン作りは大きく分けると、こね、発酵、焼きと3つの工程があります。ホームベーカリーの自動メニューを使うと、この工程すら気にしなくて良い点はメリットです。また3工程をそれぞれ独立して運転できるホームベーカリーがあると、こね機能でうどんや餅、発酵機能でヨーグルトや甘酒といったメニューを作ることもできるので、お料理好きには便利な機能です。これらのうどんや餅、ヨーグルトや甘酒といったメニューは、自動メニューとして搭載しているモデルもありますので、チェックしてみてください。

ホームベーカリーを選ぶ際のポイントはいくつかあります。

  • 買っても使わないかも?という方にはレンタルがおすすめ
  • 価格とメニュー数の関係
  • 本体重量と動作音には関係がある!?
  • 本体サイズと設置場所
  • タイマー機能と、イーストや具材の“あとから”投入機能

まずは使ってみる

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まだホームベーカリーが未体験という方で「買っても使わないかもしれない」と思っている方は、まずはレンタルで試してみるといいでしょう。

家族の中にパン好きがいると継続して利用しやすいですが、そうでない場合、購入価格や使用頻度、保管場所を考えると買うことに躊躇がある人もいるでしょう。「購入してみたいけど使うか分からない」というときは、レンタルがおすすめです。

ホームベーカリーだけでなくやや高価な家電の場合、1カ月くらいレンタルしてみて、毎日の暮らしの中でどのくらい使う余裕や機会があるかを試してみるといいと思います。またすでにホームベーカリーは使っているけれど、高価なモデルは本当に便利な機能がついているか知りたい、あの機能を試してみたいなどというときは、数日や1週間といった短い期間でレンタルしてみてもいいでしょう。レンタル業者の中には、継続して利用すると最終的に買い取りができるところもあります。

価格とメニュー数の関係

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家庭用として販売されているホームベーカリーの価格は、8月上旬現在、7,000円くらいから5万円弱と幅があります。

価格の違いは、主に自動メニュー数の多さです。特に高価なモデルは、作れるパンの種類が大変多い点が特長です。生食パンや低糖質パンのほか、ライ麦パンや全粒粉パン、ごはんを混ぜ込んだごはんパン、材料投入から焼き上がりまでが1時間の時短パン、ハードパンの生地づくりなどが行えます。発酵や焼きの温度などをしっかり管理することで、焼き上がりの味も追求されています。

また膨らみにくいため作るのが難しいとされる米粉パン、扱いの難しい天然酵母を使ったパンを作れたり、生地作りの終盤に投入したいナッツやレーズンなどの自動投入機能を備えるモデルもあります。

こね機能を利用してうどん、餅、ピザ生地が、発酵機能で甘酒やヨーグルトが作れるほか、加熱機能でジャム、あんこ、コンポートなどの煮て作るスイーツなどが自動メニュー化されているモデルもあります。機種にもよりますが、特徴的な自動メニューには、強力粉ナシの薄力粉だけのパンや、キャラメルや焼き芋を作れるものもあります。

低価格のモデルでも、米粉パンや天然酵母パン、発酵食品に対応するものや、時短パンが作れるものなどもありますので、自分が作りたいメニューが作れるかを、お財布と相談しながら選ぶといいでしょう。自動メニューが少ないモデルでも、こね、発酵、焼きを単独メニューとして利用できるものなら、工夫次第でさまざまな料理を作ることができます。

パンだけでなく、ヨーグルトも作れる機種もある。

本体重量と動作音には関係がある!?

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家庭用ホームベーカリーの容量は、1、1.5、2斤のモデルがあります。実際のパンの消費量と、設置場所の空きスペースの兼ね合いで選ぶといいですね。

また本体重量は、3~7kgと幅があります。ご家庭によっては、ホームベーカリーを使うたびに出して収納する場合もあるでしょう。このとき本体重量は気になるポイントだと思います。できるだけ軽いものを選びたくなってしまいますが、1点注意が必要です。

生地をこねているとき、ホームベーカリーの中では生地の塊が右から左、上から下へと常にひっくり返されています。このときドタンバタンという大きな音がする場合があるのです。本体重量が重くなると本体が振動しにくくなるため、この動作音が減る傾向があります。

特に、朝焼きたてのパンが食べたいとタイマーをセットすると、深夜に動作音がしてきます。ホームベーカリーをいつ、どこで使うのかによって、動作音の大小は重要な問題になってきますので、注意しましょう。動作音のデシベル(db)数を表記しているモデルもありますが、そうでない場合は、ネット上の口コミも参考になるでしょう。また騒音を減らすための工夫をした「静音性」を謳ったモデルもあります。

本体サイズと設置場所

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設置場所をどこにするかによって、本体サイズも重要ですね。キッチンに置くのであれば、大きさはシビアな問題になる家庭も多いでしょう。使うときだけ出してくるといった使い方であれば、収納場所の確保も必要です。

設置場所によっては、本体の電源コードの長さも見ておきましょう。できるだけ延長コードを使わずに済む方が楽ですし、安全です。動作中に本体が落下すると故障だけでなく、特に焼きの最中などは危険ですので、注意しましょう。

また先程の動作音とも関連するのですが、ホームベーカリーを動作させる場所がグラグラした机などの場合は、動作音が大きくなってしまいます。しっかりと安定した台の上で使うようにしましょう。

普段は収納しておいて使う時だけ取り出すか、出しっぱなしにしておくか。

タイマー機能と、イーストや具材の「あとから」投入機能

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夜セットして、朝焼き上がりのパンを食べたいという人が多いため、ほとんどのモデルが、約12時間かそれ以上の予約タイマーを搭載しています。とはいえ季節によっては、暑くて材料が傷んだり、寒くて固まってしまうといった場合がありますので、季節に合った材料を使うといいですね。

タイマーと同時に気になるのが、イーストや具材の“あとから”投入機能です。バターなどの油分、イーストは、入れるタイミングが生地の仕上がりに影響するものがあります。最初から全部の材料を入れるように指示のあるメニューなら良いのですが、途中で投入する指示のあるメニューもあります。途中で入れるとなるとどうしても忘れてしまいがちで、ネット上には「イーストを途中で入れ忘れたまま、パンが焼き上がってしまった」という書き込みも。またレーズンやナッツなどの具材は、後から入れないとこねのタイミングで形が崩れてしまいます。

こういったイーストや具材を“あとから”投入できる機能を持つモデルがあります。せっかくホームベーカリーを買ったのだからと、パンのバリエーションを広げたい人にはぴったりの機能です。ただし、“あとから”投入機能があるモデルは、価格が高い傾向がありますので、実際にどんなパンを作りたいかを考えてモデルを選ぶようにしましょう。

焼き立てのパンは香りもさながら、味も最高。子どもも大喜び。

今回は、ホームベーカリーの選び方をご紹介しました。まだまだ続く夏休みに、お子さんと一緒にパンを作ってみるということであれば、こねと一次発酵の終わるところまでをホームベーカリーで作って、粘土細工のように整形して楽しみ、オーブンで焼いてみるのがいいでしょう。

幅広くさまざまなパンを美味しく作ろうと思うと、どうしても高価なモデルになってしまいますが、まずは試してみたいということでしたら、安価なモデルでも1台あるだけで料理の幅を広げてくれる家電です。

岩崎綾
岩崎綾

家電ジャーナリスト、フリーランス編集者。2020年まで“白物家電”専門サイト「家電 Watch」編集長を務め、独立。以降、さまざまな編集やコンサルティング等で活躍中。https://iwasaki.works/

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