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【第4回 計量スプーン&バット】琺瑯を選ぶ理由は…?料理研究家・松田美智子の「育てる台所道具」

調理道具の開発にも数多く携わってきた料理研究家の松田美智子さんから、機能的で美しく、使い込むほどに手になじむ「育てる道具」の提案をシリーズでお届けします。第4回は、計量スプーンとバット。選ぶときのポイントを解説してもらいます。

琺瑯は酢と塩分に強く、食材の風味を損なわないから、下ごしらえに欠かせません。

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「たかが道具、されど道具」です。質のよい調理道具はけっして安くありませんが、大切に扱えば何年、いえ何十年も使えます。道具は「育てる」ものだと私は思っています。機能的で美しい道具を自分の手に合った使い勝手のよい“手先”に育てる。すると効率が上がって、お料理もおいしく仕上がります。

琺瑯の調理道具もそんな「ちょっと購入に躊躇する」道具ではないでしょうか。バットや計量スプーンなど、料理の下ごしらえに使う程度なら、プラスチックで十分なのでは……と思われるかもしれません。しかし、医療の現場でも使われる琺瑯は、耐熱性・冷却性にすぐれ、汚れやにおいがつきにくいため雑菌も繁殖しにくいのが特徴です。

そして何よりも、酸と塩に強い! これは食材に下味をつけるときやドレッシングなどを作るときに、とても重要なことです。

琺瑯はガラス質の美しい白色で、食材や調味料の色味が際立ちます

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ポイント1:お酢や塩分に強く、風味を損なわない

琺瑯は、鉄の表面にガラス質の釉薬を焼きつけた素材でできています。そのため、耐熱や冷却性にすぐれ、また、酸や塩分、さらに薬品に対しても強い耐久性をもっています。

昔はステンレス製の計量スプーンを使っていたのですが、ドレッシングを作るときに、お酢と塩、その他の調味料を計量し、そのまま一緒にボウルに入れてしばらく放置して味をみると、なんだか味がぼやけている。

おそらく金属との化学反応だと思いますが、ふたたび酢と塩を足して……ということを繰り返していました。琺瑯は食材や調味料と化学反応を起こすことがありません。汚れやにおいが付きにくいのもうれしいですね。

ポイント2:白色だから、食材の様子がわかりやすく見た目も美しい

ステンレス製のバットですと、光が反射して食材の実際の色味が分かりにくいときがあります。スタンダードな琺瑯のバットは、ガラス質の表面に白色を焼きつけています。白のレフ板効果で食材の色がくっきりとわかり、下味をつけた際も、浸透具合も一目瞭然。また、佇まいがすっきりと清潔感があります。お野菜なども琺瑯のバットに入れておけば、出しっぱなしにしていてもおしゃれです。

ポイント3:手入れがラク。ただし、ぶつけたりしないように注意。

食材や調味料と化学反応を起こすことがなく、色や汚れ、においを吸着しにくい琺瑯は、さっと洗えてお手入れが簡単です。ただし、ぶつけたり落としたりすると、表面のガラス質に欠けや割れが生じることがあります。丁寧に扱いましょう。

【今回使用した商品】

「ホウロウメジャースプーン」(自在道具)

3本セット(大)2,420円・(小)2,090円(ともに税込)

松田さんがプロデュースする『自在道具』のアイテム。計るだけでなく、かき混ぜたりするのにも便利なスプーンです。扱いやすいように柄は細めで、ちょっと長くなっています。

「バット(全白)」(野田琺瑯)990円〜(税込)

野田琺瑯さんのバットはサイズが豊富です。入れ子にすれば収納に場所を取りませんから、大中小で何台かもっておかれると便利です。

写真/鍋島徳恭

松田美智子(まつだ・みちこ)

1955年東京生まれ。女子美術大学卒業後、料理研究家のホルトハウス房子さんに師事、各国の家庭料理や日本料理を学ぶ。1993年から「松田美智子料理教室」を主宰。テーブルコーディネーター、女子美術大学講師、日本雑穀協会理事も務める。使いやすさにこだわったオリジナル調理ブランド「松田美智子の自在道具」も好評。http://www.m-cooking.com/

 

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