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塩ひとつまみ・ゆでこぼすetc…412人に聞いた「パッとは理解できない料理用語」が納得の嵐!その正解は…

料理をするようになって何年経っても、レシピを見た時に「これ、どういう意味?」と感じる料理用語ってありませんか? 今回、『kufura』では、なんとなく、でスルーしている料理用語について20〜60代男女412人にアンケート調査を実施。料理研究家のりえか先生に正解についても伺いました。

「少々」「ひとつまみ」…調味料の量

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少々。どのくらいかが曖昧すぎる」(41歳/男性/その他)

ひとつまみ。どのくらいの量なのか個人によって異なると思った」(53歳/女性/総務・人事・事務)

よく“適量”と書いてあるが、どのぐらいの量が適量になるのか未だに分からない」(49歳/女性/営業・販売)

調味料の量がわかりづらい、という声が圧倒的多数! なかでも「少々」「ひとつまみ」「適量」といわれると戸惑う人が多いよう。筆者も一人暮らしをはじめて自炊するようになって、初めて調べた料理用語です。特に「少々」「ひとつまみ」については、今でも“なんとなく”調味しているという人、多いのではないでしょうか!?

「少々」「ひとつまみ」「適量」の正解は…

少々

「塩少々」「砂糖少々」などの「少々」は、親指と人差し指の2本指で調味料をつまんだ分量を指します。指の大きさによって分量は多少変わりますが、一般的には小さじ1/8程度といわれています。

ひとつまみ

「少々」と同様にわかりづらい「ひとつまみ」、実は使う指に差があります。「ひとつまみ」は親指、人差し指、中指の3本指で調味料をつまんだ分量を指します。一般的には小さじ1/5程度といわれており、「少々」も「ひとつまみ」も塩の場合は1mgに満たない量です。

適量

「適量」は「ちょうどいい量」のことですが、人によって「ちょうどいい」の按配は異なります。そのため明確に正解はないのが悩ましいところ。家族の人数や状況、好みで調節が必要になります。心配な場合、少なめに入れて味見をしながら好みの味になるよう調味料を足していくのがいいそう。

りえか先生「大量調理のように作る量が多かったり、鍋の大きさが違うだけでも蒸発率の違いなどでちょうどよい塩加減が変わってきたり、個人によって好みの味がちがったりもするので、私もレシピの分量に幅を持たせることがあります。

辛味の唐辛子など、好き嫌いが分かれやすく仕上げにお好みで入れるものは“適量”とすることが多いです

「煮えばな」「ひと煮立ち」など煮る加減

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“コトコト煮る”がどう煮るのか全くわかりませんでした」(50歳/男性/その他)

ひと煮立ち。1回沸騰させるのか、少し煮るのかわからない」(34歳/男性/研究・開発)

煮えばな。どの状態のことを言うのか、わからない」(34歳/男性/総務・人事・事務)

“茹でこぼす”がただ茹でるのとどう違うのか分からなかった」(54歳/女性/金融関係)

茹でる・煮る際の表現についてもハテナマークが頭につく人が多いよう。ちなみに「茹でこぼす」と似たことばの「湯切り」は麺などの食材の水(お湯)を麺を振るなど空気であおり、余分な水分をなるべく取り去ることを指します。

「ことこと煮る」「ひと煮立ち」「煮えばな」「茹でこぼす」の正解は…

煮込み料理の時によくいわれるのが「ことこと煮る」。具材が動かない程度、と覚えるといいですね

ことこと煮る

「ことこと煮る」は、弱火でじっくり煮込むこと。煮汁の中で具材が動かないくらいのとろ火や弱火で煮込むことを指します。

ひと煮立ち

「ひと煮立ち」は、煮汁やスープなどを一度沸騰させ、30秒程度の短時間その状態で待ってから火を止める、もしくは次の火加減に移すことをいいます。「煮立つ」は煮汁が沸き立つ状態をいうことばです。

お味噌汁は「煮えばな」で火を止めると美味しいと言われています

煮えばな

「煮えばな」はお味噌汁や煮物、またはお米で使われる表現です。お味噌汁などの汁物や煮物では、汁が沸騰し始めた時の具材がぐらっと揺れる程度になった時のこと。水の沸騰でいうと、小さな気泡が鍋全体に広がってふつふつと湧き立ち始めた時のことをいいます。また、お米については、お米がご飯になる瞬間の、アルデンテのように芯が少し残る炊き立ての状態を指します。

りえか先生「煮えばなは、香りや風味がよくお料理が一番おいしい状態と言われます。“煮え花”とも書かれますが、お味噌汁が沸騰し始める直前、水が揺れ始めると、溶けた味噌がもやもやっと動いて、まるでお花が咲いたように見えます

そのほか「煮え端」と書くこともあるんだとか。

 

茹でこぼす

「茹でこぼす」というのは、根菜やアクのある野菜を下茹でしたときの茹で汁をザルにあげて捨てることをいい、煮物で煮汁を捨てる際に使うこともあります。

「ヒタヒタ」「かぶるくらい」などの水加減

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ひたひた。どのくらいの量を入れるのか考えた」(43歳/女性/その他)

かぶるくらい、と言われてもどのくらいかわかりにくい」(45歳/女性/その他)

煮物を作る際によく聞く「ひたひたの出汁」「水をかぶるくらい」などのことば。それぞれ、具体的な分量がさっぱりわからない!という声があがりました。それぞれの分量もそうですが、両者の違いも気になるところ。

「ひたひた」「かぶるくらい」の正解は…

ひたひた。具材の頭がちょっと出ている程度の水の量。
かぶるくらい。水面から具材が出てこない程度の水の量です。

ひたひた

「ひたひたの水」とある場合、具材が水から少し出るくらいの量ということ。画像をみてわかるように、具材がわずかに水面から顔を出すくらいの水分量です。

かぶるくらい

「ひたひた」に対し「かぶるくらいの水」とある場合は、具材の高さと同じくらいで、かつ、水の中にすっかり隠れるくらいの量を指します。

同じ鍋・同じ具材で比較した場合、水分量でいえば「ひたひた」のほうが「かぶるくらい」よりも少ない水分量ということになります。

りえか先生「かぶるくらいの水がないと具材に火は通らないことから、煮始めはかぶるくらいの水で煮始めるのが基本です。ただし、たっぷりの水だと具材が動いて崩れやすくなるので、特にかぼちゃなどの崩れやすい食材は水分量の調整が大切です

一方、煮物の具材に火が通ってやわらかくなり、味付けをする段階になったら、必要最低限のひたひたの水分量で落としぶたをし、煮崩れないよう気をつけながら調味していきます

IHではもはやわからず!?な火加減

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中火と強火の境い目があやふや」(59歳/女性/主婦)

弱火ととろ火の違いがわからない」(69歳/男性/公務員)

火の当て具合で鍋に当たる程度とあったりするが、IHだとわからなかったから」(68歳/女性/主婦)

火加減は、家庭科で習ったと言う人も多いのでは? だがしかし!火を見て調節することがないIHの普及に伴って、理解している人でも戸惑う人が多くいるよう。IHクッキングヒーターはメーカーによって出力が7段階や10段階など異なります。IHをお使いで火力の設定に困っている方は、取扱説明書に説明されていることがほとんどなので、もう一度説明書をみてみるといいかもしれません。

「強火」「中火」「弱火」「とろ火」の正解は…

強火

「強火」は、炎が左右に広がって鍋全体に当たっている状態をいいます。鍋やフライパンが大きいときはコンロを最大まで全開にすることもありますが、小さい場合は全開にしなくても強火になることも。

中火

「中火」は、炎が鍋底に当たっていて、左右に広がっていても鍋底よりひとまわり小さい状態をいいます。揚げ物をするときなどは中火をめやすにすることがほとんどです。

弱火

「弱火」は、炎が鍋底に当たらないくらいの火加減。鍋底の中心だけを熱している状態です。

とろ火

「とろ火」は弱火よりもさらに炎が小さく、火が消えるか消えないかくらいの火加減です。

りえか先生「水から調理するものなら、沸騰するまでは強火で時間を短縮するのが基本で、温度が上がった後で料理に合わせた火加減に調節するとよいでしょう。また、揚げ物は火加減ではなく油の温度でするものなので、温度が上がっていれば火を消してもしばらく揚げ物ができます。火加減だけにこだわりすぎず、油の温度が上がりすぎないよう注意しましょう

その他「ふんわりラップをかける」「しんなり」など

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ふんわり。ふんわりラップをかけたはずなのに出してみたらビッタビタに皿に張り付いていた」(30歳/女性/主婦)

しんなり。イメージは何となく湧くけれど、程度がはっきりとはわからない」(52歳/男性/その他)

きつね色になるまで、のきつね色はどんな色なのかよく分からなかった」(54歳/女性/主婦)

それぞれの正解は…

蒸し物などをレンジで調理する際はふんわりラップをかけるといいそう。

ふんわりラップをかける

「ふんわりラップをかける」のは、レンジで加熱した際に温めているものが破裂したりぴったり張りついてしまったりするのを防ぐため。容器の縁には密着させつつ、加熱でラップが膨張してもいいように容器の上部はふわっと余裕を持たせて包むことをいいます。

しんなり

多くは野菜を炒めたり煮たりする時に使う「しんなり」。野菜を加熱したり塩を振ったりすることで適度にかたさが取れて柔らかくなった状態のことを指します。とはいっても、張りは残っていて完全に柔らかくなる前のこと。くたっとしてきたり、色ツヤが変わったりするのをめやすにするとよさそうです。

 

きつね色

「きつね色」とは、まさにキツネの毛のような薄い茶褐色を指します。百聞は一見に如かず、迷ったら画像のキツネの色を参考にするといいですね。ちなみに、さらに濃い茶褐色を表す「飴色」というのも料理ではよく使われます。

りえか先生「加熱することによる香ばしいかおり、こんがりとした色は食欲をそそりますよね。とはいえ過度な加熱は苦味が強くなったりするので、余熱が入ることも視野に入れてほどよいタイミングで止められるようになるとよいですね

今回ご紹介したものはほんの一例ですが、調理中に起こる「塩梅」の部分で戸惑ってしまう表現が多いよう。この記事で「そんな意味だったのか……」と思った方もいるのではないでしょうか?

とはいえ、すべて知っていたからといっておいしい料理ができあがるわけでもないところが、料理の奥深いところですね。

【監修】

時吉りえか

管理栄養士/フードコーディネーター。料理研究家として活躍する母のもと、幼少期から料理を身近に感じ育つ。上智大学卒業後、出版社勤務を経て食の世界に。
「食を通して日々に彩りを添える」ことをテーマに、テレビ・広告・イベント等のフードコーディネート、レシピ開発、メディア出演、記事執筆など、活動の場を広げている。
インスタグラム(@riin_food)では旬の素材を使った季節の料理や、思わず真似したくなるスイーツレシピを発信。

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