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子どもと一緒に愛情たっぷり!我が家の味噌仕込み【脱都会!野ざらし荘だより#5】

30数年住んだ東京を離れ、神奈川県の横須賀へ移住を決めた私。連載第五回目の今回は、子どもとわいわい仕込んだ我が家の味噌作りの様子をお届けします。

寒い季節がやってくると味噌仕込みの時期だな、と毎年そわそわし出します。ここ数年は怠けて仕込んでいなかったのですが、「去年作ったお味噌が美味しくってね!」と嬉しそうに話す友だちの会話が聞こえてくるたびに、「あ〜、うちも仕込んでおけばよかったなぁ」と1年前の自分の怠けっぷりを恨むのでした。

我が家では味噌汁を毎日のように飲み、3歳になる娘はおやつ代わりに人参やキュウリを切ってそのまま味噌をつけて食べるほど味噌好きなので、消費量も半端ありません。

いつもなら地方を旅し、訪れた先々でその土地の味噌を買って味比べをするのを楽しみにしていましたが、今年は旅もままならず味噌を買ってくる機会も少なそうなので、ならば1年分仕込もう、と張り切って10キロ分を漬けることにしました。なんでもやりたがりで最近はドーナツやケーキ作りにハマっている娘にも手伝ってもらい、一緒に味噌仕込みをしました。

手間と時間が美味しい味噌を育てる

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味噌作りには欠かせない麹

味噌作りに必要なのは豆と麹と塩のみ。身構えてしまう割にやってみるとあっけないほど簡単なので、作れない年は余計に落ち込みます。

さて材料ですが、シンプルだからこそこだわりたいと、豆は熊本で農家をやっている友だちの「はなまろ家庭菜園」から“黒千石”という品種の黒い大豆を取り寄せ、麹は愛知・西幡豆で自家栽培の大豆や米で麹作りをしている、「みやもと糀店」の麹を頼みました。よい材料が揃うとそれだけでもう美味しい味噌ができた気になるので単純な性格です。あとは手間と時間が美味しい味噌を作ってくれるはずです。

気温の低い時期に仕込むのが肝心

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豆は水につけて一晩置くと倍になる

作り方は簡単ですがいつでも作れるというわけではなく、大事なのが仕込む時期です。1月から3月くらいまでの気温の低い時期に仕込むと雑菌が繁殖しにくく、低温でゆっくり時間をかけて発酵するので、美味しいお味噌が出来上がります。私は2月初旬に作りました。

材料の比率は家庭によって好みが変わってきますが、「大豆と麹=1:1」で塩は大豆と麹の総量の25%。我が家では豆3キロと麹3キロ、塩を1.5キロを使い、出来上がり約10キロ分を作ってみました。麹は量を増やせば増やすほど甘みが増し、贅沢な味わいになると言われています。

目を離しているとアクがブクブクと出て泡だらけになるので注意

豆は煮る前に18時間以上浸けておきました。たっぷりの水に浸けた豆はぐんぐん水を吸ってあっという間に容器から飛び出しそうになっているのを子どもと面白がって眺めていました。時たま見ては水を継ぎ足し、均等に水が浸透するようにします。大豆を割ってみて、芯が残ってなかったら、いよいよ豆炊きスタート。

ひたひたに水を張り、沸騰後は弱火で、ぶくぶく出てくるアクを取りながら煮ていきます。煮上がりは指で潰して軽く潰れるくらい。量が多かったのでゆっくり3時間ほど煮ました。熱々の豆から湯気が上がり、それを「あちちっ〜」と言いながらつまみ食いするのが楽しい時間です。

豆が煮上がったら次は潰していきます。10キロをいっぺんに潰すのは大変なのでいくつかボウルに分けて潰したり、大きなビニールに入れて足で踏んだりしました。美味しい匂いにつられて、娘も潰しながらもちょいちょいつまみ食いしていました。

味噌作りのハイライトは味噌団子投げ

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麹は手で固まりをバラバラとほぐし、塩と混ぜる

豆が潰れ、人肌になるくらいまで冷めたら、今度は麹と塩を混ぜた“塩きり麹”を混ぜ合わせていきます。

全てがよく混ざったら両手で団子状に丸め、容器に投げ入れます。ここが、味噌作りで私が一番楽しみにしているところで、勢いよく投げて上手に思い通りの場所に着地すると気分がスカッとします。子どもも面白がって、「えいや、えいや」と掛け声をかけながら投げていました。

ちょっと硬めに仕上がった味噌には煮汁を入れるといいそう

この投げ入れは単なる憂さ晴らしではなく、ちゃんと理由があって、勢いよく投げ入れることで中の空気が抜け、カビがつきにくくなるのです。そう思うと投げる腕にも余計力がこもります。

「美味しいお味噌になあれー」

隙間ができないように途中途中で上から手で抑えて平らにするのも忘れずに。

最後に「おいしくなあれ」のおまじない

最後は味噌の表面に拍子木を数枚敷いて蓋をしました。仕込みが終わったら風通しがよい冷暗所で保存。3カ月ほど経ったら容器の底と表面の味噌をひっくり返す「天地返し」をすると味が均一になるそうです。約10カ月ほど寝かせたら出来上がりです。しばしの熟成タイム、味噌開きが今から待ち遠しい。

寒い寒いと思っていたら、春はもうそこに

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寒い寒いと言っていたら、あっという間に季節は巡り、近所の公園にもふきのとうが咲いていました。娘が「これ、好きでしょ」と摘んできてくれたので、せっかくなので天ぷらにして食べました。もう春はすぐそこまで来ていますね。

次回は春の種まきについてお届けします。


【著者】

清土奈々子

都内から階段100段を登った高台の一軒家「野ざらし荘」に移り住み、夫と3歳の子と暮らす。編集・ライター、ギャラリー「野ざらし荘」運営、子ども向けワークショップのコーディネーター、絵描きのtoiとともにユニット「村のバザール」を組みライブイベントの企画やウェディング装飾、デザインワークなど行う。ミュージックビデオなど映像制作も。

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