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「冷やごはん」が実は“腸活”に効果的! 江戸の食に学ぶ「カラダにいい」ごはんって?

毎日「炊きたてのごはん」食べてますか? 『kufura』と、J-WAVEがタッグを組んだラジオ番組『KURASEEDS(クラシーズ)』(月〜木 朝5〜6時)では、毎朝暮らしに役立つヒントをお届けしています。今回のテーマは「江戸時代の食事が実は健康的だった?」というお話。

江戸時代は「一人5合」のお米を食べていた!

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「和食はカラダにいい」とは聞くけれど、実際に何がどういう効果があるのでしょう……?江戸料理・文化研究家で、時代小説家の車 浮代(くるま うきよ)さんに、江戸時代の食事情について教えていただきました。

納得!「冷やごはん」が腸活にいい理由

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江戸の町は長屋暮らしが一般的で、台所が狭く、燃料も高く、かまどの火起こしは一苦労。 なので、江戸の人たちは朝しかご飯を炊かなかったそうです。そうなれば昼と夜は、冷めたご飯を食べるしかないのですが、その“冷や飯”に秘密がありました。

炊いてから1時間くらい冷ましたご飯は、炊きたてに比べて“難消化性デンプン(レジスタントスターチ)”が1.6倍に増える、という、文教大学健康栄養学部の笠岡誠一教授が発表された実験データがあるんです

この“難消化性デンプン”は、食物繊維と同じような働きをしてくれるもの。これを摂ることで、体を掃除しながら大腸まで届くので腸活になるし、腸内細菌の餌にもなってくれる。また、直腸までしっかり届くので、お通じがよくなる、という効果も。

ご飯って冷めるとくっつくじゃないですか。あれは繊維質が増えているからくっつくんです。免疫力や抗酸化力アップの効果も期待できる、と言われています」(「」内、車 浮代さん。以下同)

なんと! 炊きたてよりむしろ“冷やご飯”の方が“体に良い”というデータが。

「江戸の町では、朝は炊き立てのご飯をありがたくいただく。残りを昼食用におむすびにしたり、おひつに入れて水分をうまく飛ばし、ちょっとしたおかずで食べたり。冬場はお湯やお茶をかけて、一度湯通ししてからお茶漬けや雑炊にするなどして、食べていました」

おひつを使った保存法や、おにぎりやお茶漬けという食べ方……江戸時代の暮らしの知恵は、健康の上でも、理にかなったものだったんです。

ちなみに“冷やご飯”の栄養は、再度温めなおしても減ったりしないそう。冷えたままではなく、レンジなどで温めなおしていただいてもOKです。

左が信楽飯、右が胡椒飯。

「ぬか漬け」は、ビタミンB1不足の救世主!

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冷やご飯がカラダに良いとはいえ、おかずに凝ったものはなく、 野菜の入った味噌汁や漬物が主だった江戸の時代、気になるのが栄養の偏りですよね。

「江戸初期の頃は『江戸わずらい』という病があったんです。今でいう脚気、ビタミンB1不足なんですね。江戸に行くと病気にかかって地方に戻ると治ることから、贅沢病とも言われてました。

お金のある人は白米に刺身など、野菜をあまり食べずに贅沢をしていたんですね。ビタミンB1は、米ぬかや研ぎ汁についているので、白米だけを食べていては不足する。そこで画期的だったのが“ぬか漬け”。

ぬかは、米を精米にしたときに出る果皮や種皮。大量の米を消費していた江戸では、 簡単に手に入れることができました。ぬかに野菜を漬けることで、野菜の栄養素&ぬかの栄養素が凝縮されて、一度に栄養が摂れることから、江戸患いは消えたと言われています

そのほか、江戸の食事では、カルシウムは魚介類から、漬物や大豆加工品(豆腐、納豆、油揚げ)などから乳酸菌やタンパク質を摂っていたそう。

「米のとぎ汁」で漬物が簡単に、食材保存にも!

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ブロッコリーなど“茹でて”食す野菜は、漬け汁で一度茹でてから、容器に入れて冷まします。

ぬか漬けは毎日のお手入れなどちょっとハードルが高い……という人に、挑戦して欲しいのが、この漬け物。

ぜひやっていただきたいのが“米のとぎ汁漬け”です。

お米のとぎ汁で漬けるのですが、1番目の研ぎ汁は捨てて、濃い2、3番目の研ぎ汁に、自然塩(岩塩や海塩)を入れてよく混ぜ、そこに適当な大きさに切った食材を入れるだけ。

とぎ汁200mlに対して、自然塩小さじ1の割合です。

冷蔵庫で保存すると自然に乳酸発酵し、1晩置くと浅漬けに。冷蔵庫で保存すれば、1週間ほどは楽しめます。野菜炒めや煮物、サラダにも使えるし野菜が長持ちします。

また、たとえば土生姜ならそのまま漬けておいて、使うときにすりおろして、また漬けておけば1カ月くらいフレッシュのまま使えるので、保存方法としても非常にいいですよ」

米の“とぎ汁”であれば、苦労しなくても毎日のように手に入ります。ともすれば捨ててしまうものが、漬け物の“素”になるなら、ぜひ挑戦してみたいですよね。

江戸の暮らしは、今の私たちから見ると無駄が少なく、エコで健康的……と、実は学ぶことも多い。“冷やご飯”や、“とぎ汁漬け”など、身近なところから取り入れてみていはいかがでしょうか。

ラジオ番組『KURASEEDS(J-WAVE)』では、これからも暮らしを豊かにする情報をお届けしていきます。ぜひラジオも併せて聴いてみてくださいね!

文/古橋 祐也


車 浮代(くるま うきよ)

江戸料理・文化研究家、時代小説家。
江戸時代の料理の研究、再現と、江戸文化に関する講演、NHK『チコちゃんに叱られる!』『美の壷』などに出演。車 浮代オフィシャルサイトはこちら。

2022年6月5日に『江戸っ子の食養生』を発売。

【 ラジオ番組 『KURASEEDS』(クラシーズ)】

放送局:J-WAVE(81.3FM)

放送日時:月~木曜日  AM5:00~6:00 

「暮らしに役立つ」いろいろなヒントを、気持ちのいい音楽とともにお伝えしていく生番組。ナビゲーターは、山中タイキさんと『kufura』編集長の佐藤明美。ラジオと同時に kufuraのインスタグラムアカウント(@kufura)からも、毎朝インスタライブで生配信しています。

その日の放送内容を、山中タイキさんが自身の言葉で綴っている番組のインスタグラム( @kuraseeds813)も読み応えたっぷり。

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