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「扇風機」と「サーキュレーター」我が家はどちらが必要?用途別おすすめを【家電のプロ】に聞きました

こんにちは、家電ジャーナリストの岩崎です。2020年まで“白物家電”専門サイト『家電 Watch』編集長を務めており、さまざまな家電製品に触れる機会がありました。この連載「家電のプロに聞く!失敗しない家電選び」では、家電を選ぶ時にチェックしておきたいポイントを詳しくお伝えしていきたいと思っています。

夏のように暑い日が増えてきました。また雨もチラつくようになってきましたね。今回は、「部屋置きタイプ」の扇風機とサーキュレーターの違いや機能などの説明、用途別のおすすめをご紹介します。

「扇風機」と「サーキュレーター」は、風と用途が違う

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扇風機とサーキュレーターの主な違いは、風の範囲と強さです。

扇風機とサーキュレーターを比較すると、扇風機は広い範囲にゆるやかな風を送るのに対して、サーキュレーターは狭い範囲に強い直線的な風を送ります。場合によっては、サーキュレーターの風が体に当たると痛いと感じることもあるかもしれません。

この違いは、扇風機は人間が涼むために、体に負担のかかりにくい優しい風を生み出していることサーキュレーターは部屋の空気を循環させるために作られていることによります。そのためサーキュレーターの方が、遠くまで風を送ることができます。

またサーキュレーターに「◯畳用」と表記されることがあるのは、風がどのくらい遠くまで届くかの目安です。部屋の空気を循環させるために購入する場合は、使う部屋の畳数かそれ以上のものを使いましょう。

扇風機は広い範囲に風を送る。
サーキュレータ―は直線的に風を送る。

機能面の違い:タイマーや首振り機能など差は少なくなっている

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サーキュレータ―の首振り機能、空気の循環面ではご注意を。

かつてのサーキュレーターは、風量調節や首振り機能、オン・オフのタイマーなどを搭載しないものが多かったため、扇風機との違いは、見た目だけでなく機能面でも明らかでした。しかし現在では、サーキュレーターも扇風機同様に、風量調節、首振り機能やタイマー機能などを備えているものが多く、機能面での差は少なくなってきています。

また最近は、扇風機やサーキュレーターの首振りも進化していて、「3D首振り」を搭載するモデルもあります。「3D首振り」は上下左右に、横長の八の字を描くようなイメージで首を動かすことで、より広い範囲に風を送る機能です。

サーキュレーターの首振り機能は、扇風機代わりに使って涼む場合は良いのですが、部屋の空気を循環させる場合は、部屋の空気の流れが一定しなくなってしまい、かえって空気を循環できなくなってしまいますので、注意しましょう。

ところで「DCモーター」って何?

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扇風機やサーキュレーターの特徴で「DCモーター搭載」という言葉を聞いたことがある人も多いかもしれません。

DCモーターは、ACモーターよりも消費電力が少なく、動作音が静か、風量調節を細かく行えるといったメリットがあります。良い事づくしですが、モーターの価格が高いというデメリットがあります。

DCモーターは動作音が静かでとても弱い風を作り出すことができるため、特に寝室での利用に向いています。

真夏の寝室には、優しい風の扇風機がありがたいです。

形やデザインの違い:縦型タワーファンの存在も見逃せない

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デザインが良いものは、やはりサーキュレーターの方が多いですが、最近ではデザイン性に優れた扇風機も登場しています。さらに羽根のない扇風機もありますし、また縦型のタワーファンという選択肢もあります。

タワーファンが風を生み出す仕組みは、エアコンやレンジフードと同じです。羽根の代わりに、「シロッコファン」というスリットの入った筒を回転させることで、風を生み出します。

またサーキュレーターは本体高さがないため、置き場所を選ばない点が嬉しい製品ですが、床から高いところで風を送りたい場合、クリップやフックで吊るして設置できるものもあります。

タワー型の代表格、『アイリスオーヤマ』の「タワーファン DCモーター TWF-CD81T-C」オープン価格(実勢価格1万8,660円/編集部調べ)。

お手入れは簡単?

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扇風機やサーキュレーターは、空気を吸い込んで送り出すため、羽根や背面のメッシュ部分にはホコリ等が溜まりがちです。

扇風機は前面と背面のメッシュと羽根を取り外せるものが多いですが、サーキュレーターは、前面のメッシュだけを取り外せるもの、羽根までを取り外せるものが多いようです。背面のメッシュも取り外してお手入れしたい場合は、購入前にあらかじめ製品の取扱説明書などを見てみると良いでしょう。

洗濯物を乾かすなら、サーキュレーター

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部屋干しするなら、サーキュレータ―も回しましょう。

梅雨になると、洗濯物を部屋干しする機会が増えますね。部屋干し臭の発生を抑えるためにも、できるだけ早く乾かしたいものです。サーキュレーターの生み出す強い風を、洗濯物に直接当てると早く乾かすことができるので便利です。

特に室内干しする部屋が、普段人がいない浴室などか、人がいる部屋でも洗濯物と人のいる場所が離れていれば、サーキュレーターがいいでしょう。

一方、洗濯物と人がいる位置が近い場合は、サーキュレーターの強い風が人に当たり、寒いと感じる場合があります。人が風に当たらないように、洗濯物を干す位置や風の向きを工夫できれば良いですが、できない場合は風量を調節できるサーキュレーターか扇風機が良いでしょう。

冷暖房効率をアップさせるなら…!?

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冷房や暖房のときに部屋全体の温度にムラがある場合や、冷暖房効率をアップさせ、エアコンの電気代を節約したいという場合も、サーキュレーターはおすすめです。

冷たい空気は下へ、温かい空気は上へいく性質があるのですが、エアコンの室内機は部屋の高いところに設置されています。そして多くのご家庭ではエアコンを、自動運転か温度指定で使っていると思います。

そのため、冷房時は床の方は涼しくても本体周辺の温度が高いため冷房がついたままだと冷えすぎの傾向があり、逆に暖房時は床の方はまだ寒くても、高いところにある本体周辺の温度が高くなりがちなので、暖房が消えてしまうことがあります。

こういった場合には、遠くまで風が届くサーキュレーターを真上に向けて送風し、部屋の上下の空気を循環させるだけで、冷えすぎや暖まらないといった事態を避けることができます。また部屋の位置によって温度ムラがある場合は、暖かい場所と寒い場所の空気が循環するように使います。

部屋の空気を循環させる目的でサーキュレーターを使う場合は、首振り運転はせず、常に一定方向へ空気を送ることで、部屋全体に大きな円を描くように空気を循環させましょう。天井に取り付けて利用する「シーリングファン」は、部屋の上下の空気を循環させるための製品ですので、冷暖房効率のアップという視点では候補になるでしょう。

サーキュレーターなどを使って部屋の空気を循環させると、エアコンを効率的に使うことができるので、電気代の節約にもつながります。

寝室で使うなら扇風機!

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扇風機の風に当たり続けて体が冷え、風邪を引いたことはありませんか。

寝室は、寝てしまったあとは風量調節ができなくなってしまうため、風が穏やかな扇風機がおすすめです。特に風が当たると風邪を引きやすい人や、寒いのが苦手な人は扇風機を。このときDCモーターを搭載した製品であれば、とても弱い風を送ることもできますし、動作音も静かです。

子どものお昼寝時にもおすすめ。

充電式や折りたたみ式も!今年の夏は持ち歩く?

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最近では、扇風機もサーキュレーターもバッテリーを搭載したコードレスモデルが販売されています。扇風機の場合は、真ん中の支柱が折りたためるなど、コンパクトに収納できるものもあります。いずれも電源のない場所や屋外での利用を想定した製品ですが、アイディア次第では、例えば、電源のない浴室で洗濯物を乾かす際に補助的に使うといった室内での利用もできるでしょう。

支柱は伸縮可能。
伸縮支柱をたたんで……。
こんなにコンパクトに収納できます。『TEKNOS』「USB充電式 折りたたみ収納扇 SI-001U」オープン価格(実勢価格5,453円/編集部調べ)。

今回は、扇風機とサーキュレーターの違いを説明しました。扇風機は暑い季節を涼しく乗り切るための製品ですが、サーキュレーターは部屋干しや冷暖房効率のアップなど、1年中活躍してくれる製品です。上手に選んで使いこなしてみてください。

 

イラスト/nenko

岩崎綾
岩崎綾

家電ジャーナリスト、フリーランス編集者。2020年まで“白物家電”専門サイト「家電 Watch」編集長を務め、独立。以降、さまざまな編集やコンサルティング等で活躍中。https://iwasaki.works/

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