筆者の「世界中を旅した体験」がベースだから、地球上の色々な問題を身近に感じる!
ネット記事でも新聞でも、今やこの単語を見ない日はない「SDGs」。日本語だと「持続可能な開発目標」と訳されることが多いですね。
私自身は「外出時はタンブラーを持ち歩いてペットボトルをなるべく使わない」「必要のない包装は断って、ゴミを減らす」など、自分の身の回り(だけ)は、以前より環境を意識しているように思います。
ただ、SDGsで言っていることはもちろん、もっと視野の広い「地球規模」のお話。これからも私たちがこの地球で生きていくために「世界共通の17のゴール」を作って、地球の資源を大切にしながら経済活動をしていこう、という約束ごとなんですね。
この本では、その約束ごとのいくつかを、著者・本田亮さんが、自ら描いたイラストを使ってわかりやすく解説してくれています。
本田さんはカヌーイストであり、環境マンガ家。ご自身が世界中の大自然を旅する中、いろんな国で、様々な暮らしを営む人々に触れてきた体験が、この本の随所に挿入されています。
だからこそ、ここで提案されている「個人でできること」は、私たちの毎日の暮らしにとても近い、地に足のついたものになってるなあ、と感じます。
まずは「自分ごと」として考えてみる。そこから。
この本では、SDGsが目指す「17のゴール」のうち、いくつかをわかりやすく紹介しています。
たとえばコレ。
ゴール3:すべての人に健康と福祉を
「すべての人々が質の高い基本的な保健サービスを受けられ、必要な医薬品やワクチンを安く手に入れられるようにしよう!」
ここには、本田さんがサハラ砂漠を横断したとき、村の人から「おまえは医者なのか?」とすがるような思いで聞かれた、というエピソードが書かれています。治療すれば治る病でも、医者がいないから治療できない、という現実がそこにはある、と。
そしてワクチンは今、私たちにとっても、切実な問題ですよね。
先進国と言われる日本でも、接種がままならない中、経済的に貧しい国、医療環境が充実していない国の人々に、ワクチンが行き渡るのはいつのことか……。でも、世界中で解決していかなければ、この病気の流行は収まってはいきません。
ワクチン問題ひとつを取っても、自分(の国)さえよければ、ではなく、地球全体の課題として考えることの必然性を実感できます。
そしてこの本は、小学校高学年から読めるような作り。漢字にはフリガナ付き、難しい言い回しは使わず、子どもが理解できる平易な言葉で語られています。
中学や高校の授業で、SDGsを取り入れるところも増えている中、これからの子どもたちは、このSDGsが掲げる目標の「先」を生きていく世代です。授業で学び、基礎知識としてSDGsを身につける子どもたちと同じように、親世代としても、この考え方は身につけておきたいところ。
とかくこういう本は「取っつきにくい」ものが多い中、イラストの力や平易な語り口もあってか、圧倒的にわかりやすい1冊。SDGsを「今のうちに理解しておかなくちゃ」というママ世代にぜひ、オススメです。
「ムズカシそうなSDGsのことが
ひと目でやさしくわかる本」
本田 亮 / 文・イラスト(1,200円・税込 小学館)
*試し読みができる特設サイトも開設中です!
https://sdgsnokotogawakaruhon.mystrikingly.com/
編集長・佐藤明美
趣味は料理、スポーツ観戦と旅に出ること。食いしん坊。美容やファッション担当として20年ほど女性誌を編集、2018年からkufura編集長に。J-WAVEの朝の帯番組「KURASEEDS<クラシーズ>)月〜木 朝5〜6時」でも、ナビゲーターとして、毎朝“暮らしの情報”をお届け中!