今回使用する3機種はこちら!
nullこんにちは。料理研究家・フードコーディネーターとして活動する服部 みどりです。今回は、みんなが気になる「高級機種の炊飯器」をお試し! それぞれの特徴や、実際にお米を炊いて、味の違いなどを検証してみます。
『象印マホービン』炎舞炊き(NW-FB10)
・圧力IH炊飯ジャー
・実勢価格:14万8,500円(税込)
スクエア型で安定感のあるデザイン。どっしりした内釜は蓄熱性と発熱効率が高い「鉄」、熱伝導率の高い「アルミ」、耐久性に優れた「ステンレス」を組み合わせています。
IHヒーターが加熱する際に縦・横・斜めに複雑で激しい対流を生み出し、お米を勢いよく混ぜながら炊く「3DローテーションIH構造」が特徴。すべてのお米にまんべんなく熱を加えることで一粒一粒までふっくら炊き上がるそうです。
付属のしゃもじは凹凸がありご飯がくっつきにくく、自立するので衛生的に使えます。色は黒(濃墨)と白(絹白)の2色展開。
『タイガー』 <炊きたて>土鍋ご泡火炊き(JRX-T100)
・土鍋圧力炊飯ジャー炊飯器
・実勢価格:12万1,000円(税込)
無駄なボタンやテキストは極力無くし、パネルは大きめで押しやすく、シンプルに仕上げられています。
「コスモブラック」「ムーンホワイト」の2色展開ですが、従来の白・黒の家電とは一線を画す、マットで落ち着きのある素材感、スタイリッシュな佇まいが素敵です! 100周年を記念したタイガー史上最高傑作と謳うだけあり、凄みを感じる見た目。
国内でも最高品質と言われる、三重県四日市市の「萬古焼(ばんこやき)」の土鍋の内釜を採用。重厚感がある土鍋ならではの最高温度(約300℃)という高温で炊き上げます。
土鍋で炊飯する時に出る細かい泡でお米の粒を包み込むことで、お米の表面を傷つけず、旨みを逃さずに炊き上げるのだそう。付属品には少量(0.5〜1合)のお米をおいしく炊くための中ぶたがあります。
『三菱電機』本炭釜 紬(つむぎ)(NJ-BW10F)
・IH炊飯ジャー
・実勢価格:13万2,000 円(税込)
天面の円形が目を引く愛らしいデザイン。炭漆黒、白真珠と称される2カラーで、インテリアにも馴染みやすい、マット調の美しい質感です。
内釜は純度99.9%の炭素材料を贅沢に使用しています。炭素材と形状にこだわり、職人さんが約100日間かけて仕上げるという手間をかけた本炭釜。
IHの加熱に瞬時に反応する炭の特徴を活かし、内釜全体が一気に発熱。大火力を絶やさず「連続沸騰」させるという独自の制御技術において特許を取得しています。
内ぶたにも炭コーティングを施してあり、全方位から遠赤外線を放射する仕様。内釜の底部分は業界最厚と言われる10mmの厚さ。炊飯時に大きな泡を発生させ、お米を押し上げ、激しい熱対流でお米一粒一粒をよりふっくら炊き上げるといいます。
今回比較する3機の中では唯一、あえて圧力をかけない方式。
3機種・2品種のお米でごはんを炊き比べ!
nullそれぞれ、お米の品種や炊き具合を細かく指定して炊くメニューがありますが、今回は、タイプの違う2種類のお米を、各機種「通常炊飯」で炊き比べてみました。
【ゆめぴりか】(令和4年度産)
北海道のブランド米。甘さ、粘り、濃い味わい。もっちり系が好きな人におすすめの品種。
【ササニシキ】(令和4年度産)
主な生産地は宮城県。粘りの少ないあっさりした食感が特徴。栽培の難しさから年々生産量減少しているもののスッキリ系が好きな人から支持の高い品種。シャッキリ系の代表格。
3機種それぞれで炊いて試食しましたが、結論から言うと、さすが高級機種、どの機種もめちゃくちゃおいしいです。しかし、同じお米を同条件で炊いているはずなのに、炊き上がりの違いはしっかり出ました。
それと併せて、それぞれの機種で特徴的な機能も試してみました。
『象印マホービン』炎舞炊き
null【ゆめぴりか】
ふっくら感がありながらも粒感も際立つバランスの良い仕上がりです。噛むと弾力がありご飯の甘さも感じます。
【ササニシキ】
ササニシキは固く仕上がるかと思いきや、3機種の中では最も「やわらかい」と感じました。ゆめぴりかに比べると甘さは控えめに炊けました。
3機種の中ではもっとも粒感が際立つ「シャッキリ」と仕上がる印象です。圧力をかけながらも、ベチャベチャ感は無し。対流を生み出す構造が特徴の内釜だけあり、釜の底、中央、どこをとってもまんべんなく炊き上がっている点でも秀逸です。
操作も分かりやすく、説明書を読むのが苦手でも問題なく使えそうです。
またこの機種は、お米の品種による炊き分けではなく、炊いたご飯のかたさや粘りの感想を回答することで、炊き方を微調整してくれるという「わが家炊き」といううれしい機能があります。これにより121通りのもの炊き分けができるそう! お米は季節や銘柄により食感が変わるので、家族の好みをカスタマイズしながら通年楽しめそうです。
焼肉や焼き魚など、しっかり味のおかずに合いそうな印象でした。
保温の種類が選べる!「極め保温」とは
「炎舞炊き」は、保湿の種類が選べるというのが特徴的な機能のひとつです。
【極め保湿】(40時間まで):最適な温度コントロールで、ご飯の劣化(乾燥・変色)を防ぐ
【高め保湿】(12時間まで):少し高めの温度で保湿することにより、ご飯のにおいの発生をおさえる
というわけで、今回は極め保湿を試してみました。写真のごはんは14時間経ったもの。ツヤに注目です。
通常ご飯は3時間以上保温すると、だんだんと乾燥しカピカピになってしまうものですが、14時間経っても保たれているこのツヤには驚きました。
炊き立てと比べると当然、多少の乾燥はありますが、長時間保温したとは思えません。夜炊いたご飯を朝食べたい方(またはその逆)にはもってこいですね。
『タイガー』土鍋ご泡火炊き
null【ゆめぴりか】
3機種の中で「もっちり感」が最も強い炊き上がり。もっちり派はゆめぴりかやあきたこまちなど、甘さや粘りのあるお米を炊くことで、よりもちもちやわらかな食感を堪能できそうです。
【ササニシキ】
3機種の中で「香り」を最も強く感じました。ゆめぴりかに比べて粘りは少なくさっぱりですが、もともとスッキリ系のお米も土鍋で炊くことによりコクをプラスできる印象です。
2品種とも香りと粘りが最も強く感じられる炊き上がりです。色も少し濃厚に見えます。確かに土鍋で炊いたような風味のあるご飯。白いご飯にこだわりたい人にはもってこいの印象です。
「土鍋ご泡火炊き」には、“THE 和食のおかず”を! お刺身や明太子、いくらの醤油漬けなどと相性が良さそうです。
タッチパネルの文字は大きく、最新の炊飯器感はありながら問題なく使いこなせそうな操作性。パーツもシンプルで洗いやすく、お手入れがラクです。
「土鍋ご泡火炊き」は、タイプの違うお米でも香りとコクを引き出す炊き上がり。もっちり派には断然おすすめです。
少量でもおいしく炊ける「一合料亭炊き」
一般に5.5合炊きの炊飯器は、1合など少量の炊飯をすると、炊飯空間が大きくなりすぎて炊きムラが生じやすくなり、おいしく炊くのは難しいと言われます。
しかし「土鍋ご泡火炊き」では、付属の「一合料亭炊き専用中ぶた」を使うことで少量でもおいしく炊けました! 「一合料亭炊き」というネーミングがぴったり。
今回はあえて強火で炊いてみましたが、ほんのりお焦げができて香ばしく、料亭やご飯のおいしい旅館で丁寧に炊かれた贅沢なご飯を感じさせる炊き上がり。常に炊きたてが食べたい白いごはん愛好家の方々にもピッタリなんじゃないかと思います。
『三菱電機』本炭釜 紬(つむぎ)
null【ゆめぴりか】
ふっくら感がありながらも粒感もあります。最も「甘さ」を感じました。
【ササニシキ】
「シャッキリ感」が最も高い仕上がりです。粒感が際立つ食感を楽しめます。
他の2機種(象印、タイガー)は圧力をかけて炊飯しますが、紬は唯一圧力なしのIH。圧力をかけないためご飯の粒の輪郭が潰れにくく、見た目のご飯粒は白く輝くツヤツヤな美しさがピカイチでした。
食感はシャッキリ/もっちりに偏ることないバランスのよいふっくらしたご飯で、噛むほどに甘さをしっかり感じる炊き上がりです。
「銘柄芳潤炊き」や、「炊き分け名人」など、好みに合わせて食感を炊き分けできる機能があるので、お米の種類やその日のおかずに合わせてカスタマイズできるのも魅力。
とにかくシャッキリが好きなら、紬×粘りの少ない高アミロース米は相性が良いでしょう。お寿司やちらし寿司などには最高の食感を作り出せそうです。
機種の中では内ぶたが一番洗いやすく、お手入れしやすい印象でした。
選べる2種の早炊きモード
紬は、選べる2種類の早炊き機能が気になりました。
【うま早モード】早くておいしさにもこだわるモード
(0.5合:約28分、3合:約29分目安)
【お急ぎモード】とにかく早さにこだわる時
(0.5合:約19分、3合:約24分目安)
お急ぎモードで2合を炊飯したところ、なんと約19分で炊き上がり! 通常炊飯と比べると、ご飯が多少固い印象はありますが、このスピードでこの炊き上がりなら文句なしと言えます。
今回は浸漬なしの悪条件なので、たとえばお出かけ前に米を水に浸けておいて、お急ぎモードで炊くならもっといい炊き上がりのはず。炊きたてのご飯をとにかく早く食べたい!という状況が多いご家庭には最高ですね。忙しい家事を助けてくれる心強さを感じます。
料理家おすすめ!冷凍ご飯保存方法
余ったご飯は冷凍保存が便利! 私はご飯が温かいうちに耐熱性のあるラップでできるだけ薄く平らにととのえて密閉し、冷凍保存するという方法をおすすめしています。
もしあれば金属製のトレーにのせて冷凍すると、熱伝導率よく急冷効果が期待できるのでなお良し。
『三菱電機』の紬で気になった、「新・まとめ炊き(冷凍用)」モードで炊いたご飯を冷凍してから食べてみましたが、冷凍とは思えないクオリティに驚きました。
通常の炊飯モードよりも冷凍向きに計算された炊飯のようで、電子レンジで温め直しただけでまるで炊きたてのよう! 忙しい生活の中、時短でおいしくご飯を食べられるのはうれしいかも。
使って分かったそれぞれの特徴
null今回試した機種はもちろん甲乙つけ難い優秀なものばかりなので、どれを買ってもおいしいご飯は炊けます。が、あえて分類するならば以下のように分けられると思います。
『象印マホービン』炎舞炊き
どちらかというとシャッキリ派。白いご飯以外に炊き込みご飯や雑穀米などにも活用したい方、家族が多い、食べる時間がバラバラになりがちなどで一度にたっぷり炊いて保温をしたまま置いておくことが多い方などにもおすすめです。
『タイガー』<炊きたて>土鍋ご泡火炊き
とにかく炊きたての白いご飯を丁寧に楽しみたい、もっちりふっくらの白いご飯が大好きという方にはこちら。高級感のあるスタイリッシュな見た目も◎。
『三菱電機』本炭釜 紬(つむぎ)
圧力なしでお米本来の粒感や甘さを素直に楽しみたいならこちら。お急ぎモードや冷凍ご飯などをよく使う忙しい方には、生活に寄り添うような機能が充実の一台です。
確かに高級、高価格ではありますが、その分日々のご飯のおいしさは格上げされることは間違いなし。どれを使用しても感動のおいしさです。
どの機種も好みで炊き加減がカスタマイズできるので、色々な銘柄を試してみるのも楽しそう。日々のご飯がおいしくてささやかな幸せが増えるなら、決して高い買い物ではない気もします。
新しい炊飯器を検討している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。