子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

食材が高い!節約で“頑張りすぎない”ために、知っておきたい「4人家族の平均食費」。2年前と比べると?

とどまるところを知らない「物価の高騰」。日々の食材の買い物でスーパーに行った際に、「予算内でどう献立を組み立てよう」と悩まされている人も多いのではないでしょうか。

一方で、食費の節約術を取り上げた記事やSNSでは「月〇万円以内に収めています」といった驚きの金額が目に付くことも。それを見て「もっと食費を抑えなきゃ!」と頑張りすぎてしまうケースもあるようです。

そんな今だからこそ、参考にしたいのが「平均の食費額」。平均値を知っていることで、「すでに充分頑張っているのかも」と、焦る気持ちが少し楽になることもあるかもしれません。平均的な「1カ月あたりの食費」と「内訳」、そして「2年前と比べて平均額はどう変わったか」をご紹介します。

4人家族の食費。1カ月の平均額は約10万円

null

この記事では、「家族4人暮らし」の場合の「1カ月あたり」の食費を例に、平均的な数値を見ていきます。

データは総務省統計局が公開している調査結果のうち、「世帯人員別」(家族の人数別)の統計から引用したもの。

家族4人暮らしの場合、2024年7~9月期の食費は、外食費を含めて1カ月あたり平均9万7,396円で、約10万円でした。内訳は以下の通りです。

(※他のデータが知りたい場合は、総務省統計局のデータベース「e-Start」内の「家計調査」の項目から、都道府県/世帯主の年齢/夫婦の就労状況など、カテゴリごとの食費を調べることができます。)

【4人家族の1カ月あたりの食費 2024年(7~9月期)】

  • 穀類・・・8,632円
  • 魚介類・・・5,010円
  • 肉類・・・9,886円
  • 乳卵類・・・4,735円
  • 野菜・海藻・・・8,647円
  • 果物・・・2,691円
  • 油脂・調味料・・・4,176円
  • 菓子類・・・9,088円
  • 調理食品・・・1万3,747円
  • 飲料・・・6,725円
  • 酒類・・・3,230円
  • 外食・・・2万829円
  • 合計・・・9万7,396円

合計や内訳を見て、自分の家庭と比べて「高い」と感じた方も「安い」と感じた方もいらっしゃると思います。

参考までに、同時期の家族の人数別の食費は以下の通りでした。

【世帯人員別の1カ月あたりの食費 2024年(7~9月期)】

1人暮らし・・・4万4,108円(うち、外食費1万607円)

2人家族・・・7万5,716円(うち外食費1万679円)

3人家族・・・8万8,383円(うち外食費1万4,967円)

4人家族・・・9万7,396円(うち外食費2万829円)

5人家族・・・10万4,903円(うち外食費2万745円)

食費の平均額、2年間でどのくらい増えている?

null

続いて、食費の変化に着目していきます。物価高が顕著になった2022年から、食費はどのくらい値上がりしているのでしょうか。

2022年、2023年、2024年の同時期の4人家族の食費を並べてみます。

【4人家族の1カ月あたりの食費 2022年~2024年(7~9月期)】

◆2022年7月~9月・・・8万9,853円/月(うち外食費1万6,640円)

◆2023年7月~9月・・・9万2,993円/月(うち外食費1万8,121円)

◆2024年7月~9月・・・9万7,396円/月(うち外食費2万829円)

2022年と2024年の同時期の食費の平均額を比較すると、2年間で7,543円増加しています。また、生活費に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」も2年間で増加しています。

この記事を読んでいる方も、食材の値上げを日常的に実感されていると思います。

岐阜大学の副学長で「家庭経済学」や「家庭経営学」の講義を担当する大藪千穂教授は、食材の値上がりが消費者の意識に与える影響について、以下のように指摘しています。

食費は、物価高騰の負担感を特に実感しやすい費目です。他の費目と比べて支払い回数や購入品数が多く、支払い時にその都度金額を確認するので、“前より高くなった”と感じる頻度も多くなります。消費者は、食費の値上がりにとても敏感です

 

食費は、物価高騰の負担を実感する機会が多いため、「もっともっと安くしなければならない」という意識が駆り立てられやすい側面もあるようです。

そのような食費の一面もふまえ、次回の記事では「食費を無理なく抑えるためのアプローチ」や「心を削られない食費管理の心得」について、大藪先生にお話をうかがいます。

 

※記事内の金額はすべて税込みです。

 

【参考】

総務省統計局「家計調査報告 四半期(2024年7~9月、2023年7~9月、2022年7~9月)」 最終参照日:2024/12/05


【取材協力・監修】

大藪 千穂(おおやぶ ちほ)

岐阜大学教育学部教授、副学長。兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科教授を兼任。

京都市生まれ。京都ノートルダム女子大学文学部卒業。大阪市立大学生活科学大学院博士課程単位取得修了(学術博士)。専門は生活経済学(家計分析、消費者教育)、環境とライフスタイル論(アーミッシュ研究)。

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載